「調理が好き」「食べることが好き」「栄養に興味がある」など、食に関わる仕事に転職したいと考えていないでしょうか。
食に関わる仕事といっても、具体的にどのような種類があるのか、詳しくは分からない方もいるかもしれません。
そこで今回は、食に関わる仕事にスポットライトをあて、仕事の種類や給与相場などを紹介します。
仕事のやりがいや大変な点もあわせて確認し、ご自身にあった食に関わる仕事を探してみましょう。
目次
食に関わる仕事にはどんな種類がある?
食に関わる仕事は多岐にわたります。
ここでは、「調理」「栄養」「流通」「そのほか」の4つに分類し、どのような仕事があるのかを見ていきましょう。
調理から食に関わる仕事
食といえばまずは調理です。
何を作るのかによって呼び名は変わりますが、共通点としては調理や料理を通じ、食材をより美味しく、食べやすくするための工夫や技術を駆使する仕事です。
たとえば、次のようにさまざまな職種があります。
- 料理人
- 調理師、調理補助
- パティシエ、ショコラティエ
- パン職人、和菓子職人
- 寿司職人、そば職人など
調理から食に関わる仕事は、お客様に美味しい食を提供し、喜ぶ顔が見られることが大きな喜びのひとつです。
美味しく調理できるだけでなく、盛り付け、提供時間、店内空間など、広い視野で食を提供する必要があり、多くの技術や知識が求められます。
調理の中でも、企業の社食、大学の学食、病院や介護施設の調理、宅配弁当の調理など、一般企業や施設で「必要な食事」を提供する人たちから、ホテルや飲食店など「美味しさを求める食事」を提供する人とにわけることもできます。
特に後者の場合、下積み期間が長く、忍耐力も重要となります。
一人前と認められるまでには何十年とかかることがある点は心しておきましょう。
栄養から食に関わる仕事
食と栄養は切り離せない立場にあります。
美味しさはもちろんのこと、栄養面、健康面は人の食にとって重要になりますので、その観点から食に関わることもできます。
代表的な仕事には、
- 栄養士
- 管理栄養士
- 公務員調理師
- 食品研究者
などがあります。
栄養士や管理栄養士は食を栄養から支える人のことで、栄養や健康に関する正しい知識を備えています。
栄養士は都道府県知事の免許を受けており、主には健康な人を対象に栄養指導、調理、提供などをおこないます。
管理栄養士は厚生労働大臣の免許を受けた国家資格者で、病気の方や高齢の方なども含めて栄養指導、管理、給食運営などをおこないます。
管理栄養士の方がより高度な知識、技術が求められます。
公務員調理師とは、学校や国公立病院、公立保育園などの給食を調理の面から支える人のことです。
調理師と名がつきますが、学校や病院は主に栄養面からのサポートが重要になりますので、栄養から食に関わる仕事のひとつだといえるでしょう。
前提として、地方公務員の採用試験を突破することが必要です。
調理師免許は採用時点では必須ではありませんが、配属された後は速やかに取得を求められることが多いようですので、結局は必要になります。
食品研究者は食材、食品の栄養素や人体への影響、生産管理などを研究する人のことです。
研究施設、病院、大企業などに勤務しており、主には理系、農学系の学校を卒業していている方が就いています。
流通から食に関わる仕事
食材や食品は流通しなければ全国の人のもとには届きません。
流通も食に関わる大切な仕事のひとつです。
生産者を含め、私たちの手元に食が届くまでには次のような人たちが関わっています。
- 農業、酪農、畜産業、漁業、養殖業など
- 食品開発、企画
- 販売、ウエイター、ウエイトレス
- 食品製造、品質管理、流通
- 飲食店オーナー、経営者
農業や酪農などは、地域の特性を活かし、安全で美味しい食材を提供する人たちです。
地方で勤務することが多いため、一部の食材は人手不足が顕著です。
しかしこの仕事がなければ食の流通は始まりませんので、非常に重要な役割を担う仕事といえます。
その後、生産者から流通業者、食品開発などを通して飲食店や販売店など消費者が利用する場所へと提供されていきます。
飲食店の配膳係、売り子なども、立派な食に関わる仕事のひとつです。
そのほか、食に関わる仕事は多数!
食に関わる仕事は、昔からある仕事だけでなく、近年新しく聞かれるようになった仕事まで多数あります。
たとえば次のような仕事です。
- 料理研究家
- グルメライター
- フードアナリスト
- カフェプランナー
- 食空間コーディネーター
- テーブルコーディネーター
- ソムリエ、バリスタ
- 料理教室講師
いずれも一般的には決して従事者が多いとはいえない職種ですが、自分の得意分野を活かし、自身の工夫が仕事の成果に直結するため、やりがいは十分です。
これまでにない視点から食に関わるべく、自分で新たな職業を作ってしまうバイタリティーあふれる人もいます。
食に関わる仕事の働き方の特徴
正社員やアルバイトなど一般的に多い働き方を希望するのであれば、一般企業や病院、施設などに就職することが大切です。
正社員が多い代表的な職種は、栄養士・管理栄養士、食品企画・開発が挙げられます。
宅配給食の調理なども高齢化にともなって需要が多いため比較的正社員の求人が多く見られます。
公務員の学校給食調理師は残業が少なく長期連休もとれるため人気ですが狭き門です。
ただし、飲食業界の場合にはアルバイトやパートなどの求人が多いため、いずれ正社員になれるのかを確認しておく必要があります。
一方、フードアナリスト、料理研究家、フードコーディネーターのように、比較的新しい職種については多くが自由業、フリーランスとして活動しています。
ほかの仕事と並行しつつ、仕事が増えてきたら独立する、といった形がひとつのモデルケースです。
農業や漁業なども基本的には自由業ですが、企業などに雇われて働く形もありますので、その場合は比較的安定した働き方もできます。
食に関わる仕事の給与相場
続いては、気になる給与相場をチェックしてみましょう。
食に関わる仕事に就くと、どのくらいの給与、報酬を得ることができるのでしょうか。
調理から食に関わる仕事の給与相場
企業や病院などの施設で働く調理師たちの年収は、200万円前後です。
調理師免許があってもアルバイト・パートで働く方が多くいますので、年収平均も低くなっています。
一方、ホテルや名店の一流シェフ、職人ともなれば1000万円以上稼ぐ方もいます。
独立した開業シェフ、職人はお店の人気によって変動するため、250万円~1000万円以上と変動幅が大きくなります。
ただし、高収入になるのは成功した後の話ですので、ホテルや名店で働いていても、最初の頃は年収350万円ほどからスタートします。
特に新人や見習いの場合は独り立ちできていませんので、ボーナスもなく、生活がギリギリという方も多くいらっしゃいます。
さらにその期間は長いため、諦めずに努力し続ける姿勢が必要になります。
栄養から食に関わる仕事
栄養士の年収相場は年齢にもよりますが、250~350万円ほどとなっており、一般的な会社員の年収相場と大差ありません。
病院や施設などで働くと定期昇給がおこなわれることが多いため、年齢に応じて緩やかに年収も上がっていきます。
50歳以上のベテラン栄養士であれば、400万円以上稼ぐ方も多くいらっしゃいます。
また、管理栄養士になれば年収相場も300~500万円ほどと高くなり、研究者もそれに近いものがあります。
特に大手食品メーカーなどに勤務する管理栄養士や研究者であれば、待遇にも恵まれています。
また、公務員調理師の場合は公務員ですので、一般企業や民間の病院などに勤務される方よりも年収相場は高めの500万円ほどです。
採用されるまでのハードルは高いものの、やはり高収入といえるでしょう。
流通から食に関わる仕事の給与相場
農業や酪農など生産者の年収は、年収300万円未満の従事者が3~4割、300~500万円のゾーンが2~3割です。
一方で、年収1000万円以上の高収入になるケースも2~3割あり、決して少ないとはいえません。
うまくいけばサラリーマン以上の収入が可能ですが、それなりに厳しい生活を強いられている方も多いというのが現状です。
また、生産者は自然災害や風評被害など周囲からの影響を著しく受けますので、その意味でも変動幅が大きいといえます。
食品開発や企画は主に大手食品メーカーや関連企業でおこなわれますので、年収相場も350~500万円ほどと、比較的高水準で安定しています。
しかし販売や流通などなると仲介業者が増え、下請けに該当することが多くなりますので、200~300万円ほどと低くなります。
特にもっとも消費者に近い販売は、アルバイトやパートなどの非正規雇用が多くなるため200万円未満になることも多いです。
飲食店オーナーで成功するなど、例外的に高収入になるケースはあります。
そのほかの食に関わる仕事の給与相場
新しく聞かれるようになった食に関わる仕事の多くは雇われではなく自営業、自由業なので、契約内容によって異なります。
それぞれ関わる分野も違いますので、ひとくくりにまとめることは難しいでしょう。
ただ、ひとついえるのは、仕事として食べていけている人はごく一握りということです。
たとえばメディアで活躍するような著名人が該当しますが、そこまで辿りつけるケースは稀です。
その仕事を名乗ってはいるものの、実際はほかの仕事が主な収入源であったり、配偶者の扶養範囲内で活動していたりといった方も多くいらっしゃいます。
しいて年収相場を挙げるとすれば、0円~300万円といったところでしょう。
食に関わる仕事にはこんなやりがいがある!
食に関わる仕事に就いている人は、どのようなやりがいを感じているのでしょうか。
生活や命を支える仕事
食がなければ私たちは生活できませんので、食に関わる仕事は命を支える仕事といってもよいでしょう。
お腹を満たし、栄養を摂取し、健康的に生きることができるのは、食に関わる人たちのおかげです。
そして、その影響はどこかで途切れることなくつながっていきます。
たとえば妊婦さんの食に関わったその瞬間から、お腹の中にいる赤ちゃん、家で食事を待っている旦那さんにまで影響を与えていきます。
働く側にとっても、多くの人々の生活や命を支えている実感や社会貢献の意識が、やりがいやモチベーションにつながります。
喜びや満足感を与える仕事
食は単にお腹を満たすだけではなく、美味しさや見た目の美しさによって感動や喜びを感じることができます。
涙がでるほど美味しい食べ物や、家族に食べさせてあげたいと思うほどの料理を口にしたときの感動は宝となり、人生を変えるほどの影響力があります。
そうした姿、笑顔を目の当たりにしたとき、この仕事をしていて本当によかったと思うものです。
多くの人との出会いがある
食に関わる仕事には多くの人との出会いがあります。
職場の人、取引先の人、提供した先にいる大勢の消費者、その家族など。
提供した食の評判は人から人へとつながっていきますので、出会いに助けられ、支えられることも多いでしょう。
出会いを通じて食に関わる立場として責任を認識し、より安全で美味しい食を提供しようとするきっかけにもなります。
自分や家族の生活に活かすことができる
食の技術や知識は、仕事で活かすことはもちろん、自身や家族、友人など身近な人のために活かすこともできます。
人々の生活に寄り添った分野で働いているからこそ、実生活においても役立てることができるのは大きなメリットです。
自分自身が健康でいることや、大切な人の健康や笑顔につながります。
さまざまな分野へステップアップできる
この記事で紹介したように、食に関わる仕事にはさまざまな職種があります。
最初は飲食店のウエイトレスからスタートし、店長やオーナーへステップアップする人や、フレンチのシェフから和食料理人へ転身する人もいます。
ひとつの分野に限らず、さまざまな角度から食に関わっていくことができるのもこの仕事の魅力です。
食に関わる仕事の大変さも知っておこう
食に関わる仕事は、やりがいや楽しさだけでなく、大変な面もあります。
転職した後にギャップを感じてしまわないように、ぜひ知っておきましょう。
体力的な負担が大きい
食に関わる仕事は1日中立ちっぱなしのことが多く、体力的な負担が大きい仕事です。
特に調理に関わる仕事は朝早くから仕込みをし、夜遅くまで働き続けることもありますので、体力勝負ともいえるでしょう。
職場環境は快適とはいえず、パティシエのように気温が低い場所で働いたり、農業や漁業のように自然を相手したりすることもあります。
健康面に気をつかい、しっかりと体調管理をおこなうことも求められます。
責任が重い
どの分野から食に関わるにしても、人々が口にする食材、食品を扱う以上、その責任は重大です。
特に安全、衛生面におけるミスは許されず、ちょっとしたことが命取りになりかねません。
昨今では口コミサイトやSNSの発達からあっという間に広がってしまうリスクもあります。
飲食店やメーカーではクレームも多く発生しますので、その対応が負担になるケースも多いです。
自身が食に関わる仕事が好きというだけでなく、人々の安全や健康に関わっている責任を強く認識する必要があります。
給与が安定しない
食材や食品は生活必需品である一方で、多種多様な食材や食品があるため競争も激しい世界です。
人気や自然などの不確定要素に影響を受けるため、いつでも安定的に仕事があるとは言い切れません。
それは給与に直結することになりますので、いざというときのために備えておく必要もあります。
自分にあった食に関わる仕事の探し方
最後に、食に関わる仕事を探す方法を紹介します。
自分にあった方法で、自分にあった仕事を探してみましょう。
ホテルや飲食店の募集要項をチェックする
ホテルや飲食店のHPには、採用情報も掲載されています。
特定のホテルや飲食店で働きたい方は直接HPをチェックしてみてもよいでしょう。
いつ求人がでるのかは分かりませんので忍耐強く待つ必要がありますが、働きたい場所で働けるチャンスにつながります。
また、シェフや職人になりたい方は、求人の有無を問わず、弟子入りさせてもらう方法もあります。
その店でどうしても修行したいなどの希望がある方は熱意を伝えてみましょう。
ハローワークを確認する
食に関わる仕事は非常に多くの求人がありますので、ハローワークを利用した転職活動も効果的です。
特に地元企業や店舗で働きたい方はよいでしょう。
地元の中小零細企業を中心に扱うハローワークなら、自宅から通いやすい場所の企業や店舗、施設が多数見つかるはずです。
ただし、中には給与・待遇、労働環境に恵まれていない求人も多くありますので、実際に訪問やリサーチをして慎重に見極めることが大切です。
転職エージェント、転職サイト
より幅広く食に関わる仕事を探したいのであれば、転職エージェントや転職サイトを利用されるとよいでしょう。
特に商品開発や、ホテル・飲食店勤務の求人は非常に多くあります。
栄養士など特定の資格をお持ちの方も資格名で絞って探すことができ、効率的です。
気になる企業があれば詳細をよく調べてから応募します。
この点、転職エージェントを利用すれば、企業・店舗情報、職場の実態なども確認してくれ、希望をもとに求人を探してくれるため、仕事探しの手間を大幅に削減することができます。
面接の日程調整なども任せられるため、仕事で忙しくしている方などは利用された方がよいでしょう。
自分のペースでじっくりと仕事を探したい方は転職サイトの方が向いていますので、こまめにチェックしてみてください。
SNSを通じて発信し仕事にする
自営や自由業として食に関わりたい方は、まずはブランディングが必要になります。
自分が何者でどのような活動をしているのか、SNSやブログ、HPなどで発信しましょう。
その場を通じて仕事を募集したり、相談、提案などをおこなったりして稼ぐこともできます。
これらは副業としても始められますので、別の仕事を通じて技術や知識を磨きつつ、徐々に独立に向けた種まきをしておくことをおすすめします。
最後に
いかがでしたか?今回は食に関わる仕事をテーマに、仕事の種類、やりがいや大変な点などを中心に紹介しました。
私たちの生活に欠かせない食には、多数の選択肢がありますので、ご自身にあった仕事を見つけることも十分可能です。
ただし、体力面や給与面など、大変な点も多くあると理解し、それでもどのように関わっていくのかを考えることが重要ではないでしょうか。