稼げる営業として知られる生保営業ですが、離職率はかなり高い職種です。
収入のために、生命保険営業という仕事をしている方もいますが、辞めたいと感じている人も多いきつい仕事です。
生命保険営業のメリットとして「稼げる」「時間が自由」などが挙げられることが多いですが、どちらも逆の側面があるということを忘れてはなりません。
良いところばかりに目が向いて、気軽に生保営業の仕事を始めてしまい、痛い目に合っているという方は世の中に大勢います。
今回は、生命保険営業の仕事の大変さと、辞めたい理由。転職先の見つけ方についてご紹介していきます。
目次
生命保険営業の仕事のデメリットとは?
生保営業の仕事には、どんな大変さがあるのかを見ていきましょう。
高額で信頼性に関わる商品なので売るのが大変
生命保険は毎月の支払はさほど大きくないとしても、年間で見るとかなりの金額を支払うことになります。
そのため、衝動買いや試しに買ってみるというわけにもいかず、契約者はかなり慎重に商品を検討します。
また、生命保険という人生に関わる商品であるため、初めて会った人や信頼性が確認できない人からは買うことを控えるという特性もあり、1件の契約までに相当な時間がかかります。
売るのが大変というのは、契約が取れたときの喜びはあるかもしれませんが、実際に収入などのことを考えると非常に大きなデメリットです。
保険商品の知識だけでなく幅広くお金の知識がいる
最近の保険商品は昔に比べると、値段から補償まで非常に幅広くなりました。
それだけでなく外資系の保険会社やネット生保なども増えて、消費者としては選ぶ幅が広がり知識も豊富になってきていると言えます。
そのため、生命保険営業は自社商品だけでなく、他社の傾向などを含めた幅広い商品知識が必要です。
また、社会保険とのバランスや、ライフステージに合わせた商品を提案する必要があります。
「お金や人生そのものに関する知識」という大きな範囲の勉強を続けていく必要があるというわけです。
最初はやる気を持っていた人であっても、契約ノルマや目の前の仕事に追われながら続ける勉強は本当に大変で、続けられなくなるというケースが多いです。
ノルマがきつく精神的なプレッシャーが大きい
生保営業マンの辞めたい理由として上位に挙がるのは、やはりノルマのきつさによる精神的なプレッシャーにあります。
契約が達成できなければ上司から厳しく言われることもあり、会議などでつるし上げに合うこともあります。
ノルマとの戦いは生保営業マンである限り終わることはなく、常にプレッシャーを感じながらの仕事に疲れ果ててしまうという人は少なくありません。
生保営業という仕事への認識違い
営業という職種柄それなりに仕事の大変さは覚悟はしてきたという人は多いはずですが、想像以上に厳しかったというのが本音でしょう。
また、生命保険という商品の特殊性を十分に理解しておらず、売れにくいということへの覚悟も足りなかったのかもしれません。
わかっていても入社してしまったという背景には、「生保営業は稼げる」という認識が広まっているということや、テレビCMなどで顧客第一という誇りを持ち、楽しそうに仕事をする営業マンの様子が作られているからということもあります。
確かに生保営業は稼げるという側面はありますが、ごくごく一部の営業マンだけであり、さらに稼ぎ「続ける」ためのハードルは相当高いです。
また、実際にはテレビCMなどで見られるような親切な営業マンや顧客主義の考え方は必ずしもあるわけではなく、利益主義の会社の方針にがっかりしてしまうこともあります。
前職が営業だからと言って生保営業で成功するわけではない
営業から別の業界の営業への転職はよくある話で、一度身につけた営業スキルは基本的に共通している部分が大きいため、経験者として優遇されます。
しかし、生命保険の営業に限っていうと、前職が営業だからと言って活躍できるとは限りません。
それは、一般的な営業は会社の名前と商品を売るための代表として行くのに対して、生命保険の営業に関しては個人事業主側面が大きいからです。
商品さえ良ければ買ってもらえるのではなく、営業本人の知識や信頼性が非常に契約に影響する仕事なのです。
大企業で良い商品を扱っていた営業が生命保険の営業に転職をしても、本人の資質によっては全く契約が取れないことがあるというのが特徴です。
営業成績によって給料が安定しない
一般的な営業職は、完全歩合制よりも基本給プラスの歩合制を導入していることが多くあります。
しかし生命保険の営業は完全歩合制であることも多く、給料の安定性で言うと非常に不安定と言えます。
生命保険営業の仕事のメリットとし挙げられる「稼げる」というのは、逆に言えば全く稼げない危険性もあるということを忘れてはいけません。
「中には一千万円稼ぐ営業もいます。」は、例え事実であってもごく一握りの人のことであって、自分がそうなれる可能性は低いと考えるのが妥当なのです。
身内営業があっという間に頭打ちになる
生命保険という商品は、高額ですし営業マンの信頼性も問われるものですから、売るのが難しい商品の一つです。
ごく一部の優秀な生保営業マンを除き、身内や友人、知人などを中心に営業活動をしていくようになります。
そうなると必ず頭打ちになるときがやってきます。
最終的には知人の知人や、これまで連絡すら取っていなかったような昔の同級生などに連絡を取るようになり、相手からも不快に思われるようになります。
入社して1~2年は身内や知人への営業で大きな成果を挙げていた人も、同じ手法で稼ぎ続けるということはできず、全く稼げないようになってしまうのはよくあることです。
稼げないと生活できなくなる
生保営業が稼げる仕事だと言われるのは、歩合給だからです。
歩合給は頑張れば給与に結びつくというメリットがある反面、不安定で契約が取れなければ固定給の他職種よりも給与が低いということもあります。
身内営業が頭打ちになり、自力で稼ぐ術を身につけてこなかった生保営業マンは次第に生活が苦しくなり、自然と辞めていくのです。
このようなことは、この業界内で当たり前に起きていることです。
接待費などが自己負担であることが多い
生命保険の営業をする際に、見知らぬ人を自宅に入れることを嫌がる人もいますから、ファミリーレストランなどで保険商品の説明や営業をすることもあります。
また、上顧客には継続利用してもらうために接待をしたりすることもあります。
しかし、これらの費用は営業本人の自腹であることも多いです。
歩合給として他の職種よりも稼げる可能性がある代わりに、そのための費用を社員に負担させるという会社は多く、その負担が大きくなってきたタイミングで辞める人も多いです。
自社商品に自信が持てなくなった
近年は様々な生命保険商品があり、高額というイメージを覆すような低価格の商品も増えてきました。
さらにインターネットで申込みや契約が完了する上に料金が低いという、ネット保険の台頭も目覚ましいです。
本来営業という仕事を続けていく上では、自社商品を自信を持って勧めることが必要です。
そうでなければ商品の良さを顧客に伝えることもできませんし、顧客のメリットにならない商品を勧めることには後ろめたさもあるからです。
しかし、生命保険商品の多様化から、自社商品にそもそも自信が持てなくなるという営業マンもいます。
自分が保険に加入するなら、他社商品の方が良いのではないか?という疑問を持つこともあります。
そうしているうちに営業活動にも身が入らなくなり、顧客を騙しているような気持ちを持つことに耐えられなくなり、辞めていくという人もいます。
営業という職種柄キャリアアップが難しいから
事務系などの仕事であれば、定期的に異動があったり業務内容もステップアップしていったりと、将来的なキャリアアップがしやすいというメリットがあります。
しかし、営業という仕事に一度就いてしまうと、そこから管理職などに抜擢されることは稀です。
よほど管理職としての特性が大きく、上からも認められた人でもなければ難しいでしょう。
稼げる営業であれば、会社としては引き続き営業として稼いで欲しいと思いますし、稼げない営業であれば管理職の座を提供するとは考えられません。
生保営業は永遠に一営業マンとして走り続けなければいけないのです。
生保営業を辞めたいと感じたら早めに転職しよう
生保営業の仕事に幻想を抱いていた人は、現実に直面することで後悔することが多いです。
ごく一部の優秀な営業マンにしか高収入を得続けるということはできないからです。
さらに、ノルマによる精神的なプレッシャーに追い込まれ身も心もズタボロになってしまう営業マンも多いです。
生保営業を辞めたいと感じたら、それは転職するタイミングにきています。
我慢して長く続けても先が見える仕事ではない以上、早めに転職して安定した職業に就く方がよほど生涯収入も高くなる可能性があります。
生命保険営業の仕事を辞めて転職をすすめる理由
生命保険営業の3年以内の離職率は、何と9割にも上るとも言われています。
契約が取りにくくノルマが厳しいといった理由も考えられますが、早めの転職をおすすめするのはそれだけではありません。
では、生命保険営業の仕事から転職をすすめるのは、どんな理由が考えられるのでしょうか?
ネット生保の台頭によりますます契約が取りにくくなるから
近年消費者の節約志向は著しくなりましたし、安くても良い商品が多く出回るようになったため消費者の目が肥えてきています。
最近はネット生命など、安い保険料で既存の保険と同レベルの補償が受けられる商品も増えています。
特に若者世代を中心に、急激に契約件数も上がってきています。
日本経済の不透明さもあり所得に余裕がない中で、いつ起きるかわからないケガや病気には最低限のお金しかかけられないことが考えられます。
また、生命保険営業の担当から頻繁にかかってくる電話や訪問などを、煩わしく感じる人が増えていることなども考えると、今後この傾向はますます顕著になっていくでしょう。
生命保険の営業の仕事は縮小し、ますます厳しい戦いになっていくことが考えられます。
知人や友人に手をつけてしまうと悲劇が起きるから
生命保険営業と言うと、「知人や友人を中心に営業活動をしている」というイメージを持っている人は多いと思います。
もちろん、成功している生命保険の営業の中には、そういった知人たちには一切手をつけずに新規開拓を行ってきたデキル営業も多くいます。
しかし現実には、知人や友人を中心に営業を行っている営業マンが多いのも事実です。
私の知っている人は、別の営業から生命保険の営業へ転職し、最初の1~2年であらゆる知人や友人に手を付けてしまいました。
そのため最初の1~2年の成績はすこぶる良く、本社から表彰までされるほどでした。
しかし、知人や友人の存在に頼りきってしまい営業努力を怠ったため、知人や友人のリストが一巡してしまうと急激に成績を下げてしまいました。
その結果、社内でも悪評が立ってしまったり、知人や友人からも敬遠されるようになったようです。
もし知人や友人を中心に営業活動をしているという方は、こんな悲劇が起きる前に、自分の実力を等身大に捉え、転職をする方が良いのではないでしょうか?
解約による罰則もあり将来に渡ってリスクがある
保険会社によっては、契約が取れてから1年以内に解約が発生した場合には、罰金を支払う必要がある場合もあります。
保険の営業からの勧誘がしつこくて一旦は仕方なく契約したものの、営業や商品の信頼性に疑問を感じ、早期解約に至るというなどのケースが考えらます。
そのため、無理やり知り合いに保険商品をすすめた結果、最初の収入は良くても後々解約が相次いで罰金の支払で、首が回らなくなるということもあります。
生命保険営業は契約が取れて終わりではなく、将来に渡ってリスクがあるということを覚えておきましょう。
早めの転職で安定した生活を
稼げるという文句に乗せられて生命保険営業を始めたけれど、新規契約がなかなか取れないという人は転落人生が待っているかもしれません。
早めに見切りをつけて転職をするのも賢い選択です。
異業種への転職は転職エージェントを使おう
生保営業を辞めて異業種へ転職をするのであれば、転職エージェントの利用がおすすめです。
ハローワークや求人誌に比べて圧倒的に求人数が多く、希望の条件に合った仕事が見つけやすいです。
生保営業の経験をどの業種で活かせるか、キャリアコンサルタントが無料で診断し、適切な職種を紹介してくれるでしょう。
また、応募書類の添削や面接時の対応など転職に必要なノウハウを得ることもでき、一人でやみくもに転職活動をするよりも転職に成功する確率がアップします。
転職エージェントは無料で利用できますから、積極的に活用しましょう。
生命保険の営業から抜け出そう
生保営業を辞めたい理由をご紹介しました。
結果が出せなければ生活すら難しくなる厳しい世界です。
生保営業の仕事が辛くて辞めたいと感じているのであれば、早めに動き出すことをおすすめします。
ぜひ参考にしてみてください。