税理士を目指す人や豊富な税務知識がある人にとっては、税理士事務所で働くことは定番の働き方です。
しかし、個人経営の事務所で働くことには様々なリスクが伴いますから、一般企業での活かし方についても目を向けてみる必要があります。
今回は、税理士事務所で働くことのリスクと、一般企業で働くことをおすすめする理由についてご紹介していきます。
目次
税理士事務所で働くことはこんなところがリスク
税理士事務所で働くということは、様々なリスクが伴うことです。
では、どのようなリスクが考えられるのでしょうか?
従業員が数人の狭い世界では人間関係悪化のリスクが高い
税理士事務所の多くが従業員10人未満の少人数の経営になります。
それゆえ狭い世界の人間関係となり、職場で誰かと相性が合わないなどの些細な不満が、職場に行きたくないと思ってしまうほどの大きな人間関係の悩みにつながってしまうのです。
従業員数が多く、様々な人と接する一般企業の職場であれば、誰か一人のことを嫌だと思っても、できるだけ関わらないようにしたり、気にしないようにするなどの回避方法もあります。
しかし人数が少ない中での付き合いとなると、たった一人のその人を避けて通ることが難しくなってしまうことがあるのです。
個人事務所で年収アップやボーナスは見込めない
税理士事務は一人の税理士が所長を務め、経営者としての役割を担っているところがほとんどです。
そのため経済的に体力のある一般企業と比べても、給料や賞与に期待できない場合がほとんどです。
昇給に関しても、経験年数に応じて昇給していく規程がある一般企業と違い、昇給はないという場合も多くあるようで、将来的に大幅な年収アップも見込めないのが実情です。
クライアントも小規模だからの倒産リスクなどは常につきもの
個人経営の税理士事務所のクライアントは多くが中小零細企業になります。
規模の大きい会社と契約することができれば良いのですが、すでに有力な税理士事務所が担っていることがほとんどなので、新規に契約を取ることは難しいからです。
中小零細企業の経営を立て直すためのアドバイスを行ったり、経営が順調にいくことで経営者から感謝されることは、税理士事務所職員として大きなやりがいになりますが、経営体力の少ない中小零細企業は倒産リスクとも常に隣り合わせの状態にあります。
クライアントが倒産すれば、税理士事務所としての売り上げも大きく減ることになるため、その影響は大きくなってしまいます。
一人にかかる仕事が大変だから勉強の時間が取れないことも
税理士事務所で働きながら、税理士資格を目指しているという人は大勢います。
税理士資格はかなりの難関資格ですし、働きながら勉強するのは相当難しいことです。
にもかかわらず、通常の監査やコンサルティング業務などで手いっぱいですし、勉強をしながらも仕事で成果を出さなければなりません。
少数精鋭の税理士事務所では一人にかかる仕事の負担も大きく、勉強の時間が満足に取れないこともあります。
もちろん一般企業であっても、働きながら勉強することの大変さに変わりはありませんが、ノー残業デーや有休などをうまく使うことで勉強時間に充てることは十分可能です。
独立開業はさらにリスクが高い。営業力が抜群でなければ経営は困難
税理士資格取得を目指す人の中には、将来的に独立開業を夢見ているという人も多くいます。
うまくいけば年収の大幅アップにつなげることもできますし、雇われの身では考えられないほどのやりがいや、自分のやり方で仕事を進められることの喜びもあります。
しかし、税理士事務所の数はすでに飽和状態にあり、よほどの営業力がなければ事務所を経営することは難しいです。
税理士の数が少なくて開業すればほぼ儲かるといった時代ではないのです。
独立開業することはリスクが非常に高いことであると言わざるを得ません。
税理士事務所で働いて得た税務知識は一般企業で活かそう
税理士事務所で働くことは、資格を取得して独立開業を成功させる以外には、将来的に年収をアップさせる方法はあまりありません。
夢を追いかけるのも良いですが、現実的に将来を見据えようと考えるのであれば、一般企業へ転職してその豊富な税務知識を活かしてみてはいかがでしょうか?
ここでは、税理士事務所ではなく一般企業で働くべき理由についてご紹介していきます。
一般企業で活躍できる理由
税理士事務所では、税金の知識の他にも経営課題を見出して改善を促すなどの経営アドバイスや、様々な視点から経営を黒字に導くための方法を探し出すよう訓練されます。
単に税金関係の書類を作成したり、税務上不明な点を確認するだけで済むのであれば、ネットで調べたり税務署に相談すれば済むことですから、税理士事務所の価値はそれよりも別のところにあるのです。
そのため、税理士事務所で働いていた人は、視野が広く、論理的思考ができて問題解決能力に優れている人が多いです。
これらの能力はどんな仕事においても応用できる能力であり、企業でまさに求められている人材像でもあると言えるのです。
一般企業であれば昇給やボーナスも見込める
税理士事務所ではなく一般企業に勤めることの大きなメリットとして、給料などを始めとする待遇に恵まれているということと、昇給があって将来的に年収が上がる可能性が大きいということが挙げられます。
また、個人経営の事務所に比べれば経営体力があるため、倒産などのリスクも低くなります。
将来的な安定性という意味では一般企業に軍配が上がるのではないでしょうか?
税務や財務、給与担当も
どの企業であっても必ずある税務や財務を担当する経理課や財務部などで、その豊富な税務知識を活かすことが十分に可能です。
これらの部署の基礎業務の一つでもある仕訳作業などは、未経験の人に教えるのに時間がかかりますが、税理士事務所での勤務経験があればすんなり入ることができます。
さらに一般企業で働きながら税務や財務知識を身につけた人よりも、豊富な知識があるため、決算書の作成や資金繰りなど通常課長クラスが携わるような仕事にも期待がかかります。
年末調整や給与計算業務なども行う税理士事務所も多いですから、様々な業務で即戦力として働けることでしょう。
クライアントを訪問することに慣れているから営業も
税理士事務所では月次監査といって、クライアントを訪問し月々の経営状況の聞き取りやアドバイスをする仕事があります。
中小零細企業相手とはいえ、一般企業の社員であれば話す機会がないような会社の経営者と話をする機会も多く、彼らに頼りにされ可愛がられる術を身につけるようになります。
ある意味営業職的な側面も持ち合わせていますから、営業職も向いている仕事と言えるでしょう。
営業職であれば、一般企業としての待遇の安定の他にも、成果を挙げた分だけ報酬アップが見込めるというメリットもあります。
雇われの身でも大きく稼ぎたいという方におすすめです。
転職先を探すのはエージェントを利用して
税理士事務所での勤務経験が活かせる転職先を探すときは、転職エージェントを利用しましょう。
非公開求人を含む多数の求人がありますから、希望の条件に合った求人が見つけやすいです。
せっかく税務業という難しい仕事をしていたのですから、条件にこだわって納得できる求人を探すべきです。
転職エージェントには優良な企業が多く掲載がありますから活用して賢く転職先を見つけてください。
最後に
いかがでしたか?今回は、税理士事務所で働くことのリスクと豊富な知識を一般企業で活かすべき理由についてご紹介しました。
将来性や安定性を考えると、小さな事務所より一般企業で働くことは多くのメリットがあります。
ぜひ参考にしてみてください。