上司の理不尽さに耐えられないという話は、多くの会社員から聞く話です。
本来であれば発揮できるはずの能力も、理不尽な上司に振り回されてしまい、仕事自体がうまくいかないこともあるでしょう。
「理不尽な上司なんてどこにでもいるもの」と考えて我慢する方法もありますが、それではストレスが溜まり、正当に評価される機会を失ってしまうかもしれません。
たまたま出会ってしまった理不尽な上司によって、自分の職業人生が狂わされてしまうことだけは避けたいものです。
そこで今回は、理不尽な上司の特徴や対応方法を紹介します。
理不尽な上司がよくやること
理不尽な上司にはどのような特徴があるのでしょうか。
ここでは、理不尽な上司に出会ってしまった人たちの意見を元にまとめた「理不尽な上司あるある」を紹介します。
言うことがコロコロ変わる
理不尽な上司の言動は一貫していません。
最初に「このままお前の思うようにやればいい」と言っておきながら「その都度報告しないのは会社員としてなっていない」と言うこともあります。
「今の時代は残業をしないことが会社への貢献につながる」と言いながら、仕事を終えて帰ろうとすると「仕事もできないのによく帰れるな」などめちゃくちゃなことを言います。
結局、何をしても責められることになり、理不尽さを感じてしまうでしょう。
仕事と関係のないことを責める
仕事のことで怒られるならまだ納得がいきますが、仕事と関係ないことを持ちだしてくるのも理不尽な上司がよくやることです。
たとえば学歴。
「大学に行かないとこの文書になるのか」とわざとらしく言ってみせます。
中には家族のことを批判する発言をする上司もいます。
古い時代の日本なら「お前のかあちゃんでーべそ!」と、ガキ大将がいじめることと同じです。
「聞いていない」が口癖
理不尽な上司は責任をとることが嫌いなので、何かあっても絶対に自分の落ち度を認めたくありません。
上司に進捗を報告してあったはずの仕事も、ミスになってしまった時点で伝えると「そんなこと聞いていない」と言い逃れすることが得意です。
ひどい場合には部下が関与していない仕事について自分がミスをしたときにも、部下のせいにしようとします。
「言っただろ」も口癖
理不尽な上司は「この前言っただろ」と言うことも得意です。
部下としては指示されていない仕事をできるはずもないため理不尽に思います。
また、「お前は〇〇と思っているのだろう」と、こちらが全く思ってもいないことを、あたかも事実のように決めつけてきます。
正論を言うと逆ギレする
そもそも理不尽なことを言っているのですから、上司の言うことは正しくはありません。
そこで正論をぶつけてみると「口答えするのか?」と逆ギレします。
正しい仕事をしてもミスをなすりつけられ、正論を伝えてもキレられる…。
これでは部下たちの仕事のモチベーションは下がるいっぽうです。
自分のことは棚にあげる
部下のミスを責めるときは生き生きとしているのに、自分のことは棚にあげます。
部下としては内心「これと同じことを〇〇上司もしていたのに」と理不尽さを感じるでしょう。
理不尽な上司にとって、「人のミスはどこまでも責め続けるべきもの」であり「自分のミスは気にしないでおくべきもの」なのです。
相手によって態度が変わる
理不尽な上司は相手によって次々と態度を変えます。
自分の上司にこびへつらい部下に厳しくすることなど日常茶飯事で、部下の選り好みが激しいのも特徴です。
自分が好きな部下には許すことも、嫌いな部下には絶対に許しません。
仕事の割り振りにも不公平があり、ターゲットとなってしまった部下は不必要な仕事をさせられて残業になることも少なくありません。
そのうえ「残業するのはお前の能力が低いから」と言ってきます。
部下の手柄を自分のものにする
理不尽な上司は部下が努力して勝ち取った手柄を横取りします。
部下のミスの責任はとらないのに、手柄だけは、ここぞとばかりに上司の立場を利用します。
理不尽な上司の上司には、誰のおかげでよい結果になったのか見えないことが多く、結局は理不尽な上司が評価されてしまいます。
私生活や体調によって不機嫌になる
普通、上司が不機嫌になるには原因があるはずです。
それが自分のミスによるものであれば理不尽さを感じる人は少ないでしょう。
しかし、理不尽な上司に不機嫌の理由は特にありません。
朝家で家族とケンカをしたことや、天気が悪くてジメジメしていること、二日酔いで体調が悪いことなどを全て職場に持ち込みます。
部下としては「今日の機嫌はどうだろう?」と毎日顔色をうかがうことになり、気が休まりません。
理不尽な上司とは、面倒な上司でもあるのです。
部下の言い分には耳を貸さない
物ごとには何らかの「事情」があります。
しかし理不尽な上司ほど、頭ごなしに怒ることが得意です。
取引先の都合で変更になったなどの理由があったとしても、一切考慮しません。
自分の思い通りにならなかった結果だけをもって「こうなったのも、ああなったのも、全てお前のせいだ」と決めつけます。
理不尽な上司への対応方法
理不尽な上司にほとほと疲れて果ててしまうことがあるでしょう。
一方で、理不尽なことを言ってくる上司に振り回され、人生を変えられるなんて絶対に嫌だと強く思うこともあるはずです。
理不尽な上司は理不尽がゆえに厄介ですが、うまく対応することで乗り切れることもあります。
そうこうしているうちに上司が異動でいなくなったなんてラッキーが起きることも。
理不尽な上司とどう付き合っていくべきかを知っておきましょう。
ここからは、理不尽な上司への対応方法を紹介します。
理不尽な指示は目の前でメモを取る
理不尽な上司から呼ばれたときは必ずメモを持っていくべきです。
そして、「なるほど、〇〇ということですね」と言いながら、上司の目の前でメモを取るようにします。
自分の言ったことがメモに残るということは、「間違っていた場合には責任を問われる可能性がある」ということです。
後で「〇〇っておっしゃいましたよね?」と言われると上司自身が不利になるでしょう。
上司の理不尽発言への抑止力となります。
人が見ている前で復唱する
メモを取る暇もない場合には、上司の指示に対して復唱しましょう。
できるだけ他の職場の人へも聞こえるように大きめの声で言います。
理不尽なことを言われたり、後で「そんなこと聞いていない」と言い逃れされたりしないように、周りの人に証人になってもらうわけです。
もちろん、職場の人がいつでも味方になってくれるとは限りません。
しかし、多くの人に自身の発言を聞かれていると意識することで、あまりおかしなことは言えなくなるものですから、一定の防止にはなります。
締め切りは前倒しにする
理不尽な上司から依頼された仕事にも締め切りがあるはずです。
ここでは、締め切りギリギリにならないように、できるだけ前倒しで仕上げるようにしましょう。
一般的に締め切りとは、そこに間に合えば問題ないはずです。
しかし理不尽な上司は「締め切りまであと1日しかないぞ!こんなにギリギリになるなんてあり得ない」などと言います。
それなら締め切りを1日前にしてくれればよいのに…と思うでしょう。
これが理不尽な上司なのです。
だからこそ、少しでも早く終わらせることで、上司が責めるポイントを極力なくしていきます。
重箱の隅をつつくような言動が多かった理不尽な上司も、次第に別の人へ攻撃の興味が移っていきます。
報告回数を増やす
理不尽な上司の優先順位はよく変わります。
Aの仕事を先に仕上げるように指示していたはずが、思いつきでBの仕事を先に確認したいと言い出すことがあります。
コロコロ変わる上司の考え方や発言に対処するためには、こまめに報告することが大切です。
報告は会社員の基本ですが、理不尽な上司に対しては回数を増やし、「そんなこと言っていない」を言わせない状況を作りましょう。
ただし、そこは理不尽な上司です。
「報告している暇があったら仕事を進めろ」と言ってみたり、「あの仕事の報告はどうなっているんだ」と言ってみたりします。
その場合は「自分の進捗確認のため」とでもいって報告書やメールを作成し、上司に送っておくことも方法です。
メールは証拠として残りますので、後で「聞いていない」と言われても反論することができます。
最大限の礼儀で接する
理不尽な上司に反抗的になる気持ちはよく分かります。
しかし、理不尽な上司は部下が反抗的になってしまった事情など考えませんし、考えたとしても自分が原因だとも思いません。
そのため、上司に反抗的な態度をとることはやめた方がよいです。
反抗的になることで余計に理不尽な要求が増えていき、自分で自分の首を絞めることになりかねないでしょう。
相手が理不尽な場合、こちらはとことん大人な対応をすることが効果的です。
上司に対しては最大限の礼儀で接することを忘れずいれば、そのうち相手もぼろを出すことがあります。
理不尽なクレーマーを思い浮かべてみると分かります。
クレーマー相手に強い口調で対抗しても相手のクレームはやみませんが、相手の話を聞き、丁寧に対応すると相手の怒りが収まってくることは多々あります。
中には「何だかごめんなさいね」と、クレーマーのバツが悪くなることも。
大人な対応は「それができたら楽だよ」と思うかもしれませんが、それができれば自身の大きな武器を手に入れられることになるため、試す価値はあります。
何かを伝えるときは優しい口調ではっきりと
理不尽な上司の中には声を荒げ、まくしたてるように話す人も少なくありません。
自分で何を言っているのかすら、もはや理解できていない状態です。
だからといって、こちらも同じように早口で話したり、強い口調で反論したりしても、火に油を注ぐだけです。
優しい口調で、話すスピードはゆっくりめに、はっきりと述べるようにしましょう。
上司の中には興奮してしまうことで判断能力が鈍る人もいます。
少し気持ちを落ち着かせてあげるつもりで穏やかに対処してみましょう。
理不尽な上司は機械だと思って接する
理不尽なことを押しつけてくる上司はもはや人間ではないと思う方法です。
たとえば機械だと思ってみてはいかがでしょうか。
機械は人間の思うようにいかず、突然止まったり、壊れたりすることがあります。
しかし、それをいちいち「この機械め!何て理不尽なんだ!」と思うことはないでしょう。
機械が壊れてしまったら、販売元に問い合わせるとか、修理方法を調べるとか、淡々と進めるべきことがあります。
同じように理不尽な上司に対しても「あ、また機械が壊れた」とあまり気に留めず、今自分がやるべき仕事に集中するのです。
理不尽な上司に耐えられず辞めるときの判断基準
理不尽な上司に耐えられず辞めたいと思う人は少なくありません。
では、実際に辞めるかどうかの判断基準については、どのように考えればよいのでしょうか。
心身の不調が見られるなら辞める
すでに心と体が疲れて果ててしまい、不調が表れているのであれば急ぐ必要があります。
できれば休職して傷病手当金をもらいながら様子を見ることをおすすめしますが、それも難しいなら辞めた方がよいでしょう。
経済的にだけは困窮しないように、実家など頼ることも考えてください。
理不尽な上司から解放され、自分を取り戻して活躍している人は多数います。
「逃げ」だと捉えず、自分を守るための正しい方法だと思ってみましょう。
会社全体が理不尽なら辞める
上司個人のみの理不尽が問題なら対処法はあります。
しかし、理不尽さを訴えても会社が何もしてくれず、会社の体制そのものが理不尽であるなら辞めることもよいでしょう。
個人対個人なら戦えることがあっても、個人対会社では、よほどのアクションを起こさない限り勝つことは難しいです。
たとえば、会社の法違反をマスコミに通告するなどです。
それもひとつの方法ですが、多くの人にとっては騒ぎを大きくせず、周りに振り回されず、平穏な職業生活を手に入れたいだけでしょう。
ならば、会社を変えることは難しいと理解したうえで、自らの環境を変えることを選びましょう。
パワハラがあるならまずは相談
理不尽というよりもパワハラ上司であれば、相談することが先です。
人事やコンプライアンス部門、労働組合、上司の上司など相談できる先を探しましょう。
労基署や弁護士など、外部の有識者に相談することも有効です。
今後の対策について情報提供をしてもらえますので、具体的な行動につながります。
近年はパワハラという言葉が一般化されており、国や公共機関でもパワハラ対策には積極的になってきています。
誰かに相談することで上司の居心地が悪くなり、目の前からいなくなることもあり得ます。
理不尽な上司とパワハラ上司との間に明確な境界線があるわけではありません。
ただ、理不尽な上司の延長線上にパワハラ上司もいることは確かです。
たとえば、次のようなことをされたのであれば、理不尽な上司というよりパワハラといった方がよいでしょう。
- 物を投げる、デスクを蹴るなどされた
- 人間性を否定するようなことを言われた
- 大声で罵倒された
- 到底達成できないようなノルマを課された
もちろん、上記以外にも、ご自身がひどく傷つけられることがあれば我慢する必要はありません。
一度休んで落ち着いて考える
休暇を取得することも方法です。
理不尽な上司を直接何とかできるわけではありませんが、自分が今何に不満があるのかを落ち着いて整理することで、辞めるかどうかが見えてくることがあります。
本当は仕事内容や給与に不満があってストレスを感じているタイミングで、たまたま上司に理不尽なことを言われてしまい、「こんな理不尽な上司がいる会社なんて」と思っているのかもしれません。
理不尽な上司がいることは事実かもしれませんが、本当に辞めたい理由がすり替わっていることになります。
本当に辞めたい理由が分からないまま、理不尽な上司がいるからと辞めてしまっても、転職先で同じ過ちを繰り返すおそれがあります。
辞める理由と理不尽な上司への不満は、同じところにある場合と、別々のところにある場合があります。
仕事が忙しいと落ち着いて考える余裕がありませんので、思い切って有休を取得して考えてみるとよいでしょう。
「程度の問題」もある
ひとくちに理不尽だといっても、「程度の問題」はあります。
- 多少のえこひいきがある
- 責任を押しつけられて左遷させられる
極端な例ではありますが、このふたつを比べたとき、より理不尽であるのは後者です。
理不尽の度合いが「どこでもありがち」なのか「上司の頭がおかしいと思うほど理不尽」なのかを考えてみてもよいでしょう。
もちろん、法的に問題があれば理不尽どころの騒ぎではありません。
しかるべき場所へ訴えでることも必要です。
上司がもうすぐ定年ならやり過ごす
理不尽な上司の年齢を考えたとき、社内規則上の定年や役職定年に到達する少し前であれば、耐えるというより「やり過ごす」ことがよいでしょう。
定年後には継続雇用制度もあり、理不尽な上司がい続ける可能性は残りますが、それでも役職が外れればそう理不尽なことはいえなくなります。
理不尽さは権力のうえに成り立っていることが多いからです。
ただし、ここでも、上司以外の環境を見ている価値がある職場であることが大前提です。
数年後を見据えて「いるメリット」があるなら頑張るのも手
転職を考えると、辞めて失敗したときの不安から、辞めた場合のデメリットだけに着目しがちです。
当然リスクを想定しておくことは大切ですが、反対に「いるメリット」はあるのかも考えてみましょう。
たとえば、
- スキルアップの環境が整っており自身の成長につながる
- 仕事内容や上司以外との間関係には満足している
このようなケースでは、多少の理不尽さがあってもメリットの方が上回るかもしれません。
上司の理不尽さなど気にせず突き進むことで、後になって「辞めないでよかった」と感じることもあるでしょう。
もし数年後を見据えても「この会社にいても意味がない」と思うなら辞めどきです。
転職のリスクを極力抑えるためには、在籍中の転職が鍵となりますので、転職エージェントを利用するなどして効率良く活動しましょう。
最後に
いかがでしたか?今回は理不尽な上司の特徴と対応方法を紹介しました。
理不尽な上司に苦しめられている場合は、何らかの対策を講じることで状況が変わることがあります。
とにかく耐えることも方法ではありますが、ストレスなどを考えると得策とはいえません。
できることから始めてみましょう。