転職活動を始めたものの、なかなか内定がでず、焦りや不安を感じることがありませんか?
このまま同じ活動を続けていてもよいのか、そもそも自分には転職が難しいのか、気持ちがふさぎ込んでしまうこともあるでしょう。
厚生労働省が発表した有効求人倍率は1.63倍(平成30年7月)。
バブル期の有効求人倍率を上回っていることから、現在の転職市場は活気づいていることが分かります。
つまり、転職が決まらないのには市場とは別のところに理由があるということです。
では、転職が決まらないときには何をすればよいのでしょうか。
今回は、転職が決まらないときの対処法、事前準備の方法を中心に紹介します。
転職が決まらないときに困ることとは
転職が決まらないといっても、何の問題もなく過ごせているのであれば焦る必要はありません。
まずは、転職が決まらないことで、具体的には何が困るのかを知っておきましょう。
金銭的な不安
転職活動中に多くの方が直面するのが金銭的な不安です。
特に転職先が決まる前に退職をしてしまった人は、収入が途絶えてしまいますので大きな問題です。
家賃やローン、食費などの生活費だけでなく、転職活動中の交通費やスーツ代など、想像以上にお金がかかります。
金銭的な不安は家族にも生じます。
既婚者の場合、配偶者が不安を抱えてストレスを感じるようになり、喧嘩が絶えないなんてこともあるでしょう。
ブランク期間が長いと思われる
転職先が決まる前に退職した人の場合、ブランク期間が長いと思われてしまうことがあります。
学校に通っている、留学をしたなど何かしらの理由がある人ならいいのですが、転職活動をしているのに決まらない求職者には、企業も一抹の不安を感じるものです。
ブランク期間は長くなるほど選考結果に影響を及ぼすことになります。
焦ることで妥協して転職先を決めてしまう
転職活動を始めた当初は自分なりにこだわりを持って活動していたのに、転職先がなかなか決まらないことで焦りが生じ、いずれ妥協に変わります。
本来であれば譲れない条件を妥協して受け入れる形になり、転職してから後悔する要因になります。
結局妥協した転職先は不満が募るようになり、再転職のリスクも生まれてしまうことになるでしょう。
引越ししようにもできない
転職のタイミングで引越しを検討する人もいるはずです。
- 駅から遠い自宅なので駅近の便利な場所に住みたい
- もっと家賃の低いところで暮らしたい
- 心機一転、新しい土地で再スタートしたい
このような理由から引越しを検討する場合も、転職先が決まらないことで困ることがあります。
賃貸契約をする場合、大抵は勤務先や年収を確認されます。
無職の場合は賃貸契約ができないことが多いため、引っ越ししようにも身動きがとれないのです。
転職が決まらないと焦る前にできること
これから転職活動を始める予定の方は、転職が決まらないと焦る前にできることがありますので押さえておきましょう。
在籍中の転職活動
まずは、在籍中に内定を獲得することを目指しましょう。
こうすることで、転職が決まらない場合の不安の多くを回避できます。
平日の夜や土日、有休日を活用し、転職活動を始めます。
仕事と転職活動が難しい方は転職エージェントを利用するとよいでしょう。
面接の日程調整や給与交渉などを代わりにおこなってもらえますので、非常に効率のよい転職活動ができます。
毎日長時間残業で有休も一切取得できないなど、どうしても時間が取れず退職を優先させる場合でも、在籍中にできるだけの準備はしておくべきです。
たとえば、転職サイトに登録して、どのような企業があるのかを調べておくだけでも違います。
隙間時間を利用して履歴書の基本情報欄だけ書いておくのもよいでしょう。
通勤電車の中で自己分析をする、職歴を整理するなどもできます。
こうした準備をしておき、退職後はすぐにでも本格的な活動に取り組めるようにしておきたいところです。
お金を貯めておく
お金の不安を避けるためには、預貯金を増やしておくことも方法です。
転職を考え始めてからは、ボーナスをむやみに使ったり、遊びや飲み会にお金を使うことは一旦やめておきましょう。
特に転職先が決まる前に退職する予定の方は、少なくとも1年程度は暮らしていけるだけの生活費と、転職活動費用分の預貯金があると安心です。
なお、転職活動にかかるお金は、交通費や宿泊費用、スーツ代なども含めれば100万円近くかかってしまう人もいます。
この点も踏まえてお金の準備をしておきましょう。
親など頼れる人に相談しておく
親や兄弟など、いざというときに頼れる人に相談しておくのもよいでしょう。
社会人である以上、自力で生活することが基本です。
しかし、転職が決まらずにお金に困ってしまうなど、いざというときに住居を提供してもらえる「安心感」があることで、精神的に落ち着いて転職活動をすることができます。
もちろん、安心感から甘えに発展して転職活動をやらなくなることは本末転倒です。
相談すると同時に、「〇〇までには転職を決める予定」と宣言しておき、自分を律するようにしていきましょう。
いつまでに転職するか決めておく
3ヶ月以内なのか、最低でも1年以内なのか、いつまでに転職するのか時期を決めておきましょう。
想定した時期よりも転職が遅くなってしまうことはあります。
しかし、時期を決めておくことで逆算して今何をするべきかが見えてきますので、活動効率がアップします。
無駄に時間だけが過ぎてしまい、結局転職できなかったというリスクも回避します。
たとえば在籍中に転職活動をする人は、仕事の忙しさを理由に転職活動を後回しにしがちです。
転職先が決まる前に退職した人に関しては、時間に余裕があるあまり、だらけてしまうことも考えられます。
特に失業手当をもらい始めてからは、働かずしてお金が手に入るため、どこか自分に甘えが生じてしまうものです。
転職の目的を明確にしておく
転職活動を始めるにあたって「なぜ転職したいのか」という目的があるはずです。
これだけは、転職活動が長引いたとしても譲れないポイントになりますので、ぜひ明確にしておきましょう。
転職先が決まらないと、内定がゴールになってしまい、そもそもなぜ転職をしたかったのかを忘れてしまう人がいます。
当然、内定はゴールではありませんよね。
転職の目的は、必ず紙やパソコンに残しておくようにしましょう。
転職先が決まらずに焦ってきたらそれを確認することで、もう一度初心に戻って活動することができます。
転職が決まらないと不安になったときの対処法
続いては、すでに転職活動を始めており、転職が決まらないと不安になっている方に向けて、対処法を紹介します。
転職活動の目安期間とは?
まずは、一般的な転職活動期間を知っておきましょう。
自分ではなかなか決まらないと思っていても、実は他の人とそれほど変わらないと知ることができれば、安心することもあります。
一般的には転職活動を始めてから3ヶ月~6ヶ月で決まる人が多いようです。
まだこの期間内であれば、転職が決まらないと焦る必要はありません。
特に在籍中の方は仕事との両立もあり、活動に割ける時間が限られています。
6ヶ月くらいかけてゆっくり活動することも多いと思っておきましょう。
応募数を確認してみよう
6ヶ月のうちに50社へ応募した人と、10社へ応募した人とでは、転職活動期間は同じ6ヶ月かもしれませんが、活動の濃さが違います。
時間ばかりが経過して、そもそも応募数が少ないことも考えられますので、ご自身の応募数を確認してみましょう。
- 5社も受けたのに1社も通らない
- 10社分の書類を送って2社しか通過しなかった
- 2~3社受けたけどすでに転職が厳しい予感がする
このようなケースでは、転職活動に問題があるのかすら見えてきません。
単純に応募数が少ないからです。
あれこれ考え過ぎて慎重になるあまり、応募書類を送ることすら躊躇する人もいます。
しかし、実際には面接までいって話を聞いてみなければ見えてこないことばかりです。
転職活動では30社以上応募することも珍しくありません。
あまり早い段階で不安に感じすぎたり、消極的になりすぎたりしないようにしましょう。
実力と条件のバランスが合っているのか
自身の職歴やスキルと希望する条件とのバランスは適性でしょうか。
たとえば、職歴が3年程度しかないのに「給与は絶対に年収1000万円以上!」と意気込んでいても、通常は難しくなります。
よほどの学歴、高度のスキルなどが求められるはずです。
反対に、素晴らしい実績があるのに自身を過小評価してしまい、応募先のランクを下げることも、転職先が決まらない要因となります。
「そんなにレベルの高い人は我が社では扱いきれない」「実力に見合った給与を提示できないから難しい」などと考える企業は少なくありません。
自身を過大評価や過小評価するのではなく、職歴やスキルから算出される相場に見合った条件で交渉することも、転職先を決めるためには大切です。
志望動機を明確にする
手あたり次第応募してしまい、どの企業へも同じような志望動機を流用していないでしょうか。
企業は「この人はなぜ当社で働きたいのだろう」「どのような意欲をもって応募してきたのだろう」と、志望動機を重視します。
当たり障りのない志望動機では意志が伝わりません。
ここは、企業研究が大切になります。
企業研究を掘り下げておこない、自身の職歴やスキルと照らし合わせることで「だから御社で働きたいです」「わたしなら御社の役に立てます」と心からいえるようになります。
また、仕事や職種など、自身の希望に迷いがある方も見られます。
とにかくどんな仕事でも最大限努力する覚悟があるならまだよいのです。
仕事を選り好みしなくても状況に適応し、努力を続けられる人はいます。
しかし、自分の中ではどこかで希望がありながら単に整理できていないとなると話は別です。
面接官にも迷いが伝わり、確固たる動機がないと思われてしまうでしょう。
退職理由はネガティブでないかを振り返る
志望動機と同時に重要なのが退職理由です。
前職を辞めた理由は必ずといっていいほど聞かれますが、その際ネガティブな回答をしていないでしょうか。
たとえば、
- 残業が多く体力的に限界でした
- 上司の考え方についていけず辞めました
- 仕事量と報酬が不釣り合いでした
- やりたい仕事をさせてもらえませんでした
など、ネガティブに捉えられがちな退職理由を述べていることが、内定をもらえない原因かもしれません。
これらはどこの企業でもよくある話なので、「同じような理由で当社も辞めてしまうだろう」と思われてしまいます。
実際のところ、上記のような理由で辞めることはあるでしょう。
しかし、転職活動の際はポジティブな要素を付け加えることが重要です。
たとえば、残業が多かったことが退職理由であれば、本当は「効率をアップして高い成果につなげたい」という自身の希望の裏返しではないでしょうか。
ネガティブな退職理由の裏には、「本当はこうしたい」という理由が隠れており、それこそがポジティブな退職理由になります。
また、ネガティブな理由を述べるにしても、「自身では○○という努力をしましたが状況が変わらなかったため退職を決意しました」というふうに、自身が努力や工夫を主体的におこなってきたことをアピールします。
何か嫌なことがあっても、それを変えるために動くことができる人は評価対象となりやすくなります。
1日好きなことをしてリフレッシュする
毎日転職活動をしているとストレスや不安から視野が狭くなりがちです。
疲れが溜まってくることで、面接官から見て「この人は覇気がない」「どこか自信がなさげだ」と思われてしまうこともあります。
1日でもよいので、一旦転職活動から離れ、自分の好きなことだけをする日を設けてみてはいかがでしょうか。
頭がクリアになり、転職を志した目的を思い出したり、自分の長所が見つかったりすることがあります。
転職先が決まらない時期に休むことは勇気がいるかもしれませんが、リフレッシュすることで早く転職先が決まれば、結局は良い結果になったといえるでしょう。
公共職業訓練を受ける
国や地方公共団体が実施している公共職業訓練を受け、スキルアップすることも転職成功確率を上げることになります。
公共職業訓練とは、職業能力開発を通じて雇用につなげる政策のひとつです。
全国で約27万人の方が利用しています。
電気や機械などの分野から、介護や情報通信などの分野までさまざまな訓練を受けることができます。
厚労省が指定した学校やセンターにおおむね3ヶ月~1年程度通い、スキルアップにつなげていきます。
無料(テキスト代などは別)で受講しますので、経済的に苦しい方でも利用できる点が大きなメリットでしょう。
主に失業保険の受給資格がある方を対象にしていますが、一部在籍中の人でも受けられるものがあります。(在籍者は有料)
実施コースや実施施設などは厚労省のHPから検索できますが、受講対象となるか否かは個人ごとにに変わってきます。
住居地のハローワークで直接確認した方がよいでしょう。
参照:https://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/jarnal/tokusyu/2009_04.html
若年者向け転職エージェントを利用する
20代などの若い方に限っていえば、若年者向け転職エージェントを利用することも方法です。
通常の転職エージェントと異なり、社会人としての常識やビジネススキルを身につけながら転職活動を進めていける特徴があります。
転職エージェントによっては、書類選考なしで面接を受けられるサービスもありますので、若い方は利用を検討してみてもよいでしょう。
登録企業も、第二新卒やフリーターなど、若い求職者をターゲットにしている企業が集まりますので、転職が決まる確率が高まります。
キャリア面談を受ける
- 自身の希望とニーズが合致しているのか
- 職歴やスキルから見た適性年収はどの程度か
- 志望動機や退職理由が適切か
こうした点は自己分析や企業研究から見えてくるものではありますが、正直よく分からないという方も多いでしょう。
そもそも転職活動方法が分からないと感じる方も少なくありません。
方向性が定まらないままやみくもに転職活動を始めても、なかなか転職が決まらず、時間ばかりが経過して困ってしまうことがあります。
この場合、転職支援のプロである転職エージェントのキャリア面談を受けることが良策です。
プロのアドバイスを受けられて自身の希望が整理されるだけでなく、求人紹介などの具体的サポートもおこなってくれます。
転職が決まらない人ほどプロのサポートを受ける方が早期内定獲得につながりやすくなりますので、利用を検討してみましょう。
相談や紹介ともに無料なので、経済的に苦しい人でも問題なく利用できます。
転職エージェントを活用してしっかり対策をたてよう
今回は、転職が決まらないときの対処法や事前準備の方法を紹介しました。
景気が悪いなど外的要因があれば仕方がない面もありますが、現状として、転職は売り手市場です。
転職が決まらないには相応の理由があるはずです。
転職エージェントに登録することで、自分の適正を見極めることも出来ます。
一人ではうまくいかない転職も、転職のプロに相談することで、自分の納得のいく転職ができるでしょう。
少し視点を変え、行動を工夫するだけですんなり決まることもありますので、ぜひ今回紹介した内容を参考に転職活動を進めてみてください。