英語を使う職業と言えば最初に思い浮かぶのがこの「通訳」という仕事ではないでしょうか。
知名度の高い職業ですが、一言に「通訳」といっても仕事内容によってさまざまな呼び方があるのをご存知でしょうか。
また、英語以外の言語を身に付けた場合はどのような活躍の場があるのでしょうか。
一般的な年収やどんな人が向いているのかといった点も気になるところです。
今回はそんな通訳の仕事について、その内容や収入、必要な資格まで徹底的に見ていきましょう。
通訳の仕事内容について
まずは通訳の仕事内容について詳しくみていきましょう。
言語を使用する仕事という点では共通していますが、通訳にはいくつか種類があり活躍の場もさまざまです。
まずは同時通訳という仕事からみて行きましょう。
同時通訳の仕事
まず通訳の中でも特に難しいとされる同時通訳という仕事です。
同時通訳者は政府間協議やサミット、シンポジウムなどの大規模な国際会議で活躍します。
通訳者は通常別室に入り、マイクを通して聞き取った内容を瞬時に通訳していき、会議参加者はイヤフォンを通した通訳者の声を聴きながら会議を進めていきます。
「同通」とも呼ばれるこの仕事は、通常5人程度の通訳者が20分交代で通訳していきます。
同時通訳が高度な技術だと言われるのは、通訳をしている間も引き続き発話者の音声を聞いているため、高い集中力と瞬発力、そして高度な専門知識を要するためです。
国際的な舞台で活躍することが多いため通訳の中でも花形とも言われるポジションですが、その題材も国際問題や政治的な内容が多いため、日々の積み重ねと多くの経験が必要な専門職です。
逐次通訳の仕事
続いては社内会議やセミナー等、比較的時間がある会議に必要となる「逐次通訳」です。
逐次では発話者の横に付き、会議やスピーチで話される内容を少しずつ区切って通訳していきます。
そのため通常の会議に比べ倍の時間が掛かります。
会議が3時間程度であれば一人で担当し、それ以上は2~3名体制で行います。
こちらも担当する企業情報や会議内容に合わせ的確な訳ができるよう、事前の予習が欠かせません。
ウィスパリングの仕事
ウィスパリングとは聞き手の横で囁く(ウィスパーする)ように同時通訳を行う仕事です。
同時通訳が大勢に向けて行うのに対し、こちらは聞き手が一人か二人の場合に必要とされます。
テレビやスポーツのインタビュー等でよく目にするのがこのウィスパリング同時通訳者です。
自分に何か特技や専門があれば、それを活かした好きな分野で通訳者を目指してみるのも良いでしょう。
それでは実際に通訳者になるには何から始めたらよいのでしょうか?
学校が良いのか、資格が必要なのか、色々分かりませんよね。
さっそく次で掘り下げてみて行きましょう。
通訳者になるには?必要な資格とは?
通訳者になるためには何から取り組んだらよいのでしょうか。
TOEIC900点、英検1級などの各種資格はあるに越したことはありませんが、その取得に時間を掛けているようではいつまで経っても本物の通訳者にはなれません。
通訳として活躍していきたいのであれば、まずは語学を極めその次に実績を積み上げていくこと、これに尽きると言えます。
つまり通訳者としての「経験や実績」が必要なのです。
通訳者として実力が付いてきたら会社に縛られずフリーランスとして活躍する人も多いこの職業ですが、そのためには、まず人前で通訳をするという経験を増やし経験を積むしかありません。
その積み重ねにより知名度を上げ、次の仕事へとステップアップしていくのです。
少しでもチャンスがあれば小さな場面でも積極的に挑戦していきましょう。
積極的に行動できる力はフリーに転身後も、仕事を獲得してく上で重要な力と言えます。
また金銭的に余裕があるのなら、通訳の専門学校やスクールに通いながら実力をつける方法もあります。
しかし資格と同様で、学校に通っているからといって必ずしもプロになれるわけではありません。
そのため学校は情報収集や知識を高めるための場とし、一方で実際に通訳として仕事をする機会を貪欲に探していくことが重要だと言えます。
また企業に勤めながら通訳として働くという選択肢もあります。
この場合は企業の採用ポジションによって仕事内容も多様で、通訳専門の場合もあればその他のオフィス業務と兼業する場合もあるでしょう。
また求人の多くは派遣や契約社員としての募集で正社員ポジションが少ないのも現実ですが、経験を積むという意味では大切な選択肢と言えます。
そのため海外経験がなく、これから通訳者として経験を積んでいきたいという方にはおすすめです。
得意な語学はもちろん、社会人としての知識やルールを学びながら成長していけますので決して損にはならないでしょう。
年収はどのくらい?
一般的にフリーランスの通訳者で年収400万~800万円、時給換算で2,000円以上と言われています。
実績を積めば年収1,000万円以上という通訳者もいますのでやりがいのある仕事ではないでしょうか。
言語別にみると、始めはマイナー言語の方が高収入のようですが年収600万以上からはそこまで差がないようです。
そこまで実力をつけるには時間も掛かりますが、果たしてどんな人が向いているのかも気になりますよね?
さっそく次で向いている人の特徴を見ていきましょう。
通訳という職業に向いている人
上記で収入についてお話しましたが、仕事形態としては比較的不安定だと言えるのも通訳の特徴です。
運よく正社員としての仕事が決まれば別ですが、一般的には派遣や契約社員としてのポジションが多く、転職も人より多くなることが予想されます。
逆に言えば一つの場所に留まるよりも自分でどんどん行動してくことが苦にならない方、積極的で行動力のある方には向いていると言えます。
また時代もどんどん変わっていますので実力のある通訳者であれば転職回数がマイナスにはならないはずです。
そして語学だけでなく担当分野の知識も学んでいく意欲と向上心も大切です。
また同時通訳者になれば単なる通訳のみならず、発話者の意図することを先読みできる読解力や論理的思考力も必要になってきます。
その場合はいかに短時間で適する言葉を導きだせるかという高度なスキルが求められますので、もちろん失敗や挫折も味わうかもしれません。
そんな中でも自分をコントロールしうまく前に進んでいける人、語学のスペシャリストとしてプライドを持ち取り組んでいける人が本物の通訳者として活躍していきます。
そうはいっても初めから完璧にできる人はいませんので、もちろん時間を掛けて経験を増やしていくことが最も大切と言えるでしょう。
通訳の仕事で大変なのは?
通訳の仕事で大変なのは、語学以外の知識を増やしていかなければいけない点です。
担当する案件により毎回業界調査や時事ニュースなどを事前に頭に入れておく必要がありますので、内容プラス語学の向上が常に付いて回ります。
通訳として雇われていても、聞き手はその会社や団体側の人間だと思って聞いていますので、内容を把握していないわけにはいきません。
またフリーランスになれば自分で仕事を取りにいかなければならず、出張費や経費も自腹になります。
一つの仕事で出会った人との繋がりを大切にすること、そして勉強を常に怠らないことが通訳者の生命線になってきます。
それでも自分に専門があり且つ世界の人々を繋ぐ仕事というのはそう多くはありませんので、やればやるほど魅力とやりがいがあるというのも事実です。
まとめ
英語が一般的になってきた現在でも通訳として仕事ができるだけの実力を持つ人材はそう多くありません。
一般的な会社員の働き方とは異なりますが、実力を付ければ世界各国との懸け橋として活躍が期待されるやりがいのある職業と言えるでしょう。
通訳という仕事に興味があればさっそく行動に移してみてください。
通訳者として歩んでいくからにはその積極性と行動力が常に試されています。
そしていつかプロの通訳者として活躍できるよう応援しています。