夫婦共働きでいるか、専業主婦になるのか、どちらが最適な選択肢か分からず、迷っている方は多いのではないでしょうか。

共働きと専業主婦の環境は大きく異なりますので、どちらを選ぶのかはある意味で重要な選択とも言えます。

そこで今回は、共働き主婦と専業主婦の違いに注目し、両者のメリット・デメリットや選ぶ基準を紹介します。

ご自身の気持ちや環境にフィットする方を見つけるための参考になさってください。

共働きで家庭を支えるメリット・デメリット

まずは、共働きと専業主婦のメリット・デメリットを確認しましょう。

共働き主婦の場合には、次のようなメリットがあります。

  • 経済的なゆとりがある
  • 夫婦が互いの仕事や家事を理解しやすい
  • 妻自身の自己実現が叶う
  • 家事育児の気分転換ができる、ときには手抜きも可能
  • 母親が働く姿を子供に示すことができる

一方、次のようなデメリットも存在します。

  • 子供との時間が減る
  • 子供が傷病のときに大変、学校行事などへも参加しにくい
  • 心身ともに余裕がなくイライラしがち
  • 働きにでることで支出が増える
  • 夫や職場の理解がないと妻の負担が膨大になりがち

専業主婦として家庭を支えるメリット・デメリット

続いては、専業主婦のメリット・デメリットを見ていきます。

一般的に次のような点がメリットだといわれています。

  • 家事育児にじっくり取り組むことができる
  • 妊娠や子育ての計画を立てやすい
  • そもそも支出が少ない、丁寧な節約も可能
  • 夫が仕事に専念しやすくなる
  • 子供が寂しくない、つきそいや送迎など安全面が高い

一方、専業主婦ならではのデメリットもあります。

  • 夫に経済的に頼らざるを得ない
  • 再就職が難しくなる
  • 狭い世界に閉じこもりがちになる
  • 夫の仕事に理解がないことがある
  • ママ友や近所付き合いが大変

共働き主婦と専業主婦はどちらがお得?

共働きと専業主婦でもっとも気になる点といえば、やはりお金の問題ではないでしょうか。

共働きと専業主婦、結局どちらがお得になるのか、気になる方が多いかもしれません。

ここでは、金銭面でどのような違いがあるのかをもう少し掘り下げて見ていきましょう。

支出が少ないのは圧倒的に専業主婦

専業主婦はサラリーマンの夫の扶養に入ることができ、税金や社会保険料を払う必要がありません。

夫が自営業者の場合には扶養という概念がありませんので自身で捻出する必要がありますが、自営業者の場合はそれを上回る家計収入になりやすいメリットもあります。

時間にゆとりがありますので、丁寧な生活を送って節約に励むことができます。

外出も少ないため被服費や美容費にそれほどお金をかける必要がありません。

一方、共働き主婦は働きにでることで、支出がぐっと増えます。

まず、税金や社会保険料は自身が負担します。

身だしなみを整えるために被服費や美容費がそれなりに必要でしょう。

車を利用される方は車の維持費などもかかりますし、忙しくなることで外食費や惣菜購入費などの食費も必要です。

場合によっては時短家電を購入する必要性もでてきます。

さらに、共働きで子供がまだ小さいと、多くの場合は保育園に入れる必要があります。

保育料は世帯収入で計算され、月々の負担が大きくなることがあります。

働いてもその分は保育料で引かれてしまうため、働く意味がないと感じる共働き主婦もいます。

ただし、2019年10月から、幼児教育・保育の無償化がスタートしますので、該当する世帯においては、共働きになることのメリットが増えることになります。

参照:厚労省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01659.html

経済的に自立できるのは共働き

「お金がかからない」という点においては、専業主婦のメリットは大きいように感じます。

しかし、共働きでいることで妻自身が経済的に自立ができ、将来の不安を抱えずに済むこともまた事実です。

自身で社会保険に加入することで、年金額が増えます。

年金は老後の年金に限らず、今現在の障害や遺族年金もありますので、これは大きなメリットです。

また、税金や社会保険料、保育料などを払ってでも、それを上回る収入があれば貯金にまわすことができます。

いざというときの備えや、子供の教育にお金をかけることができるでしょう。

家計収入が多いことで子供にいろいろな経験をさせてあげることが可能になります。

さらに重要なのは、妻自身の経済的自立です。

まずは再就職ですが、専業主婦でいる年月が長いと、どうしてもビジネススキルが低いと思われてしまい、再就職が難しくなります。

仕事が見つかったとしても、長年仕事から離れていると、実際問題としてスキルが低く、なかなか活躍できない可能性もあります。

「子育てがひと段落してから働きにでよう」と思っても、結局正社員の仕事に巡り合えず、時給の低い簡単なパートをするといった選択肢になりがちです。

こうして、専業主婦はやはり夫に頼らざるを得なくなります。

夫が元気に働けるうちはそれほど問題がないかもしれません。

しかし、いざ離婚したくても経済的な理由でできなかったり、夫が働けなくなったときに家族を養うことが難しくなったりします。

夫が元気なうちに妻自身も働いていることで、いざというときに対処できることになります。

共働きと専業主婦、どちらが精神的に楽?

共働きと専業主婦では、どちらが精神面の負担が少ないのかという点もしばしば話題にのぼります。

結局、どちらが楽なのでしょうか。

気楽と批判されがちな専業主婦だが…

「専業主婦って気楽でいいよね」「仕事のストレスがないなんてうらやましい」

こんな指摘もある専業主婦ですが、本人たちは精神的に辛い思いをすることがあります。

社会から遮断された焦り、不安、あるいは夫の稼ぎで生活していることの後ろめたさもあるようです。

専業主婦自身が世間から「見下されている」と考えてしまうことも珍しくありません。

また、子育て中の専業主婦は、子供と二人きりで毎日過ごすことで、意識が子供にだけ集中しがちになり、視野が狭くなり、悩みを抱えやすいと言われることもあります。

しかし、こうした精神的な辛さは、専業主婦自身が変えていくことができます。

専業主婦がストレスを減らすには?

世の中は共働き世帯が圧倒的に多く、専業主婦を「籠の中の鳥」として扱いがちですが、その家庭において妻が担う役割は異なります。

専業主婦であれば健康的な食事を日々研究することもでき、家族が気持ちよく過ごせるために掃除や片づけを行き届かせることもできます。

現代では心の問題を抱える子供もいますので、そのときは母親が家にいてくれることの安心感は大きいはずです。

家事については、夫がほとんどやる必要がなくなりますので仕事に専念できます。

結果として仕事がうまくいき、家計収入が増えるということもあるでしょう。

夫婦が話し合って納得し、専業主婦を選んだのであれば、周囲の目を気にすることなく堂々と専業主婦業にまい進すればよいのです。

つまり、専業主婦自身が自分の役割や目的をしっかりと設定し、周囲の情報に踊らされることがなければ、精神的な辛さは軽減されるわけです。

共働き主婦の仕事のストレスはやはり大きいのか?

共働き主婦にも精神的な辛さがあります。

まずは仕事のストレスです。

これは家庭人に限らず言えることですが、仕事でストレスを抱えない人は少ないはずです。

仕事のストレスには、業務上のストレス、職場や上司などとの人間関係によるストレス、通勤時のストレスなどがあります。

共働き主婦の場合は、ほかの人が抱える仕事上のストレスのみならず、周囲へ気を使うことのストレスもあります。

子供の傷病時や学校行事の際には仕事を休む必要がありますが、引き継ぎやフォローを周囲にお願いすることになるため、「申し訳ない」という気持ちになりやすいです。

理解がない職場だと、露骨に嫌味を言われてしまうこともあるでしょう。

次に、働くことで家庭に影響をおよぼす点でストレスがかかります。

夫が協力的でないと、妻の家庭内における負担が増えてしまい、仕事のストレスとあいまって大きなストレスになります。

夫によっては、働けといいながら家事育児も完璧を求めてくることがあるでしょう。

また、子供に寂しい思いをさせてしまう点にストレスを感じる方も多いようです。

共働き主婦がストレスを減らすには?

共働き主婦にはストレスを発散しやすいという利点があります。

家庭内で嫌なことがあっても、仕事に行くことで気分転換になります。

職場に仲のよい人がいれば、ちょっとした愚痴を聞いてもらうこともできるでしょう。

自身の稼ぎがありますので、好きな物を買ったり、食べたりしてリフレッシュすることができます。

仕事をしている立場上、家事が完璧でなくても指摘されにくいため、ある程度手抜きをすることも可能です。

この点については、共働き主婦は家事に完璧を求めないことも大切だと知っておきましょう。

また、自身が仕事を持つことで社会とのつながりを実感でき、どこか置き去りにされたような不安感を持つこともありません。

自己実現のために働いているのだと自身を奮い立たせることで、仕事や家庭で抱えるストレスを吹き飛ばすこともできるでしょう。

このように、共働き主婦は、大きなストレスに直面しやすい一方で発散する手段が複数あるため、上手にバランスをとっていくことでストレスの軽減につながります。

共働きと専業主婦、選択に迷ったときの基準とは?

共働きでいるべきか、専業主婦になるべきか、選択に迷うことがあります。

ここでは、決定に際して何を基準にするべきかをお伝えします。

自分自身がどのような人生を送りたいのか

夫や義両親の言うままに、あるいは周囲の友人にあわせて生き方を選んでも、どこかでモヤモヤが残り後悔することがあります。

まずは自分自身がどのような人生を送りたいのか、自分自身の責任において考えるようにしましょう。

そのために周囲の人の話を聞いたり、ネットの情報を探したりすることは構いません。

しかし、あくまでも参考であり、最終的にどうしたいのかは自分が決めると知っておいてください。

自分自身の希望が分からない方は、まずはやってみることも必要です。

「共働きだと大変かもしれない」という理由で会社を辞めるのではなく、まずは働きながら子育てすることを実践してみます。

そのうえで、やはり専業主婦の方がよいと思えば軌道修正してもよいでしょう。

ただし、「とりあえず専業主婦をやってみる」形は、再就職する点を考えるとリスクがともないます。

在籍したまま育休を取得すれば専業主婦の状況が確認できますので、まずは育休を取得することが先決です。

家族が何を望んでいるのか

自分自身の希望が整理できたら、次に家族が何を望んでいるのかを把握します。

自分の希望と家族の希望を考慮し、最適な落としどころを探ります。

家族の願いを叶えることが自分の一番の望みならば家族の意見を優先してもよいですが、「家族がそう言ったから」ではなく、あくまでも自分が決めたことに責任を持ちます。

ここで重要なのは、ネットの書き込みのように、自分と関係のない人、知らない人の意見を鵜呑みにしないことです。

大事なのは、見ず知らずの誰かにどう思われるのかではなく、近くにいて大切にしたい家族の存在であるはずです。

しかし、家族が何を望んでいるのかは、他人に分かるはずもないでしょう。

人の考え方や置かれている環境は異なりますので、あまり情報に振り回されないことです。

家族が何を望んでいるのかは、よく話し合うべきです。

その際、「家族がこう言っているから」ではなく、自分はどのような希望を持っているのかも必ず伝えましょう。

お金の問題だけならさまざまな選択肢がある

「社会とつながっていたい」「外に働きにでて気分転換したい」などの理由がなく、単純にお金の問題で共働きを選ぶことがあるでしょう。

本当は専業主婦でいたいけれど、やむを得ず働くような場合です。

このときは、外で働くだけがすべてではないことも知っておいてください。

在宅ワーク、ネットビジネス、趣味の教室を開くなど、さまざまな選択肢があります。

正社員のような安定は望めませんが、毎月の家計収入を増やし、夫や子供の予定に柔軟にあわせていくことも可能です。

待機児童問題で保育園に入れず困っているような場合にも、子供を側におきながら稼ぐことは不可能ではありません。

「いずれ働くつもり」なら早い方がよい

今は専業主婦でいたいけど、いずれ外に働きにでるつもりであれば、その時期は早い方がよいです。

前述したように、専業主婦歴が長いほど再就職のハードルは高くなっていきます。

フルタイムの正社員が無理なら、パートであっても構いません。

職歴を途絶えさえないことが大切です。

パートにでることも現状は難しいのであれば、ビジネススキルをキープするために何か努力をしましょう。

資格の勉強をする、ビジネスに関する書籍を読むなどします。

どのような仕事があるのか探しておくこともよいでしょう。

稼ぐ必要はあるけれど、どうしても外に働きにでることが難しいのであれば、まずは小さな仕事からでよいので在宅でできる仕事を見つけてください。

クラウドソーシングに登録すれば、簡単にできる仕事がたくさんあることに気づくはずです。

「隣の芝生は青く見える」ときがあると知ろう

共働き主婦と専業主婦には環境による違いがあり、互いの状況をうらやましく感じることがあります。

また、まるで敵対する仲のように、どちらがよい、悪いと議論する場面も見かけます。

しかし、どんな生き方がよいのかは価値観や状況によって大きく異なりますので、共働きと専業主婦で対立させることに意味はありません。

家事育児に奮闘する女性、家庭人であるという大きな共通点があるのですから、あまり他の家庭と比較することはやめましょう。

「隣の芝生は青く見える」ときがあるものです。

それでも、自分自身や自分の家族が幸せでいられるのなら、どのような生き方であっても一番よい選択だといえるのではないでしょうか。

最後に

いかがでしたか?今回は共働きと専業主婦の違いに着目し、それぞれのメリット・デメリット、お金や精神面の違いを中心に紹介しました。

共働きと専業主婦のどちらがよいのかはご家庭によって異なります。

ご自身やご家族が何を優先的に考えたいのかを知ることが大切になるでしょう。

ただし、一度決めたことを覆してはならない決まりもありません。

状況に応じて柔軟に対応していくことも必要ではないでしょうか。