自分は社会不適合者だから適職を見つけるなんてできっこない…。
こんなふうに考えたことはないでしょうか。
自分では社会不適合者だと思っていても、仕事の面で必ずしも悪い方向に働くとは限りません。
社会不適合者のはずが適職を見つけて満足のいく生活を送っている人は大勢います。
今回は、社会不適合者の定義や考え方、適職を見つける方法を紹介します。
目次
社会不適合者の定義
社会不適合者とは、社会の要求に応えることが困難な人、社会の中でうまくやっていけない人のことだと言われています。
社会とは、会社組織、業界、学校、地域のコミュニティなどさまざまです。
大人になれば仕事をしなくては生きていけませんので、主には会社員に向いているか否かと置き換えられることも多くなります。
いずれにせよ、一般的にはネガティブなイメージで捉えられることの方が多いようです。
とはいえ、その定義は実に曖昧で、どこからが社会不適合者なのか、明確な基準はありません。
不適合の度合いが数値ではかれるわけではありませんし、そのときの環境や自分の精神状態によっても変化していくものだからです。
自分では社会不適合者だと思っていても、実は社会に十分馴染める人は大勢います。
もしかすると、自分で思い込んでいるだけ、たまたま今の職場があわないだけかもしれません。
本来は社会への適合能力が高いことも十分考えられます。
その場合、部署異動や転職をすることですんなりと社会生活を送ることができることも珍しくありません。
どんなときに社会不適合者だと感じる?
仕事がうまくいかず辞めたいと感じるとき、「自分は会社員に向いていない。つまり、社会不適合者なのだ。」と言いたくなることはないでしょうか。
たとえば、次のような理由から社会不適合者だと思うことがあります。
- いつも周囲の人とうまくやっていけない
- なぜか先輩や上司に目をつけられることが多い
- 自分の意図と異なる解釈で受け取られることが多い
- 仕事をすぐに辞めたくなってしまう
しかし、これらは必ずしも社会不適合者の要件ではなく、多くの社会人たちがよく経験しているような気持ちです。
仕事が楽しくて仕方がないなどごく一部の限られた人の話で、仕事は辛いことの方が多いものです。
しかし、他人の気持ちは通常分かりませんので、自分だけが特殊なのだと思ってしまいます。
毎日辞めたいと思っている人は山ほどいます。
周囲の人とうまくやっていけない、自分の意図と違う解釈をされがちな人は、自分から挨拶やコミュニケーションをとる、表情を明るくするといった程度の工夫でうまくいくこともあります。
自分にあう仕事を見つければ、辞めたくなるどころか、長く続けたいと思うこともあるでしょう。
コミュニケーションが苦手なのは社会不適合者ではない
人前だと緊張して上手に話すことができない、人見知りをしてしまう…。
このような人は特に社会不適合者とはいいません。
コミュニケーションが苦手なだけであって、慣れ親しんだ人とはうまくやれたり、自分の好きなことであればいつまでも話していられたりしないでしょうか。
苦手意識があるのは、相手への気遣いや、空気を敏感に察知する能力が高いだけとも考えられます。
たとえば、人間関係に起因してメンタルの不調に陥る人は、とても真面目で責任感が強い人が多く、誰よりも社会的だからこそ辛くなってしまうことが多いものです。
そもそも社会不適合者は、人とのコミュニケーションに苦手意識すら持たないものです。
周りの人との相性もありますが、コミュニケーションが苦手でも社会にうまく溶け込み、自分の能力を発揮しているケースは多々あります。
単にコミュニケーションが苦手なのか、本質的に社会に適していないのかは分けて考えてみる必要があります。
そうでなければ、自ら社会を遠ざけ、本来の能力を発揮できる場所に身を置くチャンスを逃すかもしれません。
社会不適合者の特徴とは
では、社会不適合者とはどのような人のことを指すのでしょうか。
自分で自分の可能性を狭めてしまわないように、社会不適合者の特徴を知っておくことが大切です。
決められたルールを守れない
社会には必ずルールが存在します。会社組織で言えば、
- スーツを着用して仕事をする
- 決められたデスクで作業に取り組む
- 就労中に食事や間食をしない
- 仕事中には無駄話をしない
などがルールとなっている職場は多くあります。
ルールというより、守って当たり前の常識と位置づける人もいるでしょう。
しかし、世の中には、ルールや常識が理解できない、分からない人もいます。
単にこっそりルールを破ろうとする人は、ルール違反を認識しているため、社会不適合者とまではいえないことが多いものです。
社会不適合者は、ルールを破って注意されたとしても、なぜルールを守る必要があるのかが理解できないのです。
上記の例でいえば、全員がスーツを着ている職場で一人だけ私服で出勤し、他人のデスクで、仕事中にお菓子を食べ、無駄話ばかりしている人がいたとしましょう。
上司や先輩から注意されても「きょとん」とした顔をしていたらどうでしょうか。
極端な例ですが、このような人はいわゆる社会不適合者といえるかもしれません。
時間を守れない
時間も同じです。
会社員の場合、完全フレックスタイム制でもない限り、始業時間は決められています。
仮に出勤時間が自由だったとしても、会議の時間、顧客との打ち合わせの時間、納期など、時間にまつわるルールが必ずあるでしょう。
これらの時間を毎回守れないとなると、社会に適応していくことは相当難しくなります。
なお、単に「低血圧で朝が弱い」といった程度であれば社会不適合者ではありませんので、医師のアドバイスをもらって適切な対処をおこなうなどしましょう。
当たり前に嘘をつく
生まれて一度も嘘をついたことがない人は少ないかもしれません。
子どもの頃、親に小さな嘘をついたことが何度もあっても、それは精神的に未熟な子どもの話です。
大人になっても、毎回のように嘘をつく人、いつも約束を守らない人は社会不適合者の可能性があります。
ちょっとした嘘つきではなく、いわゆる虚言癖があるような人です。
嘘ばかりつくのには、理由があるかもしれません。
たとえば過去に信じていた人から裏切られてトラウマとなり、誰も信用できないこともあるでしょう。
しかし、理由がどうであれ、大人の社会、特にビジネスの世界では信用を失っては終わりです。
いつも嘘をつく人は必ず信用を失います。
場合によっては法律に触れ、訴えられてしまうことがあります。
そのようなリスクと隣り合わせにある虚言癖がある人は社会に適合することは困難です。
過去の自分と決別して嘘をつかない人になっていくか、社会と接しなくてもできる仕事を探すのかという選択肢になります。
なお、虚言癖が著しい場合は専門家のアドバイスや治療も必要になりますので、適職を探す前に専門機関を訪ねてみた方がよいことがあります。
自意識過剰、思い込みが激しい
人からどう見られるかを気にしたり、言われてもいないことを想像して落ち込んでしまったりすることはあるでしょう。
自意識や思い込みは誰にでもあるものです。
しかし、社会不適合者はその度合いが非常に大きいのが特徴です。
会社組織では人と協力して遂行していくことがほとんどです。
全く誰の力も借りずに仕事をするということは滅多にありません。
ところが、自意識が強すぎることで他人の力を借りたくない、自分一人でやった方がうまくいくなどと思い込み、盲目になる人がいます。
自意識も程度によっては高い成果を出すなど良い方向に働くことがあるのですが、過剰になると社会人としてやっていくことは難しくなってしまいます。
思い込みが激しい人も同じです。
自分の考えが全てだと思い込み、他人からの助言を一切受け入れられない人は、次第に孤立していき、新しい技術や知識を吸収することができません。
社会不適合者だと思う人に向いている仕事
ここまでの内容から、社会不適合者と呼べるような人は、実はほとんどいないと分かります。
社会不適合者という言葉が独り歩きしてしまい、ちょっとしたことで社会不適合者だと捉えてしまうケースが多いものです。
自分を社会不適合者だと決めつけず、自分らしさを活かせる仕事を探そうと前向きに考えることで、十分社会でやっていけることもあるでしょう。
とはいえ、どこか生きづらい、いつになっても適職が見つからない気がするといった人は、思い切って仕事や環境を変えてみることも大切です。
社会不適合者なのではなく、単に自分にあう仕事や人と出会えていないだけの可能性があるからです。
自分では社会不適合者だと思う部分が、実は魅力のひとつであったり、適職に巡り合うためのヒントになっていたりするものです。
海外の人を相手にする仕事
日本人と海外の人とは性格や考え方に根本的な違いがあります。
生まれ育った環境や文化が違うのですから当然です。
どちらが良い、悪いということは一切ありません。
日本の社会に馴染まないだけで、海外の人とはうまくやれる人は珍しくありません。
日本で仕事をするのであれば外資系企業や、海外事業を展開している企業などで働くことで自分の居場所を見つけることもあります。
思い切って海外に渡航するのもよいでしょう。
海外であれば日本のように周りを気にせず自己主張できるので、性格的に向いている人もいます。
自分を認めてあげられるようになり、自信をつけて帰国し、日本で活躍できることもあるでしょう。
語学力の習得は避けて通れませんが、適職を見つけるためだと思えば勉強も楽しく取り組めるのではないでしょうか。
クリエイティブな仕事
多くの人とは違う考え方をしている人には、独創性があり、人と異なる視点で物事を考えられる魅力があります。
人と同じことばかりをしている人には思いつかないようなアイデアや意見を出し、大きな成果を挙げることもあるでしょう。
芸能人を例に挙げてみましょう。
芸能界には、ごく一般的な社会の中では浮いてしまったけれど、芸能の世界では成功した人が多数います。
一般社会は人と違う人を受け入れない傾向が強い一方で、芸能界であれば人との違いが「面白い」と思われ、重宝されます。
どこにでもいるような人にはスポットライトは当てず、人と違う部分にこそ価値を見いだすのが芸能界。
これは、その他の芸術、音楽の世界、さらに広げればクリエイティブな他の仕事でも共通点が多くあります。
もう少し一般的な仕事で考えれば、
- デザイナー
- プログラマー
- クリエイター
- 音楽関係
- アニメ・ゲーム関係
- 企画職
- 小説家
- 研究者
など、独創性やアイデアが求められる仕事は数多くあります。
特定の能力を活かせる仕事
一般社会では、多くのことを器用にこなす人が評価されがちです。
会社組織は誰か一人に頼りきることはできず、多くの場合では代替がきく人材の集合体でもあるため、ある意味仕方がないことかもしれません。
しかし、いわゆる社会不適合者と呼ばれる人の中には、多くのことはできないけれど、何かひとつにズバ抜けている人がいるものです。
成功者の多くは、好きなことだけを探求し続けてきた結果、何かを成し遂げています。
「〇〇好きが高じて」起業し、大成功を収めた人などが代表的な例です。
起業以外では、
- 職人
- 料理人
- 農家
- 動物関連の仕事
- 大工
- 整備士
など、ひたすら技術や知識を磨く仕事があります。
人間関係に苦手意識が強い人にも、こうした仕事は適しています。
働き方が違うだけで生き生き働けることもある
仕事自体は好きだけれど、先輩や上司に気を使ったり、毎朝同じ時間に出勤したりすることができない…。
そんな人もいるでしょう。
今は、色々な働き方ができる時代です。
ITの発展や多様性の認知などによって、社会不適合者と呼ばれる人がごく普通に仕事をして生活していくことは難しくなく、生きやすい世の中になっています。
ごく一般的な会社員や公務員がすべてではありませんので、同じ仕事をしながら別の働き方に変えることも方法です。
起業やフリーランスのほか、ベンチャー企業などでも柔軟な働き方を導入していることがあります。
自分の「何が」社会に不適合なのかを分析してみて、より自分にあった働き方を模索することも有益なことでしょう。
適職の探し方
世の中には多種多様な業界や職種、働き方があるのに、単に「知らない」というだけで職業の選択肢に入っていないことがあります。
適職を見つけるためには、自分の特性にあった仕事をより多く知ることも大切です。
自分一人で仕事探しをするとどうしても視野が狭くなりがちなので、転職エージェントを利用し、幅広く探してもらうこともよい方法です。
キャリア面談を通じて自分の個性を一緒に探し出してもらうこともできるでしょう。
このとき、転職エージェントをひとつに絞らないこともポイントです。
社会不適合者の傾向がある人は、一人の担当者があわなかっただけで「転職エージェントなんて全部よくない」と思い込みにいたりやすいからです。
複数の転職エージェントと面談し、自分と相性がよいのかを含めて考えてみましょう。
自身のスキルを活かし、フリーランスとして働きたい方は、フリーランスを専門に扱っているエージェントもあります。
クラウドソーシングを利用して仕事を始めるのもよいでしょう。
最後に
いかがでしたか?今回は社会不適合者の定義や適職の探し方を紹介しました。
本人が思っていても、実は社会不適合者とまで呼べるほどではなく、異動や転職などによって環境を変えることですんなり適合できることがあります。
まずは、どの程度、どんなところが社会に適していないのか自分を分析してみましょう。
また、社会不適合者というネガティブなイメージで自分を決めつけると、職業選択の可能性を狭くすることにもなりかねません。
人と違うことは個性であり魅力のひとつなので、そこを活かせる仕事は何かを考えてみてはいかがでしょうか。