離職率が低い企業に転職したいとは多くの人が思うことかもしれませんが、実際に離職率が他社と比べて極端に低い優良企業はそう簡単には見つからないというものです。

しかし近年、若者の離職率の高さや長時間労働などを見直したいという動きが社会全体として活発化しています。

その結果今はまだ離職率が極端に低いとまでは言わないけれど「徐々に離職率が改善傾向にある」という企業が増えてきています。

それは離職率改善のための努力をしているからであって、そういう企業を狙っていくことで数年後には「我が社は離職率の低さが自慢」という職場に身を置くことができるはずです。

つまり「離職率改善という分野において成長著しい企業」を探すということです。

離職率がすでに低い企業だけを狙うと応募先の選択肢が限られますが、離職率改善に取り組んでいる企業も加えることで選択肢の幅を広げることができるでしょう。

そこで今回は、離職率改善に取り組んでいる企業の特徴についてご紹介していきます。

人事評価制度を公平に分かりやすくした

会社を辞めたいと感じる理由でよく挙がるのが「正当に評価されない」ということがあります。

多いのが「自分より成績が悪いのに上司へのごますりが上手くて出世した人がいて納得できない。」「上司が全く仕事をしないのに高い給与だけもらっていることに嫌気がさした。」など人事評価制度に不公平さを感じるというケースです。

会社の人事評価制度そのものを変えるということはかなり大がかりなことで、中間管理職レベルの裁量に委ねている企業も多いのが実情です。

しかし企業側もこういった人事評価制度への不満が多いことには気づいていて、さすがに大改革をしなければ企業の存続危機を招くとして動きだしてきています。

転職先を見極める際には、人事評価制度がどうなのかは大切なポイントです。

分かりやすい制度を採用しているのか、結果を出せばきちんと評価される仕組みになっているのか事前に確認しておきましょう。

面接の質問タイム等で聞いてみるのも良いでしょう。

自身が「この人事評価制度なら自分も納得して働けそうだ。」と感じたならば、その企業への評価ポイントとしてチェックしておきましょう。

働き方の選択肢を増やした

働き方の多様化が進んでいるとはよく言われますが、その流れに乗って働き方の選択肢を増やしている企業が多くなってきています。

特に、法律で定められている育児短時間制度などだけでなく、企業独自の取り組みとして変形的な短時間勤務や在宅ワークなどの導入も始めている企業が近年特によく見られます。

在宅ワークなどが正社員にも採用されるようになったのは比較的最近なので、こういう時代に合った働き方を増やしているのは離職率改善への取り組みが行われていることの証と言えるでしょう。

企業HPなどで大々的に制度を紹介している企業も多いので、自分がその制度を使うかどうかに限らず注目してみてください。

自分が使えるかどうかも大事ですが、会社として離職率削減への意識があるのかどうかということの目安になります。

現場の意見を反映させやすくした

経営方針を決定するのはトップの仕事ですが、それが現場の社員たちの意見も反映されたものであるのかは、仕事のやりがいにもつながる重要な要素です。

社員たちを信用していないオーナー社長などは特に、親族以外の意見に聞く耳を持たないという人も多く、それが高い離職率の大きな要因であることがあります。

現場の意見が届きやすいかどうかを知るには現場の人の話を聞くのが一番です。

面接では実際に働く職場の上司やリーダーなどが同席していることも多いですから、人事担当者ではなく現場の人に質問を投げかけてみましょう。

<例>

「お客さまからの提案や要望は、どのようにして商品やサービスにフィードバックさせていますか?」

「顧客からの要望や意見を反映させていく仕組みなどはありますか?」

現場職員の意見が通るのかという聞き方ではなく、顧客の要望にどう対応しているのかという聞き方をすれば企業側としても答えざるを得ません。

答えに詰まる、これといった返事がもらえないのであれば、現場の意見が聞き入れられない、顧客視点に立っていない企業だと言えるかもしれません。

また、面接官が人事担当者や役員のみで実際に働く職場の人が同席していなかった場合は、
面談させてもらえるよう依頼してみる、職場見学を申し出てみるなども一つです。

<例>

「採用していただいた場合に私が働くことになる職場の上司の方や職員の方とお会いできますか?」

長時間労働が評価される慣習をなくした

長時間労働は退職理由の常に上位に挙がりますから、長時間労働を見直す動きが進んでいる企業はやはり離職率改善に取り組んでいると言えます。

これは先ほどご紹介した人事評価制度にもつながることですが、長時間働く人ほど評価される慣習がないかどうかはぜひ知っておきたいところです。

とは言え面接でこの手の質問をすると嫌がる人事担当者もいますから、質問タイムで聞く場合は直接的な聞き方ではなく、1日のスケジュール例を聞いてみるなどの工夫が必要です。

企業HPの社員紹介などでスケジュール例や社員のインタビューが記載されている場合も多いので参考にしてみても良いでしょう。

研修制度を充実させた

研修制度については人によって「研修よりも現場でスキルを磨きたい」「研修で結果的にサービス残業が増えるのではないか?」という懸念があるかもしれません。

労働時間も研修も多い、というのであればサービス残業などにつながる可能性はあります。

しかし長時間労働=高評価ではないという慣習がある会社であれば、研修を充実させることには意味があることなのです。

どういう意味かというと、単に「効率を上げて早く帰れ」と言うだけではなく、研修を通じて一人一人の能力アップを図ることで、結果的に生産性の高い働き方ができるようにしているということです。

ですから、先ほどの長時間労働を見直す動きと研修制度の充実度についてはセットで考えてみると、離職率改善の意識がある企業かどうかが見えてきます。

転職エージェントに聞いてみると有益な情報が

離職率というキーワードは地雷ワードでもあるので、面接で直接「離職率改善のための取り組みをしていますか?」と聞くことは難しいです。

聞くのであれば遠まわしに違う切り口から聞いてみる工夫が必要ですが、なかなか聞き方に悩むという人も多いかもしれません。

であれば、転職エージェントを利用しましょう。

聞きにくいことを応募者に代わって確認してくれる、もしくは離職率改善の取り組みについて情報を持っていることもあります。

最後に

いかがでしたか?今回は、離職率改善に取り組んでいる企業の特徴をご紹介しました。

離職率は多くの企業にとっても懸念材料ですが、個別の事情等もあり改善が簡単ではないのも事実です。

しかし離職率改善に向けた取り組みを行っているのかどうかは、労働者が働きやすさを見極める上で大きな指針となるでしょう。

応募先を見極める上でぜひ参考にしてみてください。