転職活動で求人を探していくときに、給与は気になるポイントです。
しかし、給与だけでなく社会保険も実際に転職した後の「お金」に関わってくる部分です。
少し難しいと思うかもしれませんが、基礎知識があるかないかで安心して応募できるというものなので、ぜひ知っておきたいところです。
今回は、求人探しに役立つ社会保険の基礎知識をご紹介していきます。
目次
そもそも社会保険って何?
社会保険というのは「厚生年金」「健康保険」「雇用保険」「労災保険」の4つの保険の総称のことを指します。
また、厚生年金と健康保険を「社会保険」と呼び、雇用保険と労災保険を「労働保険」と呼ぶこともあります。
求人などでは4つの総称を指すことが一般的には多いです。
それぞれ簡単にまとめると以下のようになります。
厚生年金…年を取ったときの年金や障害になったとき、自分が亡くなってしまったときに家族が安心して暮らせるように遺族年金などが支給される制度です。
健康保険…病気やケガをしたときの医療費の他、働けなくなった間の生活費を補填する傷病手当金や自分や妻が出産したときの出産育児一時金など様々なものが受けられます。
雇用保険…失業したときに受けられる手当や、資格取得のために勉強した際に支給される教育訓練給付金制度などがよく知られています。これ以外にも、被災して転職を余儀なくされた場合の面接旅費なども支給されます。
労災保険…業務や通勤に関係のあるケガや病気になったときの療養費の支給の他、働けない間の賃金の補償や障害になったとき、亡くなってしまったときの遺族補償など様々な給付を受けることができます。
社会保険完備なら安心、ではなく当たり前と心得よう
社会保険完備なら安心だよねと、求人票を見て高ポイントをつけてしまう人がいます。
もちろん社会保険は働く上で大切なものなので気になるポイントではあります。
しかし、基本的には「あって当たり前」というレベルのものだとご存じですか?
厚生年金と健康保険は「事業所」単位の適用で、例えば株式会社などの法人は強制的に適用とされています。
そして規模が小さな個人事業主でも、常時5人以上従業員がいれば、農林やサービスなど一部の事業所を除いて強制的に適用です。
また雇用保険は、農林水産など一部を除き1人でも従業員がいれば適用、労災保険も公務員などを除き1人でも従業員を雇っているなら適用となります。
つまり、社会保険の有無を気にすべきなのは法人以外の小さな事業所に応募する場合ということです。
さらに雇用保険と労災保険は事業所規模に限らず適用なので本当は心配する必要はないのです。
ただし、法人ではない個人事業主に雇われる場合は、従業員数は何人なのか社会保険はどうなのかは重要なポイントになります。
なぜなら社会保険に会社が入ってくれていなければ、自分で国民年金と国民健康保険の手続きをし、保険料も自分で支払う必要があるからです。
会社が社会保険に入っていてくれれば保険料も半分負担してくれますが、自己負担の場合は給与の手取りの中から支払う必要があると覚えておきましょう。
社会保険完備って書いてなくても大丈夫なの?
求人票を見ると「社会保険完備」と書いてある場合とない場合があります。
媒体によってはオリジナルのマークなどで表示してあることもあります。
「マークの見方」など、詳細がサイト内や冊子の最初の方に書いてあることが多いので見てみましょう。
社会保険完備と書いていなくて、募集側としては当たり前すぎて書いていないことがほとんどなので過度に不安になる必要はありません。
逆に完備をアピールしてくるのは、適用外の事業所である5人未満の従業員しかいない個人事業主が多いです。
本来は適用事業所じゃないけど、うちは頑張って適用としていますよというアピールです。
また、とある求人媒体の営業担当から聞いた話ですが、当たり前に適用となっている事業所なのにやけに社会保険完備をアピールしてくるのは、他に会社としてアピールするところがないとも考えられるそうです。
当然のことではありますが、求人を選ぶ際には社会保険完備以外にもきちんと目を向けて、総合的に判断する冷静さが必要になります。
ケガをしたときの労災が不安という人へ
工場や建設現場などで仕事中のケガのリスクが高い業種へ転職するという人の場合、労災保険は大丈夫だろうか?という不安があるでしょう。
前述したように、労災保険は1人でも従業員を雇えば適用になります。
適用外なのは国の直営事業と官公庁の事業で、この人たちは公務員用の災害保障制度があるのでそちらを利用することになります。
会社でケガをしたときに会社の社長から「うちは労災入っていないから病院に行っても黙っているように言われた。」という話を聞いたことがありますが、それは社長が言っているだけで、従業員を雇っている時点で必ず入っています。
労災保険を使ってしまうと労災保険料が上がるから嫌なのか、何かやましいことを隠したいという理由なのかで、そのようなことを言っているものだと推測できます。
請負など雇用契約ではない、家業の手伝いというわけでもない限りは、例えアルバイトだろうと外国人だろうと労災は必ず適用になるのです。
毎月決まった給与をもらう雇用契約を結ぶのであれば、労災保険に入っていないはあり得ないと覚えておきましょう。
例えば応募の段階で労災未加入を匂わせるようなことを言っていたら、かなり危ない募集なので避けるのが無難です。
社会保険料っていくらになるの?
社会保険料は賃金の額によって異なります。
厚生労働省や日本年金機構のHP、応募先企業で加入する健康保険(健康保険組合や協会けんぽなど)のHPなどで料率や月額を確認することは可能です。
ただ、保険料の計算にあたって給与のうちの何を含めるかが細かく決められていますし、正確に把握するのは専門知識がないと難しいとは言えます。
大体これぐらい、というレベルであれば知ることができますから調べてみても良いでしょう。
また、給与から引かれるものは社会保険料だけでなく、所得税や住民税、企業によっては積立金や互助会費などが引かれることもあります。
本当にざっくりにはなりますが、社会保険や税金だけで給与額面の2割程度は引かれると考えておくのが一つの目安です。
求人に応募する際は給与額は気になるポイントになりますが、手取りベースで生活していけるのかを考えていきましょう。
お金のことは聞きにくいから転職エージェントを頼ろう
今回ご紹介したような社会保険の有無や給与規定など「お金」に関わってくることは正直面接で聞きにくいポイントです。
お金だけのために応募してきた人だと思われることもあり、質問には慎重さが求められます。
この場合、転職エージェントを利用した転職活動であれば、エージェントを通じて社会保険や給与のことなど気になるお金のことを企業に聞いてもらうことができます。
また、掲載にあたって企業審査がしっかりと行われているので、社会保険適用事業所なのに保険料未払いなどという、まずい企業にそもそも出会う確率が少ないです。
安心して転職活動を行っていくためにも活用していきましょう。
最後に
いかがでしたか?今回は、求人探しに役立つ社会保険の基礎知識をご紹介しました。
普段給与以外には目を向けていなかったという方は、社会保険の存在を認識し、併せて求人探しのポイントとして考えてみてください。