雇用の安定性や収入面に福利厚生など、派遣社員という立場は何かと正社員に比べて恵まれないことが多いです。
派遣社員ではなく正社員として働きたいと思っている人は少なくないですが、その道は険しいとも言われます。
しかし、派遣社員から正社員に転職を成功させることは決して無理なことではありません。
今回は、派遣社員から正社員に転職を成功させるための秘訣をご紹介していきます。
目次
紹介予定派遣は良い制度だが案件が少ないのがネック
派遣社員から正社員になる方法として、紹介予定派遣というものがあります。
一定期間派遣社員として働いた後、企業側と労働者側の同意があれば正社員として働くことができるという制度で、お互いに仕事の適性や雰囲気などを知ってから正社員雇用に踏み切れる、とても良い制度です。
しかし紹介予定派遣の案件自体が少なく、倍率も高めです。
紹介予定派遣から正社員を狙うにはハードルが高いとも言えます。
派遣で経験を積んでからこの制度を狙おうと考えている人は、現在の年齢も踏まえて早めに正社員転職を検討してみてもよいかもしれません。
年齢が上がれば上がるほど、条件が良い案件の紹介は受けにくくなってきます。
元派遣だろうとやってきたことを伝える
元派遣社員だろうとアルバイトだろうと、これまで携わってきた仕事を整理して転職先で活かす、このことに変わりはありません。
例え派遣経験しかないとしても、キャリアの棚卸と自己分析をしっかりと行った上で正社員面接に臨みましょう。
ただし、応募する企業は、これまでの経験やスキルが活かせそうな職場に絞ることが大切です。
未経験職種だったとしても、職務領域に重なる部分が多いなどが必須条件です。
経験もスキルも全く活かせない職場に応募しても可能性があるのは、20代前半の第二新卒と呼ばれる人たちまでです。
伸びしろや成長性に期待できるこの世代であれば、むしろ派遣経験によって一般的なビジネスマナーなどを身につけているということが強みになることがあります。
育成やリーダーシップをどうアピールすべきか
30代以降になると、企業として採用したい人材には後輩育成やリーダーシップなどが加わることになります。
ところが、元派遣社員の場合はそんなものないという人も少なくありません。
個人としてのスキルレベルは高くても派遣期間が決まっているため、チームの中で人を育てるという経験はそうはないからです。
その場合は、対個人で仕事を教えた経験がないか考えてみましょう。
ある会社では皆忙しく育成に時間がかけられなかったため、若手社員が分からないことを誰にも聞くことができないという状態でした。
見かねた派遣社員の女性が、自分に分かることだけでもと若手社員の指導にあたったところ、その若手社員から非常に頼りにされ、若手社員は仕事のスキルをぐんぐん身につけていくことができました。
派遣社員の女性は正社員の面接でその経験を伝えたところ、若手育成にも期待ができるとして採用されました。
プロジェクトリーダーや管理職経験のような大きな経験などないという派遣社員は、身近な経験からその資質をアピールするようにしましょう。
派遣を選んでいた理由には注意が必要
「なぜ派遣社員だったのですか?」「なぜ正社員になろうと思ったのですか?」などの質問をされることがありますが、答え方には注意が必要です。
派遣社員を選んでいたには様々な理由があり、プライベートを大切にできるなど敢えてその道を選んでいたという人もいます。
しかし正社員としては就職先が見つからず、仕方なく派遣を選択したという人も多いです。
それをそのまま伝えてしまうと「スキル不足な人材」「どこからも正社員として必要とされなかった人」と思われてしまうことになります。
「自分がやりたい仕事ができるようになるためのステップの一つだった」というスタンスで伝えるようにしましょう。
<例>「〇〇というスキルを身につけるために派遣社員として働いていました。今後は正社員としてこのスキルを活かしたいと思い転職活動を始めました。」
派遣という雇用形態への不満は伝えないこと
「派遣社員で大変だったことはありますか?」などの質問をされた場合、派遣という雇用形態への不満は伝えないよう注意すべきです。
確かに派遣は正社員と比べて、給与や福利厚生など様々な条件面で不満を抱えやすい立場です。
しかしそれはある程度予想ができることなので、「何も考えずに派遣になったのか?」など計画性のなさを疑われてしまうことになります。
この場合は雇用形態への不満ではなく、あくまでも仕事内容で大変だったことなどを伝えるようにし、その際に行った工夫なども付け加えると好印象です。
責任感を持って仕事に取り組んできた姿勢をアピール
何年も同じ職場で派遣社員として働いていたのであれば、ほぼ正社員経験と同じように見るという企業も少なくありません。
しかし、派遣社員としていくつかの職場を転々としていたという人に対して企業が気にするのは、派遣という雇用形態そのものではなく、責任感を持って仕事に取り組むことができるのか、という点です。
人間、自分が長く関わる必要があることは責任を持ってやりますが、短期間で手放すものに関しては「どうせ時期がくれば手放す仕事だから…。」と、責任感が薄れがちになるからです。
面接官のその不安を払拭させるためには、正社員と同じように仕事に対して真摯に取り組んできたということを伝えましょう。
さらに周囲からの評価などを付け加えるのもポイントです。
<例>「私はこれまでの派遣社員の経験の中で、一つ一つの仕事に対して責任を持って取り組むということを常に意識して仕事に取り組んできました。
上司からも、〇〇さんに仕事を頼むと最後まで丁寧に仕上げてくれるからとても助かると評価をもらいました。」
自分には何も強みがないと思わないこと
一般事務など専門的なスキルを必要とされない仕事を長くやってきたという人は、自分には何も強みと言えるものがないと思いがちです。
しかし、問題解決能力やコミュニケーション能力なども、立派な強みとして評価される点です。
仕事を効率よく行うためにどんな工夫をしてきたのか、周囲の人たちとコミュニケーションをとる際に何を意識していたのかなど、仕事をする上で気を付けてきたことを述べるようにしましょう。
人事担当者に話を聞いてみると、「元派遣社員であっても問題解決能力が高く、協調性があり周囲とうまくやっていけそうな人であれば積極的に採用したい。」と考えている人は多くいます。
実際にとある企業の人気職種の募集案件では100人近く応募者がいましたが、採用された4人のうち2人は、元事務系の派遣社員でした。
正社員経験がないからと言ってそれだけで不採用になるということはあまりありません。
いかに自分の強みを明確にし、面接で伝えていくのかが大切なのです。
転職エージェントを使えば内定確率アップ
派遣社員から正社員の転職を考えているという人は、転職活動そのものに不安が大きいことでしょう。
正社員経験がないことがネックにならないのか、経歴をどのようにアピールしていけばよいのかなど、焦りばかりが募るという人も少なくありません。
その場合は、転職エージェントを利用した転職活動をおすすめします。
応募書類の書き方から面接時の対応までプロの目線から実践的なアドバイスをくれます。
一人で転職活動を行うよりも内定確率がアップしますからぜひ活用してみましょう。
最後に
いかがでしたか?今回は、派遣社員から正社員に転職を成功させるための秘訣をご紹介しました。
派遣に比べて安心して働けるなどメリットが大きい正社員ですから、ぜひ転職を成功させてください。