犬は古くから人間と生活を共にしてきた動物で、一説によれば数ある動物の中で唯一自ら人間に歩み寄ってきてくれた動物とも言われています。
一般的にペットとしてよく飼われている猫や魚、鳥などと比べても、人懐っこいイメージがありますね。
そんな犬が好き、犬と一緒にいることで癒される方は、犬に関わる仕事に興味があるのではないでしょうか。
今回は、犬に関わる仕事の種類を紹介します。
目次
犬に関わる仕事に就くということ
犬が好きな方にとっては何よりの癒しであり、仕事をするうえでモチベーションを保つことができます。
さまざまな犬と触れあうことで、犬はたくさんの表情を見せてくれます。
自宅で犬を飼う場合には知らなかった犬の新たな魅力に気づくこともあるでしょう。
一方で、犬に関わる仕事の多くはサービス業となりますので、土日祝日が出勤日となることは何ら珍しくありません。
子育て中の方などはご家族と休みをあわせることが難しいため、ある程度覚悟しておいた方がよいともいえるでしょう。
また、単に犬が好きという理由で仕事にすることは手放しでおすすめできるものではありません。
体力、忍耐力なども必要なハードな仕事が多くなります。
この点は、どの程度犬と関わる仕事に就きたいのか、ご自身の特性なども考慮して判断するべき内容です。
さらに、職種や経験などにもよりますが、給与も低いことが多く、特に他業界から転職した場合には驚く方も多いようです。
雇用形態は正社員や契約社員、アルバイトなどさまざまですが、いずれにしても給与相場は低く、決して恵まれていません。
犬に関わる仕事で年収アップを目指したい方は、技術を磨きキャリアを積み、独立して成功することが王道の方法となります。
年収を主に大事にしたい方は、仕事としてではなく、ボランティアやご自宅で飼われる範囲で関わっていくという選択肢も視野に入れましょう。
犬に関わる仕事の種類は何がある?
犬に関わる仕事といっても、実に多くの職種や業務が存在します。
今後の転職可能性を知るためにも、どのような仕事があるのかをチェックしてみましょう。
ドッグトレーナー
一般家庭で飼う犬のしつけをおこなう仕事です。
留守番や散歩、トイレなど、飼い犬として人間と生活していくための基本的なマナーを教えていきます。
ご自身がしつけの知識や技術をもち、犬とよくコミュニケーションをとってしつけていくほか、飼い主にも伝えていかなくてはなりません。
犬と飼い主への高いコミュニケーション能力が求められます。
国家資格は必要ありませんが、知識や経験を得るためにドッグトレーナーのライセンスを持つ人が多くなります。
また経験が求められる仕事ですから、未経験からいきなりなろうと思っても、そもそも仕事にするためのハードルが高いです。
犬の訓練士
盲導犬や警察犬などの訓練をおこなう仕事です。
こちらも国家資格はありませんが、公務員試験に合格して警察や税関職員になることや、日本警察犬協会や盲導犬育成施設、私設の訓練学校などが定める基準を超えることが求められます。
ドッグトレーナーが家庭犬にしつけを教えるのに対し、犬の訓練士は犬が担う仕事を覚えさせますので、対象や教える内容が大きく異なります。
犬の訓練士が接する犬は主に人命や事件の解決に関わるため、非常に厳しい訓練を与えます。
ペットシッター
飼い主の留守中に犬の世話をする人のことをいいます。
基本的には、飼い主の自宅に訪問し、飼い主宅で犬と一緒に留守番をする形になります。
留守中に他人を入れること、大事なペットを任せることから、かなり信用性が重視される仕事です。
犬に関わる仕事の経験者、愛犬家で経験が豊富な方などでなければ信用を勝ち取ることは難しいです。
必須の資格こそありませんが、やはり資格があることは信用に大きく影響します。
未経験、無資格だと依頼を受けることはほぼないと思っておきましょう。
犬のブリーダー
犬の交配や繁殖、出産などのサポートをし、犬を販売ルートにのせる仕事です。
資格や学歴、年齢などが問われることはありませんが、犬に関する知識や経験が不可欠ですので、未経験でつくことは難しくなります。
ブリーダーをしている人の下で働きながら経験を積み独立する形、ブリーダーを専門としている会社に就職・転職する形があります。
ペットショップ店員
ペットショップの店員として、犬を見にきた人の接客や販売手続き、販売後のケア、犬の生体管理、ドッグフードや関連グッズの販売などをおこなう仕事です。
犬猫専用のペットショップもありますので、特に犬に関わりたい方はそうした店舗を選ぶこともよいでしょう。
反対に、さまざまなペットを取り扱うペットショップで働く場合には、犬だけでなく多種類の動物に関する知識、愛情が求められます。
ペットショップの店員になるために特別な資格は必要ありませんが、動物関連の資格や経験がある方が有利です。
ドッグカフェ店員
犬と飼い主が一緒に入れるカフェのスタッフです。
ドッグカフェでは飼い主が一緒にいるため、スタッフが直接犬の世話や指導をする必要はありません。
動物関連の資格は特に必要なく、犬が好きというだけでも応募のハードルはクリアできることが多くなります。
ただし、カフェの店員は接客業ですので、専門資格や技術以上に接客スキルや感じのよさが重要です。
もっとも、応募に際して動物関連の資格を持っていることはアピールのひとつにはなるでしょう。
資格保持者がスタッフにいれば、店も利用者も安心できるからです。
獣医師
動物の医師です。
犬に限らず、猫やうさぎなどの小動物、牛や馬などの大動物までさまざまな動物の診察や治療をおこないます。
獣医師になるには6年制大学の獣医師コースや獣医師学科などで学び、獣医師の国家試験に合格する必要があります。
免許を取得後は、動物病院や動物園、製薬会社で働くほか、公務員になる道もあります。
また、独立開業して動物病院を経営する人もいます。
人間相手の医師はさることながら、獣医師もハードワークですので、体力や忍耐力なども必要となります。
動物看護士
動物病院、犬猫病院などで獣医師の補助や、獣医師の指示のもと、薬の準備や処置、院内業務全般をおこなう仕事です。
人間の医師と看護師の関係をイメージされると分かりやすいでしょう。
獣医学や看護学についての知識や経験が求められる責任ある仕事です。
看護師のような専門的な知識はないけれど動物病院で働きたい場合、受付スタッフになるという方法もあります。
トリマー
ペットの毛を整える仕事です。
カットやシャンプー、ブラッシングのほか、耳掃除や爪切り、体調チェックなどもおこないます。
トリマーが作業中に犬の病気に気づくといったこともありますので、犬の命にも関わる大切な仕事です。
大好きな犬に直接触れ合えるほか、綺麗になった犬を見て飼い主が喜んでくれることも大きなやりがいのひとつです。
トリマーになるために必須の資格はありませんが、トリミングスクールなどの専門学校で学んでからペットサロンやペットホテルなどで働く方が多くなります。
就職や転職に際しても、ほとんどのケースで、学校卒業者や経験者、資格保持者が優遇されます。
ドッグマッサージセラピスト
犬の体をマッサージをする仕事です。
ドッグマッサージは室内犬の血行を促進させたり、外に出られないストレスを改善したりする効果があるとして近年、注目を浴びています。
ドッグセラピストやドッグマッサージセラピストなどの民間資格を取得して活動しますが、就職先としては動物病院やペットショップなど一般的なペット業界の職場がほとんどです。
マッサージ専門というより、犬に関わる仕事に就くための付随的なスキルだと捉えておくとよいでしょう。
ペット関連企業社員
ペットは家族の一員として考える方が多いため、犬専用の衣服、ドッグフード、おせち料理、しつけ教室、 ペット保険など、人に対するサービスと同様にさまざまなサービスがあります。
こうしたサービスを提供している企業へ転職することも、犬に関わる仕事に就くひとつの方法です。
「犬がいる場所」から仕事探しのヒントを得る
犬に関わる仕事に就くには、ペットサロンやペットショップなどに勤務するくらいしか思いつかないかもしれません。
しかし、犬は身近な場所、あるいは普段あまり関わらない場所など、さまざまな場所に存在します。
「犬はどんな場所にいる?」という観点から探してみることも、犬に関わる仕事探しのヒントになるのではないでしょうか。
犬のテーマパーク
犬のテーマパークとは、さまざまな種類の犬に出会えたり、自然の中で犬と触れあいながら遊んだりすることができる施設です。
愛犬をドッグランに参加させるコーナーなども設けられていることがあります。
犬好きなら一度は行ったことがあるかもしれません。
こうした施設の従業員となれば、毎日の仕事の中で犬と関わっていくことができます。
このほかにも、愛護センターや犬を飼っている娯楽施設などがあります。
老犬ホーム
高齢犬は人間と同様に介護が必要になることがあり、食事や歩行が補助なしでは困難になる、視力が弱り不安感から夜鳴きが続く、認知症で徘徊するといったことが起こります。
こうした高齢犬を預かり介護する施設が老犬ホームと呼ばれる施設です。
犬の寿命は14歳程度であることから、寿命をまっとうするまで介護を続けるご家庭も多いですが、近年では飼い主が高齢化して老老介護となっているケースなどもありますので、需要が増えてきています。
中には動物介護士と呼ばれる資格を取得して働く方もいますが、動物介護士自体は、独立した職業としての認知度は低くなります。
ペットモデルプロダクション
CMやドラマ、動物バラエティー番組などに出演するペットモデルを扱うプロダクションです。
芸能事務所のペット版といったところでしょうか。
ペットモデルのマネジメント、募集やオーディション、制作会社や代理店向けのプロモーションやイベント企画などをおこないます。
応募資格はプロダクションの基準によりますが、学歴や資格などは求められず、動物が好きであれば応募できることが多いようです。
探せばあるかも。少し珍しい犬に関わる仕事
広く認知されているとまでは言えないものの、世の中に存在する少し珍しい仕事を紹介します。
企業や店にいる犬の世話係
企業や店舗、学校などで「犬の世話係」を募集していることがあります。
経営者の方が犬好きであったり、店舗のマスコット犬を飼っていたりする場合、散歩や食事など日常的な世話が必要になるからです。
犬の専門学校が講義に参加する犬の世話係を求めているケースもあります。
求人にもよりますが、犬の世話以外に受付や電話対応、書類整理などの雑務を任されることもあります。
珍しい仕事ではありますが、ときどき見かける求人ですので、犬と関わりつつ一般的な仕事をしてもよいと考える方は探してみてもよいでしょう。
アニマルコミュニケーター
アニマルコミュニケーターとは、平たくいえば動物と会話する人のことで、動物対話士などと呼ばれることもあります。
元気に生きている動物と会話する人から、すでに亡くなってしまった動物の声が聞こえるという人までいます。
スピリチュアルで怪しい仕事のように感じるかもしれませんが、「動物の気持ちを汲み取る人」と捉えると、人間でいうところの心理カウンセラーのような役割も担います。
また、動物の表情や動作から気持ちを理解するという点では、洞察力や動物とのコミュニケーション能力に長けた人だということもできるでしょう。
直接的な求人を探すことは難しいですが、民間の資格がありますのでペット業界で働くのであればひとつのスキルとして身につけておくと仕事の幅が広がるでしょう。
ドッグホスト
夫の扶養に入るから正社員ほどバリバリ働かなくてもよい、少しでもよいから犬と触れ合う仕事をしてみたい…。
そんな方はドッグホストという仕事もあります。
ドッグホストとは、飼い主が旅行や出張などで長期間留守にする際、一時的に犬を預かり世話をする人のことです。
ペットシッターのように、他人を自宅に上げることに抵抗感がある方や、狭くて割高なペットホテルに預けることに躊躇するような方に重宝されています。
ドッグホストになるにあたり必ずしも資格や仕事の経験が求められるわけではありませんが、人の大事なペットを預かる仕事です。
そのため動物関連の資格をもっている方、愛犬家、犬に関わるボランティア活動をしてきた方などが携わることが多いようです。
ペット関連の仕事をくまなく探す方法
犬に関わる仕事を探すには、企業のHPから採用情報をチェックするか、求人サイトや転職エージェントの求人をチェックすることが基本的な方法です。
ペット業界に特化した求人サイトもありますので、とにかくペット業界で働きたい方にはよいでしょう。
また、転職エージェントを利用する場合には、大手のエージェントを選ぶ方が賢明です。
犬に関わる仕事を探すという限定的な場面においては、求人件数が多くさまざまな業種を扱っている大手の方が、求人を見つけやすいからです。
特化型の求人サイトと、大手の転職エージェントを並行して利用し、情報量を底上げするという方法もあります。
なお、地元の中小企業で働きたい方はハローワークもひとつですが、求人件数や質には期待できないため、ほかの方法と並行して利用されることが望ましいです。
最後に
いかがでしたか?今回は犬に関わる仕事の種類を紹介しました。
犬に関わる仕事とひとくちに言っても、さまざまな仕事があります。
関わり方や仕事内容、給与や大変な点はそれぞれ異なりますので、応募先をよく調べたうえで、ご自身にあうかどうか検討されるとよいでしょう。