車が好き、車の運転が楽しいなどの理由から、「車に関わる仕事に就きたい!」と感じていないでしょうか。
若者の車離れなど一定の不安要素があるものの、自動車業界はまぎれもなく日本の基幹産業です。
昨今では自動運転車、環境対応車といった次世代自動車の研究、開発が進んでおり、これまでとは違う車の魅力を感じている方もいるはずです。
そこで今回は、車に関わる仕事をテーマに、仕事の種類や年収相場を中心に紹介します。
目次
車に関わる仕事の種類
ひとくちに車といっても、車をつくるところなのか、売る場面なのか、それとも整備や修理に関わりたいのか、希望が異なるはずです。
まずはどのような仕事があるのかを知り、ご自身の希望を整理してみましょう。
車づくりに関わる仕事
まずは車をつくる分野があります。
モノづくりに興味のある方、設計や開発に関わりたい方に向いている仕事です。
たとえば、
- 設計
- 開発
- デザイン
- 部品製造
などがあります。
開発、設計に関わるには、主には大手の自動車メーカーに就職することが必要です。
大学や大学院で機械工学などを学んだ方が多いこと、一流企業への就職が基本ですので、ハードルは高いといえるでしょう。
後半で資格について述べますが、大手自動車メーカーへ就職するためには資格はほぼ関係なく、学歴の方が重視されます。
ほとんどが新卒枠で、わずかに中途採用枠がでる場合がありますが、即戦力者であることはもちろん、学歴、TOEICのスコア、パソコンのスキルなどが求められることも多々あります。
自動車業界は国内市場が停滞状態にあり、海外市場が支えている面もありますので、英語はある程度必須だと思っておきたいところです。
デザインに関わる場合も大手メーカーに就職するという意味では同じです。
自動車メーカーでなくても、デザイン事務所などに就職すると関わるチャンスに出会えることがありますが、カーデザインだけにこだわると狭き門となります。
また、車をつくるといっても多数の部品やパーツを組み合わせますので、大手工場だけでなく、その下請け、関連工場が無数に存在します。
部品やパーツの製造をおこなっている会社や工場に勤務し、車づくりに関わることもひとつの方法です。
車を整備、修理、カスタマイズする仕事
続いては、すでに完成した車の整備、修理関係の仕事です。
車は一度購入した後はメンテナンスが必須ですので、一定の需要が見込める分野になります。
たとえば、
- 自動車整備士
- ガソリンスタンド経営、スタッフ
- 板金、塗装、その他カスタマイズ
- ロードサービス、レッカー業
などがあります。
勤務先としては、大手ディーラーの整備部門のほか、街には整備会社、車検専門店、ロードサービス業者が多数存在し、整備や車検を実施しています。
大手のカー用品販売店でも整備工場がありますし、ガソリンスタンドでも整備、車検を担当していますので、そちらにも需要があるでしょう。
また、カスタマイズを専門としている業者もありますので、車を「いじる」のが好きな方には興味深い仕事かもしれません。
いずれの場合も、自動車整備士の資格が求められることが多くなっています。
車を売る、買い取る、貸す仕事
次に、車の売買やレンタル業です。
- 大手ディーラー、輸入車ディーラー営業、受付
- 中古車販売、買い取り
- セールスエンジニア
- カー用品の販売、接客
- レンタカー店、カーシェアリング店スタッフ
といった仕事があります。
新車、輸入車を扱うディーラーだけでなく、中古車を専門で扱う販売店もあります。
カー用品の販売や接客も、車に関わる仕事のひとつです。
営業、販売、事務などさまざまな職種がありますが、いわゆる車屋に転職することが仕事に就く方法です。
最近はセールスエンジニアのように、営業と技術者を兼務している方も多く活躍しています。
また、レンタルやリース、カーシェアなど販売とは異なる契約で車を扱う企業、店もあります。
車の売買等に関わる仕事は求人数も多く、特定の技能がなくても応募が可能です。
車に関わる仕事の中では比較的トライしやすい分野だといえるでしょう。
車を運転する仕事
車を運転する仕事も、車に関わる仕事のうちです。
特に運転が好きな方にとっては楽しい仕事かもしれません。
たとえば次のような仕事があります。
- タクシー運転手、バス運転手など
- 長距離トラック運転手、配送ドライバー
- カースタントマン、カーレーサー
- 代行運転
就職先は、タクシー会社、バス会社、運送会社、代行運転会社などがあります。
トラック、配送ドライバーは人手不足が顕著ですので、求人数が多く、採用されやすいメリットがあります。
特に該当免許を持っている方はその確率が上がりますので、仕事がなくて困ることは少ないといえます。
ただし、拘束時間が長い、深夜時間に稼働するなど体力、時間的なデメリットはあります。
仕事選びにおいて何を優先されるかをよく考える必要はあります。
後述しますが、運転する仕事の場合には普通免許は当然ながら、上級免許も取得する必要があります。
仕事によって必要な免許が異なりますので、希望の職種で求められる免許は早いうちに取得した方がよいでしょう。
なお、スタントマンはプロダクション、プロのカーレーサーは通常、レーシングチームに所属します。
カーレーサーは、運転免許のほか、レースライセンスが必要です。
プロのレーサーになるには国内で優秀な成績を収めること、国際ライセンスを取得すること、国際大会で好成績を勝ち取ることが必要です。
車の免許に関わる仕事
車に直接関わる仕事ではありませんが、必要不可欠な免許に携わることもひとつの道です。
- 自動車学校教官
- 自動車学校受付、事務
- 自動車免許センター勤務
主には自動車学校の仕事、免許センターの仕事があります。
自動車学校の教官は指定自動車教習所で養成、審査を受けて合格し、さらに自動車学校の採用試験を突破する必要があります。
自動車学校が減ってきていますので、求人数の面ではやや厳しさがあります。
事務や受付は特別な審査等は不要ですので、求人に応募して採用される形となります。
事務職は自動車学校に限らず人気職ですので、求人数が少なく、あってもすぐに埋まりやすいです。
自動車免許センターでは、試験や更新の手続き申請、案内、データ入力事務などをおこないます。
免許センターの職員は公務員になるほか、簡単な入力や手続き案内であればパート職員を募集しています。
車に関わる仕事の年収相場を見てみよう
仕事をする以上、気になるのは給与です。
車に関わる仕事の種類別に、年収相場をチェックしてみましょう。
車づくりに関わる仕事の年収
開発、設計者の年収は500~800万円がひとつの目安ですが、年齢や役職、就職先の規模による違いが大きくなります。
新人であれば350万円程度もある一方で、課長職クラス以上になれば800~1000万円以上稼ぐ方も普通にいる分野です。
専門技術職であること、主に大手に就職することなどが年収を押し上げる要因です。
カーデザイナーは600~700万円が相場ですが、こちらもさらに稼ぐ方がいらっしゃいます。
これらを勘案すると、開発、設計、デザインを担当すると高収入にも期待できそうです。
一方、部品製造の場合は本社工場のみならず、関連工場が多数存在していますので、どの工場で働くのかによって左右されます。
全体としては、年収400~500万円が相場となっており、一般的な会社員の年収と大差はありません。
ただし、特に大手の工場においては、休日が多く残業は少ない、福利厚生が整っているなど、年収以外の条件面にメリットがあります。
給与、待遇をトータルで考えると比較的恵まれているといえるでしょう。
車を整備、修理、カスタマイズする仕事の年収
自動車整備士の年収は350~450万円がボリュームゾーンです。
ただし、大手に所属する自動車整備士の場合には500万円~650万円ほどが目安となります。
また、二級整備士よりも一級整備士の方が、資格手当がつく、職務範囲が広がるなどで年収は30~50万円ほど高くなります。
ロードサービスやレッカーの年収相場は350~500万円ほどです。
全体で考えると、自動車整備士は技術職の中ではそれほど高収入というわけではありませんが、大手メーカーに就職できるか否かが収入の分かれ道といえるでしょう。
車を売る、買い取る、貸す仕事の年収
車の売買に関わる仕事については、大手ディーラー、中古車ディーラーをあわせた営業職の年収相場が400万円前後です。
ただし、営業の場合にはインセンティブがつくことが多いため、営業成績によって個人差が大きくなります。
優秀な営業であればかなり高収入という方もいますが、売上が少ないと最低限の基本給が支給されるのにとどまるといった具合です。
この点は車の売買に関わらず、多くの営業職においていえることでしょう。
ディーラーで事務や受付を担当する場合は安定していますが、年収相場は300~400万円と一般的です。
レンタカー専門店やカーシェアリング店舗の場合は、300~400万円を目安とし、店長クラスになると500万円に届く人もでてきます。
車を運転する仕事の年収
タクシー運転手は350~450万円、バス運転手も同程度の年収相場です。
タクシー運転手の場合にはインセンティブがつきますので、客が多いエリアなどを把握する、丁寧なサービスを実施するなど、独自の工夫によっては年収500万円以上稼ぐ方もいます。
バス運転手は特に都心部の路線を担当すると年収も高くなります。
宅配ドライバーや長距離ドライバーは人手不足もあり、年収は500~800万円と安定して高い部類に入ります。
仕事はハードですが、求人数も多くチャンスがありますので、稼ぎたい方にはよいでしょう。
代行運転の場合は300~400万円ほど、これにインセンティブがつくケースもあります。
ただし、代行運転は社員ではなく業務委託も多いため、実際に手元に入る金額がどの程度になるのかを、応募前によく確認しておくことが必要です。
カースタントの年収は300万円前後で、危険がともなう割には決して高くありません。
カーレーサーにいたってはF1クラスになれば億単位ですが、それ以外ではそもそも仕事になっていない方も多いため、参考値と呼べるようなものがありません。
車の免許に関わる仕事の年収
自動車学校教官の年収相場は350~400万円です。
少子化の影響もあり自動車学校自体の経営が厳しいため、ひと昔前よりも給与が下がってしまったケースもあるようです。
ただし、夜間教習を担当する、特殊車両免許を取得して担当するなどして、年収を増やす手段はあります。
受付、事務は300万円前後と一般的な年収相場です。
免許センターで働く公務員の年収は500~800万円ほどと、安定の高収入です。
パートの場合には時給1,000円ほどが目安ですので、免許センターだから特に高収入になるわけではありません。
車に関わる仕事に転職したい人が取得するべき資格とは
車に関わる仕事の特徴として、一定の資格が求められる点が挙げられます。
もちろん、資格がなくても問題のない職種もありますが、より近い場所で関わるにはやはり必要不可欠です。
ここでは、特に転職に有利となりやすい主な資格の特徴を紹介します。
自動車整備士
自動車の点検、分解、整備、修理などをするうえで有利になるのが自動車整備士の資格です。
一定の条件を満たしたうえで、国土交通省のおこなう自動車整備士技能検定試験を受け、合格しなくてはなりません。
無資格から実務経験を積んで目指すことも可能ですが、特に上級資格取得までにはかなり年月を要するため、専門学校や養成学校に通うことが一般的です。
自動車整備士には一級、二級、三級と、各分野において専門的な技術や技能を有する特殊整備士の資格があります。
二級があればほとんどの業務に携わることができるため、転職や就職に際しては二級以上が応募条件になっていることも多くなります。
近年ではハイブリッド車や電気自動車など車の形態が多様化していることもあり、一級があるとそうした車種にも対応でき、高度な整備ができる整備士として評価されるでしょう。
第二種運転免許
タクシーやバスの運転手のように、旅客運行を目的とした仕事に就くためには第二種運転免許が必須です。
代行運転において人を乗せる側の車の運転を担当する人にも必要です。
二種免許は人を乗せて安全に運転する必要があることから、取得条件が普通免許と比較して格段に難しくなります。
また、バスなどの大型車を旅客運行のために運転するには大型二種免許が必要です。
転職については、基本的に応募の時点で必須資格として条件に定められていることがほとんどです。
ただし、一部のタクシー会社やバス会社では、二種免許の取得まで研修を実施し、その期間中の日給もだしてくれることがあります。
また、二種免許があれば未経験、ペーパードライバーでも応募条件をクリアするケースも多いです。
大型自動車第一種運転免許
大型自動車免許は、運転できる車種、積載量にしばりがなく、ダンプカーやトラックなどを運転するための免許としては最高峰といわれています。
大型車を運転する仕事に就くのであれば、転職にかなり有利となりますのでぜひ目指したい資格です。
こちらも取得条件が厳しくなり、経験や視力も重視されます。
大型車両を運転するには内輪差や死角も多いため、相応の条件を満たさないとならないのです。
しかし、大型免許の有無によって給与が大きく変わることも珍しくなく、かなり高収入になる方もいますので、条件を満たしているのであれば挑戦したいところです。
最後に
いかがでしたか?今回は車に関わる仕事に注目し、仕事の種類や年収相場、資格についても紹介しました。
車が好き、興味がある方にとっては、車に関わる仕事は楽しく続けられ、やりがいもあるはずです。
技術や知識が求められるため勉強が不可欠な面がありますが、興味のある分野であれば頑張れるのではないでしょうか。