今転職を考えるなら、介護業界は狙い目な業界の1つです。

将来的なニーズの高まりと人手不足の深刻化もあり、転職しやすく、転職後のキャリアパスも分かりやすいのが魅力。

特に、国家資格である介護福祉士であれば、給与アップや仕事領域を広げることにも期待できるでしょう。

介護業界で働くなら、介護福祉士資格を取得して活躍の場所を広げたいですよね。

そこで今回は、介護福祉士への転職を考えている方向けに、介護福祉士の仕事事情や仕事内容、なるための方法を紹介します。

現場における介護福祉士のニーズ

高齢化が進む日本において介護職のニーズは増え続ける一方です。

介護業界では深刻な人手不足が問題となっており、現場では1人でも多くの介護職員が求められています。

その中でも、介護福祉士は介護職としての知識や経験が十分にある介護のプロとして、非常にニーズが高い職業となっています。

施設側にとっても、介護福祉士を雇うことにメリットがあります。

介護福祉士を中心とした有資格者を一定割合以上雇用することで、事業所の介護報酬が加算される「サービス提供体制強化加算」という制度があるからです。

求人媒体を見ても、介護福祉士の募集は数多くでており、転職を考える方にとっては今大きなチャンスと言えるでしょう。

今後も介護福祉士のニーズは上がっていくと考えられ、将来性にも期待できます。

介護福祉士の給与について

介護福祉士の給与については、厚労省が公表しているデータが参考になります。

介護職員の基本給与は平成28年で基本給与179,680円、平均給与額(賞与等含む)289,780円、時給者は1,110円となっています。

勤続年数別に見ると、勤続5年未満は基本給16万円台、勤続5~9年で17万円台、勤続10年以上でようやく19万円台となっています。

賞与も含めた年収で考えると300~400万円ほどが相場になり、決して高いとは言えません。

介護福祉士はその他の初級資格保持者に比べると資格手当がつくことが多いですが、手当額は3,000円~5,000円程度が主流。

介護職員全体平均と同等かやや高いといった給与額になります。

参照:厚労省「介護従事者処遇状況等調査結果」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/17/index.html

介護福祉士になれば資格手当が絶対につくの?

介護福祉士を取得して資格手当がついたり、給与がアップするかは施設ごとに基準が異なります。

これまでの勤務先で介護福祉士資格がついていた人でも、転職した場合に必ずつくかは確認が必要です。

転職した先で手当がなくなり、給与が下がってしまった人もいますよ。

「介護職員処遇改善加算」についても同様です。

介護職員を対象としており、特に介護福祉士資格保持者が受けるケースが多いですが、加算対象者は施設に一任されており、介護福祉士資格があるから必ず加算対象となるわけではありません。

介護福祉士資格を目指す人の中には、資格さえあれば必ず給与が上がると思い込むケースも見られますので、必ず勤務先や転職先の要件を確認するようにしましょう。

介護福祉士の仕事内容は?

介護福祉士の仕事は要介護者のサポートですが、業務は多岐にわたります。

転職して介護福祉士になりたい方は、介護福祉士の仕事内容や求められる資質を知っておきましょう。

ここでは、介護福祉士の仕事内容と求められる資質を紹介します。

生活支援

要介護者の日常生活を支援することは介護福祉士の基本業務です。

掃除や整理整頓、洗濯や食事の支度、買い物まで任されることもあります。

特に在宅や訪問介護では頻繁に発生する業務です。

誰にでもできる仕事だと思われがちですが、利用者によって求める範囲や好むやり方が異なるため、利用者や家族の希望を聞き取る力が必要です。

身体介護

入浴や食事、着替え、排泄の補助なども介護福祉士のメイン業務の1つです。

単に体力や筋力があればいいわけではなく、介護対象者の安全に配慮し、自身の体に負担をかけ過ぎないようにしなくてはなりません。

しっかりと知識を備えてスキルを磨いておく必要があります。

身体介護は生活支援よりできる人が限られるため、施設によっては身体介護ができると給与アップにつながります。

精神的なケア

介護福祉士は要介護者に寄り添ったサポートが求められ、特に精神面でのケアは重要な仕事です。

話を聞いて安心感を与えるだけでなく、、生活を楽しめるように近所の方や同じ施設内で暮らす方たちとのコミュニケーション方法をアドバイスすることもあります。

チームリーダーとしての業務

介護福祉士は、介護に特化した資格の中では唯一の国家資格であり、介護職が目指す資格の中でも上級資格に入ります。

介護福祉士になるとすぐにリーダーになるわけではありませんが、経験を積むとチームリーダーとしてメンバーの指導や管理といった業務も増えてきます。

転職して介護福祉士になるには?

ここからは、転職して介護福祉士になるにはどうすればいいのかについて紹介します。

介護福祉士資格の難易度や、資格取得にはどんなルートがあるのか見ていきましょう。

介護福祉士になるのは難しいの?

介護福祉士は国家資格ですから、「国家資格を取得するのは難しいのでは?」と不安に感じる方も多いでしょう。

他業界で役立つ国家資格には合格率1桁台のものも多数あり、「国家資格=難関資格」とイメージを持たれやすいです。

しかし、国家資格の中でも難易度や合格率は実に幅広く、決して難しい資格ばかりではありません。

特に介護福祉士は国家資格の中でも合格率が高く取得しやすい資格の1つです。

近年の介護福祉士の合格率は60~70%台で推移しており、真面目に勉強に取り組めば取得できる資格と言えるでしょう。

介護福祉士になるルート

介護福祉士は受験さえできれば合格しやすい一方で、介護福祉士を受験するには要件があるため、そもそも受験資格を満たしていないことがネックになります。

介護福祉士の受験資格は、下記のパターンによって変わってきます。

  • 福祉系高校を卒業している人
  • 養成施設を卒業した人
  • 介護業界で実務経験を積んだ人

福祉系高校や養成施設を卒業した場合は介護福祉士受験資格を得られます。※

一方、社会人が介護福祉士を受験するには実務経験を積むのが一般的で、実務経験3年以上と実務者研修修了が必要になります。

介護福祉士になるには、単純に試験の難易度だけで判断することができず、受験資格をどのルートで得るかも重要になります。

※平成29年4月から平成34年3月までに養成施設を卒業する方は、卒業後5年の間は、試験を受験しなくても、または、合格しなくても介護福祉士になることができます。

詳細は社会福祉振興・試験センターでご確認ください。

参照:公益社団法人 社会福祉振興・試験センターHP
http://www.sssc.or.jp/kaigo/qa/q_a_all.html

転職のために介護福祉士養成施設に通うことのメリットデメリット

社会人が福祉系高校に入り直すことは難しいですが、養成施設ならば社会人が通うこともできます。

ただし、社会人が養成施設を卒業して介護福祉士資格を取得するには、メリットデメリットがあるため、よく考えてからにしましょう。

どんなメリットデメリットがあるのでしょうか。

社会人が養成施設に通うメリット

養成施設に通うと介護の基本から実務まで徹底的に学ぶことができます。

経験がなくて不安が大きい、基礎からしっかり叩き込みたい方にはメリットがあるでしょう。

養成施設で出会った仲間ができ、就職先についてじっくり考えることもできます。

実務経験ルートだと3年以上の実務経験と実務者研修修了が必要ですが、養成施設なら最短2年ほどで受験資格を得ることができます。

少しでも早く介護福祉士資格を取得したい方にはおすすめです。

社会人が養成施設に通うデメリット

養成施設でも昼間通学を基本としている施設と、夜間や休日コースを実施している施設とがあります。

昼間通学を選択すると、一旦仕事を辞めて学業に専念するか、夜間の仕事と並行することになります。

仕事を辞めれば収入が途絶えて生活が苦しくなり、夜間の仕事と並行すると体力的に非常に厳しくなるでしょう。

夜間や休日コースを実施している施設なら社会人でも取り組みやすいですが、受講日が限られるため、昼間通学コースに比べて受験資格取得までの期間が長くなってしまいます。

結局は実務経験ルートと大きく変わらなくなり、養成施設に入る意味が小さくなります。

また、養成施設の入学要件として高卒以上があるため、満たしていなければ実務経験ルートを目指すことになります。

まったくの未経験から転職して介護福祉士を目指す場合の4ステップ

福祉系高校や養成施設を卒業しておらず、介護業界での勤務経験もない方は、実務経験を積みながら受験資格を得て受験することになります。

ここからは、未経験から転職して介護福祉士になるためのステップを紹介します。

1.実務経験を3年以上積む

実務経験3年以上がなければ介護福祉士の受験資格を得ることができません。

無資格でも採用してくれる介護施設は多数あるため、まずは先に転職し、実務経験を積みながら受験資格を取得しましょう。

介護施設の中には、資格取得の費用を補助してくれるところもあります。

受験費用を安くしたい方は、費用補助がある施設を探すのも1つです。

2.介護職員初任者研修を修了する

介護福祉士の受験資格に必須ではありませんが、介護初任者研修は介護資格の中でもっとも基本の資格となっており、多くの介護従事者が取得しています。

介護の仕事が自分に合っているか不安な方は、介護職員初任者研修を修了しておくと安心です。

3.実務者研修を修了する

介護福祉士の受験資格に実務者研修修了が義務づけられているため、実務経験ルートを選択するなら、実務者研修受講は必須です。

実務者研修は初任者研修より発展した内容ですが、無資格、未経験者でも受講は可能です。

初任者研修修了後に実務者研修を受講するより、ダイレクトに実務者研修を受講する方が費用面でのメリットがあります。

4.介護福祉士試験を受験する

受験資格を得たらようやく受験することができます。

試験に合格しなくては介護福祉士を名乗ることはできませんので、せっかく取得した受験資格を無駄にしないよう、しっかり勉強しておきましょう。

少なくとも3年はかかるルートなので長いように感じるかもしれません。

しかし、資格取得後にはすでに実務経験が豊富なので、すぐにでも仕事に活かすことができ、給与アップなども見込めるでしょう。

介護施設の求人探しは転職エージェントを利用すべき

介護福祉士資格を取得してから転職する場合、資格なしで転職してから取得を目指す場合、どちらにしても介護施設の求人を探すことになります。

介護業界は人手不足もあり、労働環境や待遇が良くないと指摘されていますから、求人探しは慎重になり、働きやすい施設を選ぶようにしましょう。

介護施設を探すなら転職エージェントを利用するのがおすすめです。

転職エージェントは応募先の情報収集力に長けており、事前に気になる情報を得ておくことができるからです。

ブラック施設を避けるには事前の情報収集が重要ですから、プロの手を借りて必要な情報を得るようにしましょう。

最後に

いかがでしたか?

今回は、介護福祉士の仕事事情や仕事内容、なる方法を紹介しました。

数ある介護資格の中でも仕事に直結しやすく、手当なども得られやすい介護福祉士。

取得すれば利用者からの信頼ややりがいにつながり、転職でも有利に働くでしょう。

介護福祉士への転職を考えている方は、ぜひ意欲的に取り組んでください。