紙媒体の衰退が著しい現代ですが、本が好き、本の魅力を多くの人に伝えたいなど、使命感にも似た感情をもち、書店員への転職を目指す人は少なくありません。

書店の正社員として働くのは現実問題としてどうなのか、気になることでしょう。

そこで今回は、書店の正社員になるために知っておきたい業界事情と、書店員に求められる資質、転職活動方法を紹介します。

出版業界はやはり厳しい?書店の業界事情を解説

まずは書店の業界事情について。

書店を含めた出版業界は今どのようになっているのでしょうか。

転職先として選ぶ以上、よく考えておきましょう。

出版物、書店ともに減少傾向に

インターネットでいつでも自由に情報にアクセスでき、電子書籍や、書籍以外の娯楽が増えた昨今、出版物は年々減少しています。

それにともない、廃業する書店も増えており、特に個人書店はあまり見かけなくなってきました。

何年も前から指摘されている業界の危機的状況ですが、回復の決め手となる手段がまだ見つかっていないと言えます。

離職率は高め。理由は将来性と薄給

書店員の離職率はやや高めの傾向にあります。

本が好きで仕事自体はやりがいがあるけれど、仕方なく辞めるという人も大勢います。

大きな理由は、業界全体の勢いがなく将来性に不安を感じること、薄給のため生活が厳しいといった点が挙げられます。

書店正社員の給与事情は?

書店員の給与は決して高い水準ではなく、アルバイトだけでなく、正社員であっても同じです。

特に若い方や経験年数が少ない場合、月収は20万円未満も珍しくなく、賞与も期待できません。

店長クラスになれば大幅アップするわけでもなく、少し手当がつく程度と思っておきましょう。

今書店の正社員を目指す人は、新しいことにチャレンジできる仕事への興味と、本が好きでやりがいを感じながら仕事ができるという点に重きを置いている人が多いです。

複合型書店が増加中!総合エンタメとして切り開く

出版物と書店の減少など、良くないニュースばかりが指摘される出版業界ですが、アイデアを活かした面白い動きが活発化してきています。

その象徴的な動きが、複合型書店と呼ばれるタイプの書店の増加です。

書籍販売コーナーの横にカフェがあり、カフェ内で新品の本が読めたり、音楽や映像を取り入れたイベント開催や実施されたり。

従来からある文具やCDコーナーをさらに充実させ、専門性の高い書籍を扱うなど工夫もされています。

業界全体として勢いがない今だからこそ、新しい道を切り開くチャンスとも言えます。

企画を考えたりアイデアを練るのが好き、好奇心があって行動に移す実行力がある方は、「ワクワクすること」「自分が好きなこと」にチャレンジできる可能性があるでしょう。

書店の正社員に求められること

正社員として書店に転職するには、どんなスキルや資質があればいいのでしょうか

。書店の正社員に求められること、アピールできるポイントを紹介します。

本が好きで知識が豊富であることは必須

書店員にもっとも必要な資質は、やはり本が好きで本の知識を豊富にもっていること。

書店員が接客するのは、本が好きな方も非常に多いので、その方たちを上回る知識や興味がなくてはなりません。

最近は、書店員のおすすめコーナーが設けられるなど、書店員が本のプロフェッショナルであるとの認識が広まっているため、書店を訪れる人たちも、書店員に高い期待を寄せているのです。

書店自体が減っている中、書店員の質を高め、書店の魅力を再認識してもらうためにも、書店員に求められる役割は大きいものがあります。

提案力がある書店員が求められている

書店を見渡してみると、さまざまな場所でPOPが備えられていたり、分かりやすいランキングやコーナーが設けられていたりと、来店者に興味をもってもらえる工夫が施されています。

インターネットでも手軽に本が買え、電子書籍もあるこの時代、書店が生き残るには、書店自体にいることの楽しさ、本の魅力を熱量をもってダイレクトに伝えることが必要でしょう。

このため、書店員は単に本の知識があるというだけでなく、提案力に長けていることが求められます。、

図書館司書や外国語があるとアピールできる

書店員に必須の資格はありませんが、転職の際には、図書館司書資格があれば本に精通しているプロとして、その資質をアピールできます。

最近は書店を展開する企業が、自治体と提携して図書館を設立する動きなどもあるため、民間企業に勤めながら図書館で働けるチャンスもあります。

また、外国語ができる書店員も価値があります。

書店がある立地によっては、外国人の方が多く訪れたり、専門性の高い洋書を扱っている店舗もあるため、外国語ができる書店員がいることは大きなメリット。

特に英語に強いと幅広く対応できるため、他の書店員からも頼られる存在になるでしょう。

転職して書店の正社員になる方法

書店の正社員になるには、どんな方法があるのでしょうか。

書店の正社員を目指す人の転職活動方法を紹介します。

アルバイトからステップアップする

書店には多くのアルバイト、パートが働いています。

正社員求人がなかなか見つからない、大好きな書店があるけどアルバイト求人しかでていないといった場合は、アルバイトから入社するのも1つの方法です。

ただし、正社員登用制度自体がないと、いくら優秀でも正社員になることは難しいので、アルバイトの面接で聞いておくようにしましょう。

正社員になりたいくらいの方であれば、やる気がある証拠でもあるため、アルバイト面接にも通りやすくなります。

転職エージェントや転職サイトを利用する

書店の正社員求人は、書店数自体が減少傾向にあることから、決して多いとは言えない状況です。

ただし、転職エージェントや転職サイトを利用することで、求人がでたタイミングで応募に踏み切ることができるため、じっくり探す人には適しています。

転職エージェントの場合は、キャリア面談で希望を伝えておくと、求人を探して紹介してくれます。

応募時にはサポートを受けられるのも大きなメリットでしょう。

転職サイトの場合は、スカウトオファー機能を利用すると、条件に合致した人にスカウトメールが届くため、その中から気になる求人を選ぶことも可能です。

大手の転職エージェントや転職サイトであれば、かなり条件がよく興味深い求人も掲載されています。

書店の正社員として転職するためには、こうしたツールは徹底的に利用するのがおすすめです。