日本の漫画やアニメは世界的に高い人気を誇っていることは、多くの方がご存じかもしれません。

漫画やアニメや成長産業であり、日本のアニメ産業の市場規模は2兆円を超すとされています。

海外からの人気が成長を後押ししていること、スマホや電子書籍の普及によって、いつ、どこでも気軽に漫画やアニメを目にする機会が増えたことなど、さまざまな要因が考えられます。

そんな成長著しい漫画、アニメに関わる仕事に就きたいと考える方は多いのではないでしょうか。

今回は、漫画やアニメに関わる仕事をテーマに、仕事の種類や適性を中心に紹介します。

漫画やアニメに関わる仕事には何がある?

漫画やアニメに関わるといっても、広く捉えるとさまざまな職種があります。

どのような仕事があるのかを見ていきましょう。

漫画家、原作者

漫画やアニメに関わる仕事といえば、漫画家、原作者が挙げられます。

漫画家は一般的にイメージしやすいでしょうが、アニメの場合はアニメーターと呼ばれる原画、動画を描く人や、作成された原画や動画に色を塗っていく彩色担当者がいます。

また、CGアニメーターのように手描きでは表現できないシーンを作成する人もいます。

原作者は平たくいえばストーリーを考える人です。

アニメの場合は脚本家が監督と協力してストーリーを構成していきます。

漫画家や原作者はそう簡単になれるものではないと、ある程度想像されているかもしれません。

まさにその通りで、他の仕事をしながら作品を応募し、採用されることを目指すことになります。

まったく異業種の仕事をされている方もいれば、漫画家のアシスタントをしながら目指す方もいます。

一方で、近年ではネットで自作の漫画を配信し、人気がでて出版社の目にとまる、といったケースも増えています。

書籍化にいたらずとも、ある意味では漫画家ですし、工夫すれば収入を得ることも可能です。

一握りの人しかなれない漫画家、原作者ではありますが、昔と比べればその道は開かれているといえるでしょう。

出版社勤務

漫画の場合は出版物になりますので、出版社へ転職し、漫画の編集やエディター、校正、営業などさまざまな職種から関わる道もあります。

ただし、出版社で人気の漫画に関わろうと思えば、第一に倍率の高い大手出版社へ就職する必要があります。

第二に、漫画編集部に配属され、第三に担当者となる必要があります。

出版社への就職が叶っても希望の部署へ配属される保証はありませんが、漫画の仕事と近い場所でチャンスをうかがうという点ではメリットがあるでしょう。

編集の仕事に直接関わりたいのであれば、出版社の下請けにあたる編集プロダクションに転職する道もあります。

最近では電子書籍の配信を専門としている会社もありますので、そうした会社へ転職することも漫画に関わる道のひとつです。

映像制作会社勤務

アニメの場合は映像ですので、映像制作会社などに転職することが王道です。

たとえばプロデューサーとして、予算やスケジュール管理、スタッフの配置・管理などアニメ制作側を動かす仕事があります。

その下には制作デスクやラインプロデューサーがいて、さらに細かく担当スタッフを配置し、実際にアニメを制作していきます。

デザイナー、イラストレーター

漫画やアニメといっても、ストーリーはもちろん、その登場人物が人々の人気を集める重要な役割を担います。

そこで、キャラクターデザイナー、Webデザイナー、イラストレーターなど、キャラクターをデザインし、生み出す仕事に就く道があります。

就職先としては、Web制作会社やデザイン会社、広告制作会社、Web配信会社などがあります。

規模にこだわらなければ、これらの求人は比較的よく見かけますので、多くの方にチャンスがあるでしょう。

ストーリーがある漫画やアニメとは異なる面もありますが、雑誌やアプリ、LINEスタンプ、法人のイメージキャラクターなどを作成する仕事もあります。

また、最近ではVチューバーと呼ばれ、バーチャルのキャラクターによるユーチューバーが増えており、そうした人に向けてキャラクターを作成、提供している人もいます。

デザイナーは、クラウドソーシングなどを利用してフリーランスで活躍する人もいます。

働き方は多数ありますので、キャラクターやイラスト作成などに興味のある方にはよいでしょう。

販売、流通系

間接的に漫画やアニメに関わる仕事として、販売・流通系の仕事があります。

漫画やアニメはおもちゃやグッズ、フィギアなどになることが多いため、そうした商品の製作、販売などを担当します。

DVDを販売する店でもアニメコーナーがありますので、アニメ分野に強い販売員として活躍することも可能です。

企画、開発に関わり、商品を作る側に立つこともあるでしょう。

アニメグッズやフィギアの買取専門業者もありますので、そこで目利き力を発揮することも方法です。

転職先としては、グッズやフィギアの販売企業、ゲーム、アミューズメント関連企業、映像DVDの販売業者などがあります。

販売、流通系は求人も多くでており、探しやすい点も魅力です。

声優

アニメに関わる仕事の憧れ的な存在といえば声優もいます。

声優がいなければアニメは完成しませんし、声優の人気によってアニメの人気が変わるほど大きな影響力をもっています。

また、アニメに限らず、声を活かし、ナレーション、映画の吹き替え、ゲームキャラクターの声を担当するなど、活躍の場は幅広いです。

声優は狭き門ですが、専門学校などに通って技術を身につけ、声優プロダクションに入ってデビューすることが一般的な方法です。

デビューしたからといって仕事があるわけではなく、オーディションなどを受けて仕事を勝ち取っていきます。

なお、声優は特に華やかなイメージがあり、人気声優になれば高収入も可能ですが、本当にごく一握りの人だけです。

レギュラーをもつような声優でも、一般企業勤めのサラリーマンより年収が低いことは普通にありますので、その点も押さえておきましょう。

書店員、漫画喫茶社員

漫画に限らず本全般が好きという方であれば、書店員も漫画に関わる仕事のひとつです。

近年は書店員のおすすめやポップが売上、店舗営業に影響を与えることが多いため、やりがいは大きいです。

漫画喫茶の社員という手もあります。

一般の書店と異なり漫画を主に扱っているため、店内のポップ作成や顧客からの質問に答える楽しさもあるでしょう。

ただし、漫画喫茶の場合は食事の配膳や掃除など、書籍と直接関係のない作業も多くなります。

そのあたりを許容できるならよいでしょう。

漫画やアニメに関わる仕事に向いている人

漫画やアニメに関わるには、大きく「仕事にする」か「趣味で楽しむ」のかに分けられます。

趣味の範疇でありつつもこだわりを持って楽しんでいる方もいらっしゃいますので、どちらがよいとはいえません。

仕事にするのであれば、適性を判断することも大切になります。

漫画やアニメに関わる仕事にはどのようなタイプの人が向いているのでしょうか。

漫画やアニメに関するスキルや知識をもっている人

仕事にするにはスキル、知識が求められます。

この点はどの業界で働くとしても同様ですが、いくら漫画やアニメが好きでもスキルや知識がなければ難しくなります。

それは、企業が人を雇うときに重視するのは、企業にどのような貢献をしてくれるか、という観点から判断するからです。

漫画やアニメに関しては、職人的な側面が強い分野ですので、特にスキルが重要です。

必要なスキルや知識は、どの職種に就くのかによって大きく異なります。

漫画家やアニメーターは描くスキルが必要です。

独学でスキルを磨く方も稀にいらっしゃいますが、一般的には美大や専門学校で学ぶ方が多くなります。

制作会社や出版社で働くには企画・発案力、コミュニケーションや調整力なども求められます。

絵を描くのは好きだけれど、人とコミュニケーションをとるのが苦手といった方には難しいかもしれません。

漫画やアニメに関わる仕事の求人を確認すると「PC作業ができる人」と指定されていることも多くなります。

特にアニメのCGや音響を担当するにはコンピューターを駆使することが必要不可欠ですので、ITやWeb関連の知識、技術も必要になると思っておきましょう。

「自分が好き」よりも「人の好き」を優先できる人

漫画やアニメに関わる仕事に転職したい人の中には、漫画やアニメが大好きという理由で希望される方も大勢いるでしょう。

もちろんそれは動機のひとつになり得ますが、それだけで仕事にすることは難しい面があります。

自分が好きな漫画やアニメと、世の中の人が求めているものが違うことは多々あるでしょう。

世間で求められている仕事ができず、やる気を失ってしまうこともあるかもしれません。

あくまでも自分が楽しむため、自分が好きであるというより、世間の人に向けた作品作りであることを忘れないことが大切です。

働く場所にこだわりのない人

漫画やアニメの仕事に関わりたいのであれば、基本的には東京で働くことも覚悟する必要があります。

映像制作会社や出版社、アニメデザイン会社の多くは東京に集中しているからです。

もともと東京で働いている方や、東京で働く希望のあった方はよいでしょう。

しかし、地方で働きつつ制作に関わりたい方は難しくなります。

ただし、販売や流通、書店員などは東京に限らず就くことができますし、キャラクターデザインなどを在宅で制作できる企業もあります。

もちろん、漫画家や原作者、フリーランスのデザイナーなども、打ちあわせの手間などを除けばは働く場所は自由に設定できることになります。

給与にはひとまずこだわらない人

「将来的に成功して多く稼ぎたい」という目標は必要かもしれませんが、まずは給与にこだわらなくてもやっていく覚悟がある方がよいです。

漫画やアニメの世界は芸術性、エンターテイメント性が強いため、安定的とはいえない業界です。

職種や経験により差が広いため年収相場と呼べるようなものはありませんが、しいていうなら年収100万円~400万円といったところでしょうか。

若手の漫画家などは経費を差し引いてほとんど手元に残らないといったこともあります。

一方で、大手出版社の編集や、プロデューサー、監督などのポジションにまでなれば500万円超といったこともある世界です。

また、特に最初の頃は、運よく業界に入れたとしても末端の作業を担当することが多く、簡単な仕事の場合にはアルバイト収入ほどにしかなりません。

月給制ではなく出来高制となっており、仕事がなくて生活に困るため、他のアルバイトと並行しておこなう方もいます。

漫画やアニメ業界で高収入になるのは、一握りの成功者だけです。

夢はありますが、それが現実だという厳しい面もある点は知っておき、諦めずにコツコツ努力を続けられる方に適性があるでしょう。

漫画やアニメに関わる仕事の探し方

漫画やアニメに関わる仕事はどのように見つければよいのでしょうか。

探し方を紹介します。

専門学校に通う

漫画やアニメに関わる仕事は、必須の資格はないものの、やはり特殊なスキルが求められることが多くなります。

そのため学校に通うことが多くなりますが、スキルを身につける以外にも、学校が独自のコネクションをもっているというメリットがあります。

学校に通うことで、漫画やアニメに関わる仕事の情報を得やすくなりますので、その意味でもメリットがあるでしょう。

もちろん、専門学校に通ったから仕事に就けるなど、甘いものではありませんが、技術や知識を増やしたい方にとっては得るものが大きいでしょう。

転職エージェント、転職サイト

一般的な転職活動でよく使われるのは、転職エージェントや転職サイトを利用して探す方法です。

漫画やアニメに関わる仕事に就きたい方も同様に、多数の求人から網羅的に探すことができ、メリットが大きい探し方です。

大手の転職エージェントや転職サイトであれば、もともとの求人数が多いため、希望の仕事が見つかりやすいメリットがあります。

アニメ、漫画、ゲームなどに特化した転職、求人サイトもありますので、そうしたサイトに絞って探してみるのもよいでしょう。

転職先を大手に限らず広く探してみると、漫画やアニメに関わる多くの企業から求人がでていることがわかります。

この点、転職エージェントであれば、どのような仕事があるのかを相談できることもメリットといえるでしょう。

最後に

いかがでしたか?今回は漫画やアニメに関わる仕事に着目し、仕事の種類、適性、探し方を紹介しました。

夢中になる方も多い漫画やアニメですが、仕事にするとなると大変な面も多くなります。

それでもこの仕事に就きたいとはっきりとした希望がある方は、さまざまな職種や働き方がありますので、挑戦してみてはいかがでしょうか。