雇われる以上、いつどんな理由で、リストラの対象となるのかは誰にも分かりません。
とはいえ、毎月安定した収入を得られ、何の不安もなく生活を保てる「リストラされにくい仕事」があるとしたら、多くの方はその仕事に就きたいと感じるのではないでしょうか。
もし以前にリストラされた経験があったのなら、なおさらその感情は強まるはずです。
そこで今回は、リストラされにくい仕事はあるのか、あるとしたらなぜなのかについて紹介します。
目次
そもそも会社員はリストラされにくい
まずは、そもそもリストラは頻繁に起こり得ることなのか、という点について触れます。
会社員は労働法規により一定の保護を受けており、日本ではそう簡単に解雇されないのが実情です。
たとえば、解雇については労働契約法第十六条において、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定められています。
労働基準法にも、一定の労働者に対する解雇禁止規定や手続きの規制が示されています。
ドラマや映画の世界にあるように、経営者の一方的な都合で「リストラだ!」と言われ、泣く泣く職場を追われることは少なく、実際にあったとしても、法的には通らないことも多いのです。
参照:独立行政法人 労働政策研究・研修機構
http://www.jil.go.jp/rodoqa/03_taishoku/03-Q02.html
リストラされてしまうケースとは?
では、必ずしもリストラされないのかと言えば当然そうではなく、一定の場合には解雇が認められています。
たとえば、労働者に重大な規律違反や非行(犯罪をおこなうなど)があった場合や、会社経営状況が悪化し、やむを得ず人員整理をしなければならない場合などは、「客観的に合理的な理由」があると認められる可能性が高まります。
また、いきなり解雇とはならず、「退職勧奨」という形で退職を提案され、あくまでも自分の意志で退職することになるケースもあります。
労働法規によって保護されている労働者ではあるものの、その身分は確実に守られたものではなく、場合によってはリストラや退職勧奨の対象となり得るということです。
特に、労働者がごく真面目に働いていても、会社経営が立ち行かなくなったときには、人員整理が現実的な選択肢になりますので、いつリストラされてもおかしくありません。
成績が悪い場合にリストラされることはある?
成績が悪いからと言って即座に解雇されることなく、単なる成績不振のみでは客観的合理的な理由とは認められないことが通常です。
ただ、入社時に本人が申告していたスキルや経歴と結果に著しく差異があり、反省や努力の機会を与えたにも関わらず一向に改善されない、業務の遂行に大きな影響がでるといった場合には、解雇が認められる可能性もでてきます。
また、成績が悪い場合、自分自身の問題として、周囲からの目が気になったり、成績が上がらないことで自信を失ったりし、会社に居づらくなり、自ら退職する人も多いです。
リストラされにくい仕事とその理由
ここからは、リストラされにくい仕事とその理由を紹介します。
リストラの不安が少ない仕事に転職したいと本気で考えている方は参考にしてみてください。
医療系専門職
医師、看護師、薬剤師などの医療系専門職はリストラされにくい仕事の筆頭です。
医療業界の人手不足と、高齢化による需要の高まり、景気に左右されにくい業界特性を考えても、職種としての安定性が高いです。
よほどの理由がなければリストラ対象とはならず、AIの台頭ですぐさま需要がなくなるとも考えにくいです。
ただし、学校に通って国家資格を取得する必要がある職種ですので、社会人になってから転職するのはかなりハードルが高いと言えるでしょう。
介護職員
低賃金や劣悪な労働環境が問題となっている介護職員ですが、リストラの観点から言えば、そう簡単にはリストラ対象となりにくいです。
医療業界同様に圧倒的な人手不足であり、未経験者や無資格者でも欲しいと感じる経営者がいることからも、すでに経験のある介護職員を手放すことは難しいと考えられます。
利用者からのクレームが多いなど、会社経営上の問題が発生しない限りは、雇用の安定性は比較的高めです。
法務や経理など専門性の高い仕事
事務系職種はコスト人員ですので、特別なスキルをもたない事務員はリストラの対象となる可能性がありますが、法務や経理など専門性の高い事務職であれば除外されやすくなります。
実務経験や知識がなければ代替がきかず、新卒者では中核を担うことができない、中途採用で要件を満たす人がいるとは限らないからです。
ただし、単に法務部門や経理部門に所属していればいいというわけではなく、高度な専門知識やスキルがあるか、経営にとって重要な人材であるかといったことが判断基準となります。
高度な対人スキルが求められる仕事
インストラクターやセラピスト、カウンセラーなどの接客業は、対人スキルや人間性が評価されやすい仕事ですので、オンリーワンの存在としてリストラされにくくなります。
この場合、単に資格や技術を持っているのではなく、顧客から人気や評価を得ていることも必要なので、厳しさもあります。
また、受付や販売員、注文係など、AIによる代替が進んでいる接客業については、リストラの対象となる可能性が高くなります。
接客業の場合はいわゆるおもてなしの精神や、顧客満足度を得るための工夫があり、接客のスペシャリストとして生き残ることが鍵となります。
クリエイティブな仕事
クリエイター、デザイナー、スタイリスト、美容師など、クリエイティブな仕事についてはAIがおこなうことが難しいので、今後も残りやすいと言えます。
こちらも人気や顧客からの指名率など、結果を残すことが前提です。
ただ、雇用の場合は、雇用主との相性や方向性の違いによって居心地が悪くなり、自ら退職して起業やフリーランスになる人も多いものです。
必ずしも安定しているとは言えません。
クリエイティブな仕事に転職する場合は、雇われ以外の選択肢も視野に入れておくといいでしょう。
公務員
雇用の安定という点では抜群なのが公務員です。
景気や業績に左右されませんので、ごく真面目に仕事をしてさえすればリストラされることはありません。
とはいえ、転職するには公務員試験を受ける必要があり、年齢制限などもありますので、採用ハードルが高い仕事になります。
業績好調大企業の社員
大企業であっても、業績が悪ければ大規模な人員整理がおこなわれることがありますので、リストラのリスクはゼロではありません。
全体の業績がよくても、不採算部門に所属している、プロジェクトが終了してしまったなどで、部門ごとリストラ対象となることもあります。
ただ、そうした事情がなければ、業績が好調の大企業では人員整理の心配が少なく、比較的安定的に働くことができます。
人気が高く、新卒一括採用主義であることが多いため、転職は狭き門となりますが、ずば抜けたスキルや知識、経歴があれば転職できる可能性が高まります。
リストラされやすい人は?
リストラされにくい仕事を考えるうえで、そもそもリストラされやすい人にはどんな特徴があるのかも知っておく必要があります。
リストラされやすい人材は、たとえ転職したとしても再度リストラリスクにさらされる可能性があり、結局は転職しなかった方がよかったケースもあるからです。
企業利益に直結しない人材
事務員、オペレーター、システムの保守管理など、バックオフィス系の職種はリストラの対象となりやすいです。
いるだけで人件費がかかりますし、営業や販売のように利益につながる要素がないからです。
もちろん、企業経営において必要な人材ではありますが、コスト削減場面においては優先的に削りたいと思われやすいのです。
年齢35歳以上
リストラ対象として年齢が必ずあるわけではありませんが、中堅社員以上だと対象となるリスクが高まります。
給与相場が高め、成長性の高さに期待できない、定年までの年数が短いなどが理由として考えられます。
特に40歳以上で管理職についていない人は、人員整理がおこなわれる際に真っ先に対象となりやすいと言えます。
すでに年齢35歳以上になっている人は、今の勤務先の業績が安定しているうちに管理職を目指した方がいいでしょう。
与えられた仕事だけをこなしている
いわゆる指示待ち人間は生産性がありませんので、企業の求める能力に達していないとしてリストラや退職勧奨の対象となり得ます。
自分で課題を見つけ、問題解決に向けて具体的に動ける人、スキルや知識を増やすよう向上心を高く持っていける人など、常に進化し続けることが求められます。
協調性のないトラブルメーカー
会社組織に所属する以上、周囲との協調性が必要とされます。
自分勝手な行動が多く、トラブルを起こしやすい、上層部に対して批判的といった場合には、目をつけられやすい存在です。
優秀であれば企業の業績がいいうちであれば残されますが、業績が悪化した場合には即座に対象となる可能性があるでしょう。
リストラはあくまでも人間がおこなうものですので、心情によって左右されることがあるということです。
リストラされない仕事に転職するには?
リストラされない仕事に転職するには何が必要なのでしょうか。
リストラされない社員になること
まずは今の会社で、リストラされない社員を目指すことが大切です。
企業は経営に必要な人材を求めていますので、転職を成功させる人とリストラされない人はほぼ同じになるからです。
仕事の生産性を上げ、企業利益に貢献するよう工夫する、高度な専門性を身につけるなどの努力が必要です。
リストラされない仕事に転職するなら早い方がいい
リストラされない仕事に転職したいと考えているのであれば、できるだけ早いうちに動き出した方がいいでしょう。
先に紹介したように、リストラされにくい仕事には一定の専門性や資格が求められることが多く、場合によっては応募条件に年齢制限もあるからです。
少しでも早くスキルや知識を身につけ、応募条件を満たす間に動き出す必要があります。
仕事と並行しながら資格取得や転職活動をおこなうこと
リストラされにくい仕事に就くために資格を取得する場合や、転職活動を始める場合は、今の仕事と並行して活動すべきです。
条件がよく、リストラ対象となりにくい仕事ほど、企業は採用に慎重になりますので、仕事をしていないブランク期間がネックとなる可能性があるからです。
退職を優先させてしまうと、リストラされにくい仕事につくどころか、転職すらできなくなってしまいます。
資格取得をする場合は、夜間や通信制で学ぶ、仕事の効率化を進めて勉強時間を確保するなどが好ましいです。
転職活動をする場合は、転職エージェントを利用すれば、求人を自分で探す必要がなく、転職サポートを受けることができてスムーズです。
最後に
いかがでしたか?今回は、リストラされにくい仕事や、転職するために必要なことを紹介しました。
会社員という身分でいる以上、どんな仕事でもリストラの可能性はゼロではありませんが、リストラされにくい仕事、されにくい人材は存在します。
リストラのリスクを少しでも減らし、安定的に仕事を続けるために、選択肢や手段として知っておくといいでしょう。