「家に関わる仕事がしたい」「住まいや住環境に携わりたい」と、漠然と考えたことがないでしょうか。

家は一生に一度の大きな買い物ですから、そこに関わるやりがいや喜びは大きいものでしょう。

とはいえ、具体的にどのような仕事があるのか、仕事として成り立つ稼ぎがあるのかなど、知らない点も多いかもしれません。

そこで今回は家に関わる仕事をテーマに、仕事の種類や年収相場、業界の特徴などを紹介します。

家に関わる仕事の種類を知ろう

家に関わる仕事には何があるのでしょうか。

ここでは、「家づくり」「家の売買、契約」「インテリア、住環境」の3つに分類し、仕事の種類を紹介します。

家づくりに関わる仕事

家に関わる仕事の代表格が、家づくりに直接携わる職人、技術者たちです。

たとえば、

  • 建築士
  • 大工、鳶職人、左官、塗装などの職人
  • 電気工事士
  • リフォーム作業員
  • 測量士
  • CADオペレーター

などの職種があります。

建築事務所、設計事務所、建設会社、土木会社など、建築・建設を専門に扱う企業に勤務します。

特に建築関係の職種は卒業学科や資格を求められることが一般的ですので、応募要件を必ず確認してください。

職人の場合、就職時点では資格が求められないこともありますが、その場合でも現場を通じて知識と技術を身につけていかなくてはなりません。

また、それだけでなく、経験がものをいう世界でもあります。

まずは企業に就職するか親方に弟子入りすること、その後にもコツコツと腕を磨いていく形になりますので、活躍できるまでには長い年月を要することがあります。

家の売買、契約に関わる仕事

建設会社や不動産仲介業者、ハウスメーカーなどに就職し、家やマンションを売る仕事です。

アシスタントや受付、事務、総務などバックオフィス系の職種も広く含まれます。

  • 営業、販売員
  • 土地、マンションアドバイザー
  • 宅建取引士
  • 不動産鑑定士
  • 土地家屋調査士
  • リフォームアドバイザー
  • マンション管理士

売買や契約といっても、一般によくイメージされる営業だけでなく、家が建つ土地に関して鑑定や登記を担当する人まで幅広く関わっていることが分かります。

また、新築だけでなくリノベーション物件の販売や、リフォームを担当する業者まで、家に関わる仕事は多数あります。

これらの仕事は家づくりに直接関わる職人のように、高い技術が求められることは少ないですが、その分豊富な知識が必要です。

職種によっては取得が難しい国家資格もありますので、忍耐強く勉強を続けることになります。

インテリア、住環境に関わる仕事

家の中に場所を移し、インテリアや住環境に関わる仕事もあります。

家に関わる仕事と聞くと職人や専門技術が必要だと思われがちですが、インテリアの観点から見ればより可能性が広がります。

たとえば次のようにさまざまな職種が存在します。

  • インテリアデザイナー
  • 空間デザイナー
  • インテリアコーディネーター
  • 家具屋、雑貨屋
  • 家具職人
  • DIYアドバイザー

ほかの2つに分類される仕事と比較すると、より「感性」が求められる仕事です。

もちろん専門的な知識や技術も必要ですが、センスのよさがあると顧客獲得につながりやすいでしょう。

さまざまなインテリアを見たり、住環境以外の流行にアンテナを張ったりして感性を磨く努力が必要です。

就職場所としては、インテリアデザイン事務所や住宅メーカーなどがあります。

消費者の立場からしてもう少し身近な場所でいうと、インテリア雑貨や家具を扱う店舗やホームセンターに就職する方法もあります。

豊富な知識やアイデアをもった販売員が接客することで、顧客が喜び、リピーターにつながります。

また、自身のアイデアを発信してフリーランスとして活躍するような方もいます。

家に関わる仕事の年収相場

続いて、家に関わる仕事の気になる年収相場を確認しましょう。

家はそれ自体が高額であることから、家に関わる仕事は比較的高収入といわれることがあります。

ただし、職種による違いが大きいため、ご自身が希望される職種の年収相場も知っておきましょう。

家づくりに関わる仕事の年収

建築士の年収相場は、1級建築士で600~650万円、2級建築士で450~500万円ほどです。

特に大手ハウスメーカーやゼネコンに勤務する建築士は収入が高く、待遇にも恵まれています。

また、勤務地によって年収相場が大きく変わる点も特徴的で、東京、神奈川、大阪、愛知(名古屋)などの大都市圏で働く建築士は高収入になる傾向にあります。

建築士が高収入である理由のひとつに、試験の難易度が高いだけでなく、そもそも受験資格も問われることがあり、なるためには時間や労力を要する点が挙げられます。

大工の年収相場は、雇われ大工の場合には400~500万円ほど、自営や一人親方の場合は変動幅が大きくなります。

成功していると800万円以上稼ぐ方もいらっしゃいます。

鳶職人は350~450万円、左官は300~400万円がひとつの目安です。

こちらも自営の場合には高くなったり低くなったりします。

危険がともなう仕事の割には高収入とまではいえないかもしれません。

そのほか、CADオペレーターは300~400万円ほどとなっており、経験にもよりますが一般的な会社員と大差ありません。

家の売買、契約に関わる仕事の年収

営業はどの業界にもある職種ですが、家の売買に関わる営業は特に高収入が可能だといわれています。

中には年収1000万円クラスの営業職もいます。

家やマンションは単価が高く、非常に売りにくい対象であることなどが関係しています。

その代わり1軒売れるとしばらく食べていけるほど、高い歩合給がつくのです。

とはいえ、浮き沈みも大きく、厳しい世界ですので、決して楽して稼げる仕事ではないと知っておきましょう。

住宅メーカーなどの求人を見ると「1000万円以上稼げます!」とうたっていますが、それは誰でも到達できる年収ではなく、安定して稼ぎ続けることの難しさもあります。

家の売買や契約に関わる仕事の中で、安定して高収入なのが土地家屋調査士と不動産鑑定士です。

どちらも700~800万円稼ぐこともできる高収入職業のひとつです。

土地家屋調査士は土地と家屋に関する測量や調査をおこなう職業です。

あまり知られていませんが、合格率1桁台の、非常に難易度が高い資格であるため、資格を取得できるのかという問題があります。

不動産鑑定士は周辺環境や交通条件などを加味し、土地の価格を適正に判断する仕事です。

短答式と論文式の両方に合格する必要があり、こちらも実際の合格率は1桁台と非常に難易度が高い資格です。

そのほか、売買や契約に関わる仕事は多数ありますが、ほかの職種に関しては年収300~400万円が相場となっており、一般的です。

インテリア、住環境に関わる仕事の年収

よく聞くインテリアコーディネーターや空間デザイナーですが、年収は300~400万円が相場です。

しかし、所属する企業や働き方によっても異なりますのであくまでも参考までに押さえておきましょう。

インテリア関連はセンスやアイデア力によって人気がでれば年収が跳ね上がる可能性もあります。

また、大手住宅メーカーのインテリアコーディネーターであれば、高収入になるケースもあります。

一方、小さなデザイン事務所やフリーランスの場合だと年収300万円未満といったところもあります。

高収入を得るためにはどこに所属するのかといった点も重要になるでしょう。

家具職人は実力次第ですが、小さな工房に所属することも多く、年収300万円前後が相場です。

職人なので年齢によって定期昇給していくという概念がなく、技術力や人気がどうか、といった点に左右されます。

また、技術力があっても発信力に欠けているとなかなか世に知られず、稼ぎに直結しない側面があります。

家具屋や雑貨屋で販売員やアドバイザーとして働く場合も、250~400万円がボリュームゾーンです。

販売員はアルバイトも多いため、その場合は200万円未満になることもあります。

一方、大型店舗の店長やマネージャークラスに昇進すれば500万円程度稼ぐことも可能です。

家に関わる仕事の現状と将来性

家に関わる仕事の現状としては、一定の不安要素があるものの、若者のリノベーション物件人気、高齢化にともなうバリアフリー化やリフォームなど新たな需要があるため、それほど悪いとはいえません。

2020年には東京オリンピックも控えていますし、観光地としての人気も近年顕著ですので、特に都心部の住宅業界は活性化しています。

また、ストレス社会において家に癒しを求める方が増えていますので、インテリアや住環境という点においても一定のニーズがあり、関わる人たちの活躍の場も広がっています。

一方で、人口の減少、非正規雇用化、近所付き合いの希薄化などが進んでおり、家を買うメリットを感じない人が増えています。

一生のうちでもっとも高額な買い物とされてきた家の購入ですが、そのあり方にも疑問が広がっており、将来的には安定とはいえないでしょう。

家に関わる仕事に就くための適性

家に関わる仕事に就きたいと感じている方は、ぜひご自身の適性と照らし合わせてみてください。

家やインテリアに関する技術や知識をもっていることはもちろん、好奇心が旺盛で時代にあったニーズをキャッチできる感性、センスが求められます。

家やインテリアにも流行がありますし、時代に応じて主流となる技術も変化していきます。

また、人の話をよく聞くことができる人が向いています。

家に関わる仕事はどの職種であっても、顧客が希望する家を作ることが最終目的だからです。

自分がこうしたい、こんな家を作りたいというのではなく、あくまでも顧客が求める家のイメージを聞きだし、正確に形にしていくことが重要です。

さらに、家という巨大かつ安全性が重要な建物をつくるには、多くの職人、スタッフが関わることになります。

ほかの職種の人たちと密に連携をとるために、コミュニケーション能力が高くなければなりません。

職人と聞くと無口なイメージがあるかもしれませんが、家に関わる職人に関してはそれでは難しい側面があると知っておいてください。

家に関わる仕事の喜び、やりがい

家づくりに関わる場合、自分が関わった仕事が家として形になっていくことに喜びを感じます。

家は一度建ったらそう何度も建て直すものではありませんので、その風景に歴史として刻まれていくような感覚を覚えます。

多くのスタッフが協力しあってできた家を見ること、完成した家や住空間で笑顔になる顧客の様子を見ることは代えがたい喜びです。

生活になくてはならない家に関わるということは、社会に貢献することでもあります。

また、家に関わる仕事は前述したように、かなり高収入になる職種もあります。

自身の実力によって大きな稼ぎにつながること、高額商品を動かしている実感も、仕事としてのモチベーションにつながります。

その分責任は重大ですが、やりがいもひとしおでしょう。

さらに、家に住まない人はほぼいませんので、家族や友人が家を建てるときに有益なアドバイスしたり、より快適に暮らすための工夫を教えてあげたりすることができます。

もちろん、自身の家を建てるときにも、培った技術や知識を役立てることができるでしょう。

家に関わる仕事の探し方

最後に、家に関わる仕事を実際に探す方法を紹介します。

企業のHPをチェックする

大手ハウスメーカーやゼネコンへ転職を目指すなら、企業のHPで直接採用情報を確認しましょう。

住宅関係は大手であっても通年募集をかけていることもありますので、特定の企業への転職を希望される方にはよい方法です。

中途採用の場合、主には営業職の募集が多くなります。

地元企業へ転職するならハローワーク

中小零細企業でも消費者目線で優れた実績を残している企業もあります。

地元の優良企業への転職であれば、王道ですがハローワークも選択肢のひとつです。

ハローワークでは地元の中小零細企業を主に扱っていますので、地元に貢献したい方、自宅から通いやすい場所で働きたい方には適しています。

ただし、実際の職場環境を求人票で確認することはできませんので、気になる企業があれば個別にリサーチすることは必須です。

効率よく探したいなら転職エージェント

現在お仕事をされている方は、転職活動にかける時間が限られています。

転職エージェントに依頼すれば希望の求人を探し出してくれ、日程調整や給与交渉などを任せることができ効率的です。

住宅関係の求人は比較的多くありますが、特に大手転職エージェントを選ぶと、給与や待遇のよい優良求人を多数扱っています。

最後に

いかがでしたか?今回は家に関わる仕事について、職種や仕事の特徴、年収相場などを中心に紹介しました。

家に関わる仕事はさまざまな角度から関わっていく職種があり、それぞれ仕事内容、必要な資格、スキルなどが大きく変わります。

まずはどのような仕事があるのかを知ったうえで、ご自身の適性にあう職種を探してみてはいかがでしょうか。