「うちの会社、給与は低いんだけどやめられないんだよね」

友人からこんな話を聞き、不思議に思ったことはないでしょうか。

特に、生活のため給与だけは譲れないと考えている人にとっては、「給与が低いなんてありえない」と感じるかもしれません。

しかし、仕事は生活の大半を占めるもの。

給与が高いだけでは続けられるものではなく、むしろ給与以外のところが支えとなり頑張れることも多くあります。

そこで今回は、給与が低いが魅力的な仕事の特徴を紹介します。

もしかすると、転職先を探す方向性について少し視点を変えてみることで、本当に合った仕事が見つかるかもしれません。

人間関係が良い

仕事を辞めたい、仕事に行くのが嫌だ…。

こんなふうに思うのは大抵が人間関係で悩みを抱えているからではないでしょうか。

同僚や先輩、上司、取引先の人、面倒なクレーマーなど、仕事上の人間関係はあらゆるところで発生します。

人間関係の良さはあらゆる条件を上回る力がある

「給与が低い、仕事が大変、それでも続けられるのは人間関係が良いから」と言う人は本当に多くいるものです。

人間関係の良さは、給与などのあらゆる条件を上回るだけの力を持っています。

ストレス社会と呼ばれて久しい日本社会の中で、人間関係によるストレスがほとんどないことは本当に素晴らしいこと。

実はとても恵まれた環境なのに、自身で認識できていない人も多くいます。

職場の人間関係に着目してみると、あまり条件にこだわりすぎないことの大切さが見えてくるかもしれません。

人間関係が良ければいくらでも稼ぐことができる

人間関係で悩むことがなければ、精神面の疲労がほぼありません。

自宅に帰って貴重な自分の時間を悩みで消化する必要はありませんし、自分のために何かをしようという気にもなります。

精神的にヘトヘトに疲れた状態であれば勉強や副業をする気にもなれませんが、特にストレスがないならそれも可能です。

仕事のスキルをアップさせたり、副収入を得たりすることが可能なので、結果的にいくらでも稼ぐことができます。

人間関係が良いなら続けた方が良い

ほかに特別やりたい仕事があるわけではないけれど漠然と何か別の仕事をしてみたい。

こう思ったときに注意したいのは、人間関係が魅力的な職場なら辞めない方が良いということです。

人間関係が良い職場を去っても問題ないのは、本当に自分がやりたい仕事があるなど明確な目的を持っている人だけです。

あまり深く考えずに転職した結果、「前の職場の方が人間関係が良かったから戻りたい」と考えてしまう人は珍しくありません。

それほど、人間関係が良い職場を見つけることは大変で、なかなか自分に合った場所とは巡りあえないものなのです。

好きな仕事である

自分の好きな仕事に就いている、仕事内容が自分に合っているといった場合も、給与が低くても続けやすい傾向にあります。

好きな仕事なら頑張りが苦にならない

人間誰しも、好きなことなら頑張れるし、多少の辛いことがあっても乗り切ることができるものです。

嫌なことを頑張ることは辛く厳しいことですが、好きなことを頑張ることは苦になりません。

自分自身でも頑張っている感覚がないため、仕事の力を上げるための努力も惜しまなくなります。

そのため仕事で成功しやすく、結果的には給与を上げることにもつながりやすいといえます。

生活ができるレベルなら好きな仕事を続けるべき

好きな仕事に就くときにしばしば問題となるのが、生活を保てるだけの給与がもらえないという点です。

特に手に職系の仕事については、一人前になるまでに長い年月を要すること、それまではまともな給与がもらえないことがあります。

この場合は、生活が何とかできるレベルなら続ける、生活ができずに困るレベルなら別の仕事に就くといった基準を設ける必要が生じます。

今から好きな仕事に就きたいなら副業から始めるのもひとつ

今から好きな仕事へ転職しようと考えている人は、その仕事で生活が成り立つかどうかを確認する必要があります。

せっかく好きな仕事に就いても、生活が成り立たずに苦しくなってしまえば、好きな仕事が嫌になってしまうことがあります。

好きな仕事が見つからない人が多い中で、それはとても勿体ないことです。

自分の好きな仕事を大切にするためにも、夢だけではなく現実的な生活も同時に考えておきましょう。

仮に生活が成り立たなそうであれば、副業から始めることもひとつの方法です。

本業を持ちながら、好きなことを副業でおこない、軌道に乗ってからスタートさせる。

あるいは、副業のまま続けていても精神的に充足されることもあります。

融通が利く

家庭を重視したい人にとっては、給与以上に重要なのが融通が利く点です。

子どもの用事で有休を取得しやすい、早退や遅刻も許容される、周囲の理解があるといった環境であれば、家庭がある人には非常に働きやすくなります。

仕事と家庭の両立に悩む人が多い

女性の社会進出は加速度的に進んではいますが、周囲の協力体制はそこに遅れをとっています。

そのため、仕事と家庭の両立に悩む人がまだまだ圧倒的に多いのが現状です。

「子どもがいてもどんどん働いてください」と企業は言うけれど、実際には子どもの用事で休めず子どもに寂しい思いをさせる、配偶者からは文句を言われる、上司に嫌な顔をされるなど、どちらもうまくいかない状況です。

融通が利く職場なら感謝の気持ちをもてる

職場の理解があり、融通が利く職場であれば、多少給与が低くても満足感は大きくなります。

そこそこの給与を稼ぎながら家庭も大切にできるのは、多くの家庭人にとって最適な落としどころと言えるかもしれません。

理解してくれる職場に対しては感謝の気持ちも湧いてきます。

仕事のモチベーションを高く保ち、良い仕事をしようという意欲にもつながります。

自宅から近い

仕事は仕事、家からの距離で決めるようなものでないと思う人もいるでしょう。

しかし、自宅から近いことは単に便利であるという枠にとどまりません。

通勤距離が近い人と遠い人、年間で何時間違う?

まずは貴重な時間を有効活用できる点が大きいです。

通勤時間が片道20分かかる人と、1時間30分かかる人とを比べてみましょう。

【片道20分かかる人】

  • 1日の通勤時間 40分(20分×往復)
  • 1ヶ月の通勤時間 13時間(40分×20日として)
  • 1年の通勤時間 156時間(13時間×12ヶ月)

【片道1時間30分かかる人】

  • 1日の通勤時間 3時間(1.5時間×往復)
  • 1ヶ月の通勤時間 60時間(3時間×20日として)
  • 1年の通勤時間 720時間(60時間×12ヶ月)

両者を比べると、1ヶ月で47時間、1年間で564時間もの差があります。

通勤時間が片道20分かかる人は、1時間30分かかる人に比べ、年間で564時間、自分の好きなことに使うことができます。

時給1000円の仕事をしたとすれば56万4000円稼ぐことができるということです。

通勤時間が短くて自由になる時間が多いなら、副業をするという選択肢さえ生まれます。

通勤時間を無駄に使っている人は注意

通勤時間が片道1時間30分かかる人でも、通勤電車の中で自分や家族のために有益なことに時間を費やしているならまだ良いでしょう。

仕事に関することや資格の勉強、読書、調べもの、主婦の方なら献立や買い物リストの作成などです。

しかし、通勤ラッシュで何十分も立ちっぱなし、ただストレスをため、座れたとしてもスマートフォンのゲームに時間を費やしている。

そんなふうに時間を使う人も大勢いるでしょう。

通勤時間が短い人に比べ、貴重な時間の損失は大きいといえます。

ほかにもメリットが多数

ほかにも、通勤距離が短いことで事故や犯罪に遭遇するリスクは必然的に下がります。

通勤時のストレスや体力消耗が少ないため、仕事に集中的に取り組むことができます。

残業になってしまい終電を逃したとしても、タクシー代はそれほどかかりません。

もちろん、自宅からの距離が近いだけで仕事を決めることのリスクはあります。

しかし、多少給与が下がったとしても、自宅からの距離が近い職場というのは、相応の魅力があるのです。

身につけたいスキルが身につく

将来的にやりたい仕事があり、そのために必要なスキルが身につく仕事は、給与が低くても大きなメリットがあります。

収入を得ながらスキルアップできることの価値

通常、今の仕事以外のスキルを身につけようと思えば、学校に通ったり、プライベートの時間を削って練習したりします。

そのための費用や時間はすべて自分で捻出しなくてはなりません。

それが、仕事をして収入を得ながらスキルを磨けるのであれば非常に助かるものです。

たとえ給与自体が低かったとしても、収入を得ながらスキルアップできることの価値は非常に大きいといえるでしょう。

仕事を通じて身につけたスキルは失われにくい

学校の授業や書籍から得た知識、スキルは実際に使わなければ失われていきます。

実務で必要な知識やスキルとはずれが生じていることもあります。

その点、仕事を通じて身につけた知識やスキルは失われにくく、まさに身になっていくのです。

ある弁護士の方は、「六法全書をすべて覚えるよりも、たった1回自分で訴訟を起こした方がよほど弁護士としての力になる」と言いました。

それだけ仕事を通じて得た知識やスキルは価値が大きいということです。

仕事を通じて身につけたスキルは評価されやすい

知識やスキルを身につけ、いざやりたい仕事に転職する際も、仕事を通じて身につけた知識やスキルは机上のそれとは異なり、評価対象となりやすいものです。

転職活動で十分アピールすることができますし、転職理由を伝える際にも説得力をもたせることができます。

目的をもって続けてきた仕事は、たとえ仕事内容が変わったとしても、職歴に一貫性があると判断されるでしょう。

福利厚生が恵まれている

給与が低かったとしても、福利厚生が恵まれていると、実質的な手取りが大きくなることがあります。

基本給が高いが福利厚生がほとんどない企業と、基本給が低いが福利厚生が多数ある企業とでは、後者の方が働きやすくなることが多いものです。

住宅手当に医療費補助など生活に必要な福利厚生

住宅手当や扶養手当がつけば、基本給が低くても十分に生活が成り立ちます。

たとえばある企業の住宅手当は2万円なので、家賃7万円の場所で生活しても実質は5万円で済みます。

基本給を2万円上げることは実はかなり大変ですが、住宅手当ならば申請すればすぐに支給されるため、要件を満たすならば非常にメリットが大きいものです。

また、病院などによく見られるのが、医療費補助制度です。

自分や家族が勤務先の病院にかかれば医療費がかからない、または補助がでるといった制度です。

ちょっとした風邪はもちろん、入院が必要なケガや疾病の際の医療費補助はとても助かります。

福利厚生が多いのは従業員ファーストの意思表示

福利厚生は企業が自由に決めることができるものです。

福利厚生の項目が多いほど、費用がかかり、手続きに労力もかかります。

そのため、やはり福利厚生が恵まれている企業は、従業員ファーストの傾向が強くなります。

従業員のことを何一つ考えていなければ、最低限の給与さえ与えていればよいので、福利厚生のような義務のないものに手間と費用をかけることはありません。

従業員の満足度を上げたいとの意思がある企業では、結果的に従業員が、あらゆる場面で働きやすさを感じることになります。

給与以外の条件を確認する方法

給与は求人票で必ず記載すべき項目ですから、転職前に確認することは容易です。

しかし、職場の雰囲気やどのようなスキルが身につくのかなど、より具体的な内容を確認することはそう簡単ではありません。

面接で質問するにしても、なかなか聞きにくい項目でもあるでしょう。

そんなときは、転職エージェントを利用すると良いでしょう。

企業内情に詳しいエージェントであれば、本当に知りたい情報を持っていることが珍しくありません。

採用担当者とのやり取りの中で個別に聞きだしてくれることもあります。

求職者が自分だけで情報収集することには限界がありますので、転職エージェントのようなサービスもあわせて活用してみましょう。

最後に

いかがでしたか?今回は、給与が低くても魅力ある仕事の特徴を紹介しました。

給与は生きていくための原資となるため、非常に大切なものです。

仕事を選ぶうえで給与を基準にすることは決して悪いことではありません。

しかし、給与だけを基準にした結果、仕事や職場環境への満足度が低く、結局辞めてしまう人も後を絶ちません。

給与が高い企業から低い企業へ転職した結果、「給与は低いけれど今の方が満足している」と感じる人も多いものです。

給与は良いけれど今の仕事が辛いと感じているのなら、給与以外のところにも目を向け、転職先を探してみることも良いのではないでしょうか。