就職活動中の学生は相変わらずの安定志向にあり、大企業への就職を希望する人が多いそうです。

転職組の中でも年収アップ、安定のためにはやはり大企業へ転職したいと思う方も多いでしょう。

しかし、それだけの理由で大企業へ転職して本当に良いのでしょうか。中小企業では本当にだめなのでしょうか？

今回は、大企業ではなく中小企業で働くということの魅力についてお話していきます。

大企業で働くメリットは？

まずは大企業で働くことのメリットについていくつかお話していきます。

福利厚生がしっかりしている

その企業で働くことによって受けられるサービスがあったり、企業年金に加入していたりと福利厚生がしっかりしていることは大企業で働くメリットです。

給与水準が比較的高い、ボーナスがある

母体が安定しているということで、給与水準が比較的高い、ボーナスも相対的に見て高いなど給与におけるメリットは大きいでしょう。

家族や友人に自慢できる

どんな仕事をしているの？より、どこで働いているの？と聞く人はいまだに多く、大企業で働いていることそのものを評価する風潮はどこへ行ってもあります。

友人からうらやましがられたり、家族が誇らしく思ってくれたりという面はあるでしょう。

このように、大企業で働くということは給与や福利厚生など享受するものが多く、世間体などを気にする方にとっても大きなこだわりとなることもあります。

大企業で働くにはデメリットもある

しかし、大企業で働くには大変なこともあるということを心得ておきましょう。

部署異動が多く、希望の部署に配属されないこともある

大手の場合は部署異動も多く、自分のやりたい仕事が常にできるというわけではありません。

その企業そのものに魅力を感じて転職するのであれば良いのですが、一度覚えたことを部署異動によってリセットする可能性がある、希望の部署に配属されるわけではないということを覚えておきましょう。

大手であっても業績不振に陥ることはある

例えば家電や携帯電話など、世の中の流れに業績が大きく影響される、自社製品の不具合によって事故が起きて評判が落ち業績不振に陥るなどは、例え大手であってもあり得ることです。

大企業だから業績が安定しているというのは必ずしも言えないことだと理解しましょう。

会社は倒産しなくても自分が解雇の対象になることはある

会社は倒産しなくても大規模な人員削減などによって自分が解雇の対象になることがあるということを忘れてはいけません。

例え若くても、能力が低く会社に依存しているような人材は肩たたきの対象になりうるのです。

安定を求めて大企業に転職したいと考える場合には、それなりの覚悟は必要だと覚えておきましょう。

大手ほど代わりはいると心得て

何か大きなミスをした、病気やけがで働けなくなった場合など、小さな規模の会社の場合は、その人にしかできない仕事もあったり、少人数だからこそ親身になってくれたりと、感情を入れて接してくれることがあるでしょう。

しかし、大手になれば人間関係も希薄であったり、いくらでも就職希望者がいることなどから、その人でなくても構わないということはよくあることです。

自分に何かあったとき、いざとなっても会社は助けてくれません。代わりはいくらでもいると心得ましょう。

このように、大企業であっても手放しに良いところばかりではありません。

規模が小さくても魅力的な会社はたくさんある

続いては、中小企業で働く魅力についてお話していきます。

本当に良い会社とは？

「日本で一番大切にしたい会社」坂本光司著　という本をご存じでしょうか。

メディアなどでも多数取り上げられ、シリーズも登場してロングセラーにもなりましたからお持ちだという方も多いかもしれませんね。

その中で取り上げられている企業の多くは、初めて耳にするような会社も多く、中にはほんの数人で経営している企業などもあります。

それでも、そこで働く人たちの企業への愛情、お客様への感謝の気持ちは非常に深いものを感じるとともに、企業も従業員を誰よりも大切にするという姿勢が見えます。

従業員を大切にするからこそ、従業員は企業への恩返しや愛社精神で仕事を頑張り、企業の業績もアップしていくという良い循環を生むのだと分かります。

このような、本当に良い会社だと言える企業は、実は大企業よりも中小企業に多くみられます。

大企業の中には業績重視で従業員をこき使ったり、隠ぺい体質だったりと、決して良い会社だとは言えないような企業も多くあります。

今まで大企業しか眼中になかったという方は、一度本当に良い会社とはどんな会社なのかについて、考えてみても良いかもしれません。

一つの目標に向かって一致団結できる

規模が小さい会社ほど、従業員たちの目標が一つに定まりやすいというメリットがあります。一つの製品やサービスを作り出す目標に向かって、皆が同じ方向に向きやすいです。

こだわったモノづくりで世界へアピールすることもできる

大企業の場合は商業主義ですから、万人受けするようなものを作る傾向にあります。モノを作るのが好きな人やこだわりがあるという人にとってはつまらなく感じることもあるでしょう。

一方、規模の小さい会社ではとことん一つのものを突き詰めてこだわるということも可能です。

小さな町工場で作られたものが、世界的に評価を集めたという話は、メディアなどで目にしたことがあるかもしれません。

商業主義にこだわらず、オンリーワンの製品を作り出せるということも、規模が小さい会社では可能なことです。

自由に力を発揮できることがある

大企業だと現場の意見がなかなかトップに届きにくいということもあります。

規模が小さい会社の方が意見が届きやすかったり、自分の裁量でやれることも多いので、自由に自分の力を発揮したいという方にとっては大きなメリットになります。

良い人間関係を築くことができることがある

少人数で働くような場合、人間関係が濃密になることがあります。中には家族ぐるみの付き合いになるようなこともあります。

これを負担に感じる人もいますが、困ったときに親身になって相談に乗ってくれた、仕事を辞めた後も長い付き合いになったなど、良い人間関係が築けるということもあります。

こればかりは人との相性や職場によっても差がありますが、中小企業ならではの良い面でもあります。

転職エージェントには優良中小企業が多くある

多くの非公開求人を扱う転職エージェントには、本当に働きたいと思えるような優良中小企業も多く掲載されています。

キャリアコンサルタントは企業の内情にも精通していますから、気になる企業があれば積極的に相談してみましょう。

中小企業も多くの魅力にあふれている

中小企業であっても従業員を大切にし、こだわった製品やサービスを作り、一生働き続けたいと思う企業はたくさんあるものです。

大企業にはもちろんたくさんの魅力がありますが、それは誰にとっても良い会社であるということにはなりません。

自分が働く上で大切にしたいものは何なのかをじっくり考えてみることで、実は一番魅力的な企業が他にあったということもあるかもしれません。

大企業ではなく中小企業で働くということも一度考えてみてはいかがでしょうか。