わたしたちの生活に間違いなく欠かせないのは医療の分野です。

社会貢献性が高く、人の役に立てる医療に関わる仕事に就きたいと考える方も多いのではないでしょうか。

医療機関や医療の現場では、医療専門職、技術職をはじめとして多数の職種の人たちが活躍しています。

どのような仕事があるのかを知り、ご自身の今後の職業人生の選択にお役立てください。

医療専門職の種類となる方法、年収

まずは、医療の現場で欠かせない医療専門職の種類やなる方法、年収相場を紹介します。

医師、歯科医師

医療機関では、医師や歯科医師を中心とし、そのほかの専門職や技術職が治療をサポートしていきます。

医師や歯科医師がいなければ治療が始まりませんので、医療現場において不可欠な存在です。

医師になるには医大や大学の医学部に入り、6年制課程を修了して国家試験の受験資格が得られます。

試験合格後は医大や総合病院の研修医として2年間勤務しようやく一人前の医師になることができます。

歯科医師についても6年制の歯科大学や歯学部で学び国家試験に合格したあと、1年以上の臨床研修が義務づけられています。

看護師

医師の指示のもと治療や診療のサポートをおこなうほか、患者の症状を把握して適切な看護を実施します。

患者やその家族にとってはもっとも身近で頼りになる存在です。

看護師になるには看護師養成所にあたる大学や短大、専門学校などで学んだあと、看護師国家試験に合格します。

養成所でしっかり学べば国家資格を得ることは難しくありませんが、タフな精神力と体力、コミュニケーション能力が必須の職業となるため、第一線で活躍し続けるためのハードルは決して低くありません。

助産師

妊娠から出産後まで、母子の健康面、精神面をケアする仕事です。

正常な出産であれば助産師が単独で出産介助することもできます。

妊婦にとっては出産前後の不安をいちはやく相談できるなくてはならない存在であるため、精神面のサポートにも長けた人物であることが求められます。

また、新生児のわずかな体調の変化にも敏感でいる必要があり、観察力なども必須です。

助産師になるには、看護師免許を取得したあと助産師教育機関で1~2年学びます。

4年制の大学を選び、助産師専門コースに進む方法もありますが、選抜制で倍率が高いため成績優秀である必要があります。

救急救命士

救急車に乗り、医師の指示のもと救急救命措置(心臓マッサージ、輸液点滴、人工呼吸など)を実施します。

救急救命士養成学校を卒業するか、大学などの専門課程を修了して受験資格を得てから救急救命士の国家資格に合格しなくてはなりません。

また、実際に救急救命士として働くには消防署に所属することがほとんどですので、消防官採用試験、つまり地方公務員試験を突破する必要があります。

自衛隊や海上保安庁で勤務する場合も公務員試験に合格しなくては始まりません。

救急救命士は緊急の判断力や正確かつスピーディーな措置が必要となり、技術力はもちろんのこと、精神的に強く冷静でいられるかが鍵となります。

薬剤師

医師の処方箋にもとづき薬を調剤したり、患者に飲み方や注意点を説明したりする仕事です。

病院や薬局、ドラッグストアなどが主な勤務先となりますが、製薬会社や行政官庁で働く薬剤師もいます。

医療の分野では、患者に対して服薬指導をおこなう臨床薬剤師も活躍しています。

薬剤師になるには、大学の薬学部や薬科大学の6年制課程を修了し、薬剤師国家試験を突破しなくてはなりません。

治療や症状の改善に必要な薬を扱う責任、注意深さ、集中力なども求められます。

医療専門職の年収相場

医師、歯科医師の年収は勤務医か開業医かで大きく異なります。

勤務医の場合には1,500万円前後、開業医の場合には2,500万円前後と、開業医になることで年収は跳ね上がります。

看護師については、年収500万円前後が平均値ですが、年齢や役職によっても異なります。

命を扱う職種、夜勤があるといった点を考慮すると決して十分とはいえないかもしれませんが、全産業の女性の年収の中ではかなり高年収の部類に入ります。

仕事にあぶれることがない点でも多くの方が安定的だと考えるようです。

助産師についても看護師と大きくは変わりませんが、看護師+αの知識が必要となることから、手当の部分で看護師よりも優遇されるケースも多くなり、年収もその分増えることになります。

薬剤師の年収は550万円前後です。

都市部では薬剤師の数が多く供給過多となっていますが、地方ではまだまだ人材不足傾向にあります。

そのため薬剤師の年収は地方の方が高くなるなど、都市部と地方で逆転現象が起きています。

救急救命士は消防士と基本的な給与は同じですが、手当の加算があるため消防士よりも高めです。

月収こそ30万円台と一般的ですが、公務員である救急救命士はボーナスが高いため、年収相場は600万円前後にまでなります。

医療技術職の種類となる方法、年収

続いて、医療専門職と協力し、チーム医療の一員として治療や検査をサポートする職種となる方法、年収相場を紹介します。

診療放射線技師

医師の指示のもと、X線、CT、MRIなどの放射線装置を扱い、治療や検査に役立てる仕事です。

診療放射線技師になるには、大学や、3年制以上の短大または養成所で学んだあと、診療放射線技師国家資格に合格します。

一般的には病院や診療所で勤務することが多いですが、医療機器メーカーの研究部門などで働く人もいます。

放射線の専門知識や医学知識、電子工学やコンピューターの知識まで幅広く求められ、危険な放射線を扱うことから注意深さや慎重さが必要です。

臨床検査技師

医師の指示のもと、患者の血液や細胞を検査し、病気の早期発見や治療につなげる仕事です。

主には血液や尿などから細菌やウイルスを調べる検体検査と、脳波検査や心電図などを用いて身体の器官からデータを採取する生体検査をおこないます。

臨床検査技師になるには、4年制大学や、3年制以上の短大または養成所で教育を受け、臨床検査技師国家資格に合格する必要があります。

臨床工学技士

医療機関で使われるさまざまな医療機器の操作や保守点検、簡単な修理をおこなう仕事です。

機械を扱う仕事ですので、機械への興味や工学の知識が求められます。

臨床工学技士になるには大学の養成課程や短大、養成所で3年以上学んだあと、臨床工学技士国家試験を突破する必要があります。

病院や診療所、医療機器メーカーなどに就職・転職しますが、特に需要が多いのは人工透析装置が置かれているクリニックや大病院などです。

臨床心理士

心に問題を抱えた患者に対し、臨床心理学の知識を用いて問題にアプローチする仕事です。

教育や司法、福祉などさまざまな領域で活動しますが、医療の分野においては、患者を精神面からサポートしたり、心の問題で不適応に陥っている人の検査や判定をおこないます。

臨床心理士になるには、日本臨床心理士資格認定協会の資格に合格する必要があります。

受験資格を得るためには、大学で心理学などを学んだあと、協会が認可する指定大学院や専門職大学院課程を修了しなくてはなりません。

作業療法士

高齢の方や障害のある方に対し、応用的動作能力または社会適応能力の増幅を目指し、自立した生活が送れるように支援、指導をおこないます。

たとえば、手芸や園芸、ゲームやスポーツなどの種目を選び、作業を通じて機能の回復を図っていきます。

作業療法士になるには、大学の専門課程やリハビリの専門学校(3年以上)などで教育を受けて受験資格を得たあと、作業療法士国家資格に合格する必要があります。

理学療法士

障害のある方や障害の発生が予測される方に対し、運動療法や物理療法を用いて日常生活が送れるように支援、指導する仕事です。

作業療法士が応用的動作能力の増幅を目指すのに対し、理学療法士は基本動作能力の維持や回復を目指します。

具体的には、寝返りをうつ、立ち上がる、歩くなど日常生活に欠かせない基本的動作の改善を試みます。

病院やクリニックのほか、リハビリ施設や介護施設などで多くの需要があります。

言語聴覚士

生まれつき、あるいは病気や事故の影響により、聴覚障害、失語症、ことばの遅れなどをもっている方に対し、専門的な訓練や指導をおこなうことで機能回復をサポートする仕事です。

作業療法士や理学療法士と並び、リハビリ領域の国家資格として知られています。

言語聴覚士国家試験の受験資格を得るためには、3~4年制の専門大学や短大、専修大学で学ぶか、一般の大学をでたあとに養成学校に入り卒業する方法があります。

また、患者のわずかな口の動きや動作から分析や指導をおこなうため、細かいところまで気がつくことや粘り強く接することも求められます。

栄養士、管理栄養士

病院や福祉施設などに勤務し、患者や利用者が口にする食事の献立作り、栄養指導などをおこなう仕事です。

管理栄養士の場合はさらに高度な知識が求められ、一定規模以上の施設には管理栄養士の配置が義務づけられています。

栄養士になるには2~4年制の大学、短大、専門学校などを卒業し、都道府県知事に免許を申請する必要があります。

管理栄養士になるには、これらのルートで栄養士免許を取得した後に実務経験(1~3年)を積み管理栄養士国家資格に合格する必要があります。

実務経験なしで管理栄養士になるには、管理栄養士養成施設に該当する4年生の大学や専門学校で学んだうえで国家資格に合格しなくてはなりません。

医療技術職の年収相場

医療技術職の中で、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士の年収相場は400~600万円ほどです。

総合病院などでニーズがあり、比較的安定して昇給もしていくことから、年齢が上がるほど年収も高くなります。

一方、臨床心理士は技師系の職種と比較して活躍の場が限られており、病院以外で勤務することも多くなるため、300~500万円とやや下がります。

作業療法士、理学療法士、言語聴覚士のリハビリ系職種は400万円前後と、職種による差はほとんどないようです。

栄養士は250~400万円、管理栄養士300~500万円ほどと、一般的な年収相場ですが、やはり管理栄養士の方が年収は高くなります。

そのほか医療に関わる仕事の種類、年収

ここまで紹介したのは、患者の立場からしても比較的馴染みが深い職種ですが、医療の分野ではほかにも多くの職種が存在します。

医療秘書、医療事務

医療秘書という仕事に明確な定義はありませんが、一般的には院長や医局のスケジュール管理や来客対応など、いわゆる「秘書」としての役割を担う人を医療秘書と呼ぶケースが多いようです。

ただし、医療機関によっては医師の事務面での補佐やレセプトの請求、窓口業務など、医療事務を担当する人のことを医療秘書と呼ぶことがあります。

このあたりは勤務先でどのようなスキルを求められているのかによって変わるため、就職や転職前に仕事内容を確認しておきたいところです。

医療や診療報酬についての知識が求められる職種ですが、年収相場は250~350万円ほどと、他業種の事務系職種と大差ありません。

社会福祉士

病気やけが、高齢などによって日常生活を送ることが困難な方の相談に乗り、医療や介護制度の説明や解決手段の提案などをおこなう仕事です。

医療の分野では、社会福祉士は医療ソーシャルワーカーとして活躍し、医師や看護師とは別の立場から患者や家族が抱える問題解決を目指していきます。

年収相場は400万円前後です。

社会福祉士は医療だけでなく介護の知識も必要ですが、介護士などと比較すると恵まれているといわれています。

病院事務

医療事務と異なり、患者やその家族と直接会うことはほとんどなく、医療機関で働く人をサポートする仕事です。

総務、人事、経理、庶務、施設担当、情報システムなど、どの業界にも存在する職種が医療業界でも活躍しています。

就職や転職にあたって医療の知識は基本的に求められませんが、医療機関に勤務する以上、最低限のことは知っておく必要があります。

入社してから学ぶ機会も多くなるでしょう。

また、医師や看護師など緊急性の高い現場で働く人たちとやり取りし、重要な電話や問い合わせを受けることなどもあるため、神経を使うことも多くなります。

年収相場は250~400万円と、医療事務は他産業の事務と大きく変わりません。

ただし、医療機関の場合は景気の変動を受けにくいため、比較的安定して稼げる事務職だといえるでしょう。

MR(医薬情報担当者)

MRとはMedical Representativesの略です。

医療情報担当者と呼ばれ、主には製薬会社の営業担当のことを指します。

医療機関を訪問し、自社の医療用医薬品や関連情報を医師らに提供します。

患者と直接接するわけではありませんが、自社で開発した医薬品が疾病の治療や症状の改善に利用されることになるため、間違いなく医療に関わる仕事だといえるでしょう。

診察や手術の合間にいるような忙しい医師と面談しますので、豊富な製薬知識はもちろんのこと、端的に正しい情報を提供することが求められます。

大病院の医局前などでは、診察時間が終わった夕方以降に各社のMRがずらりと列をなす光景も、医療関係者にとっては珍しくありません。

営業職の中でも特に大変な部類に入りますが、その分年収相場は700~800万円と高収入です。

製薬会社自体の年収相場が高いこと、営業ならではのインセンティブがつくことなどが理由です。

研究者

病気の仕組みや原因を解明し、治療方法などを研究する仕事です。

主には大学の医学部や国公立、民間の研究施設で研究を続けています。

病理学研究者、歯学研究者、製薬研究者などさまざまな分野の研究があります。

医学部や薬学部、理工学部などを卒業し、大学院で修士課程を修了することが条件となるほか、臨床研究の分野では医師免許も必要です。

いうまでもなく医療分野の専門知識が不可欠ですが、それ以外にも医療の未来に貢献するための強い志、深い探求心、忍耐力、論理的思考なども問われる仕事です。

年収には相場と呼べるようなものはなく、所属施設の研究費予算、実績、知名度などにも左右されます。

大学で教授となり研究を続けるような場合には1000万円前後の高収入となることがありますし、研究所の場合には200万円台の研究者もいるなど、その生活は決して恵まれているとはいえません。

転職して医療の仕事に関わるには?

ご紹介したように、医療の仕事に専門職や技術職として関わるには、大学や専門学校などを卒業することが必須であり、職種に応じて試験に合格しなくてはなりません。

何の経験もなく転職して医療に関わることのハードルは非常に高いといえるでしょう。

しかし、高い志がある方の中では、一度は他業界に就職したものの、再度学校へ入り直し、医療の道へと進むようなケースも見られます。

また、医療に関わる仕事は専門職や技術職として医療機関に勤めるだけでなく、関連企業で働く方法や、事務や施設運営、広報活動などさまざまな道があります。

間接的であってもれっきとした医療に関わる仕事であり、社会貢献を感じながらやりがいをもってできる仕事ではないでしょうか。

最後に

いかがでしたか?今回は医療に関わる仕事をテーマに、職種やなる方法、年収などを紹介しました。

医療の現場や関連施設では、今回紹介した以外にもさまざまな職種の人が活躍しています。

ご自身がどのような立場から医療に関わっていきたいのかをじっくり検討し、必要なスキルや知識は何か、得るためにはどういったルートを進めばよいのかを整理してみてください。