新卒だけでなく転職組からも人気の高い観光業界の仕事では、やりがいのある仕事をしたい、好きなことを仕事にしたいという人にとってはとても魅力的な仕事に感じることでしょう。

ただこの業界はいわゆるブラック企業も多いと言われていますから、求人を選ぶ際には注意も必要になります。

そこで今回は、観光業界に転職を考えている人向けに、求人広告の見方と気を付けたいポイントをご紹介していきます。

変形労働時間制って?

ホテルや旅館など常にスタッフが駐在している必要がある仕事では、変形労働時間制と呼ばれる勤務制度を導入していることが多くあります。

そもそも労働基準法では1日8時間、1週間に40時間という労働時間の原則が定められています。

しかし業務の性質上この原則がそぐわないため、1日や1週間の労働時間を一定の枠内であれば変形的に労働させることが認められている制度です。

これによって一定期間の週平均労働時間が法定時間内に収まっていれば、8時間を超えた長時間にわたる勤務も可能となるのです。

変形労働時間制は労使協定を結び適切に運用すれば法的な問題はないのですが、実際問題としては勤務時間が不規則になるため、体力面できついという場面が出てきます。

例えば1ヶ月単位の変形労働時間制であれば1日単位での労働時間の制限がないため、1勤務16時間の連続勤務などもできることになります。

その代わり他の日に休めるということですが、実際にこの勤務をやるのはハードで休憩時間が与えらえていても心身ともに休まることがないという意見も多く聞かれます。

求人広告を見ると具体的な勤務時間帯の例が記載されていることがほとんどですが、実際にどんな勤務になっているのか面接等で話をしっかり聞くようにしましょう。

給与は相対的に見て低い傾向に。手取りで生活できるか確認しよう

観光業界はどの職種を見ても給与は低い傾向にあります。

大卒であっても総支給20万円に満たないということもよくあり、手取りでは15万円前後ということも少なくありません。

求人広告に記載されている給与額は基本的に額面なので、税金や社会保険料が引かれる前の金額になります。

額面だけ見ても少ないのに、さらに手元に残るお金は減るということですから、現実的に生活ができるのかは計算してみるようにしましょう。

ホテルや旅館などの接客業であれば寮完備や住宅費支給ということもありますので、そのあたりも含めて総合的に判断するようにしてください。

研修期間中の給与についてもしっかり確認を

観光業界は接客サービスが中心で、未経験者に対しても比較的応募のチャンスが多い業界です。

とは言え業種によってはじっくりと研修を積み、知識やスキルを身につけた上で現場に出るということもあります。

研修期間の長さは企業によって様々ですが、3ヶ月から6ヶ月程度というところが一般的には多く見られます。

注意が必要なのはこの研修期間中の給与についてで、提示された基本給と同じという場合もあれば、研修期間中は金額が下がる、場合によってはアルバイト扱いで最低賃金レベルの時給ということもあります。

その場合は、生活費などがその時給でまかなえるのかという点も考慮しなくてはいけません。

いくら寮完備で住居費が少なく済むとは言っても、生活はかなり厳しくなることが予想されます。

もともと観光業界は給与にさほど恵まれていませんから、そのレベルよりもさらに低くなるということを現実的に考えておくようにしましょう。

残業時間は要確認。サービス残業などの実態も知っておくべき

サービス業は全体として長時間労働やサービス残業などが常態化していると言われていて、観光業界も例外ではありません。

近年は社会問題ともなっていますから改革が進んでいるとは言え、まだまだ現状が改善されていないという企業は多いです。

求人広告を見ると平均残業時間などが目安として書かれていることが多いですが、実態と違うというケースがよくありますので注意が必要です。

事務職などの残業が少ない部署も含めた平均であったり、または実際に残業代が発生している残業の平均であることもあります。

つまりそれ以外のサービス残業については残業時間数としてカウントされていないということです。

これは求人広告だけで判断することができませんから、面接で実際に働く職場の残業状況を聞いてみる、聞きにくいようであれば転職エージェントに聞いてもらうなどして「本当の残業時間」を確かめておくようにしましょう。

長期連休が取れない、有休が使えないという現実を直視して

観光業界は年末年始やゴールデンウィークなどは繁忙期ですから、当然のことながらその期間に休むということは難しくなります。

そしてシフト制を導入している企業が多いため、連休そのものを取るということも簡単ではありません。

これを嫌がる応募者は多いため、求人広告にも「法定休日とあわせて取得すれば連休も可能です。」などと応募者に配慮した文言がよく見られます。

しかし実際にはシフトを組む上司に休みを申請するのはそう簡単ではなく、暗黙のルールで「勤続年数が短い人は希望を申し出ない」という雰囲気がある職場もあります。

また、有給休暇は法的に取得が認められた制度ですが、職場の忙しさを考えると取得が難しいというケースはよくあります。

この業界では基本的には長期連休や有休取得はあってないようなもの、それぐらいの考えを持っておいた方が、下手に期待をして入社後にギャップを感じるということがないのかもしれません。

求人広告の内容で気になる点があったらどうすべき?

今回ご紹介したように観光業界では、変形労働時間制を採用していたり休日の取り方も不規則であったりと、求人広告の内容だけではいまいちよく分からないという点が多くあります。

特に未経験でこの業界に入ることを希望している方は、朝出勤して夕方に帰るという一般的な勤務形態に慣れているためイメージがわきにくいということもあります。

その場合は、直接企業に問い合わせしても良いのですが、求人が掲載されている媒体に聞いてみるのも一つの方法になります。

転職エージェントの利用ならブラック企業回避ができる

求人を掲載している媒体は多数ありますが、企業審査がしっかり行われているという点では転職エージェントの利用がおすすめです。

求人件数も多く観光業界の求人も豊富に取り扱っていますから、希望の条件に合致した求人が見つけやすいということもメリットになります。

最後に

いかがでしたか?今回は、観光業界の求人広告の見方と気を付けたいポイントをご紹介しました。

特殊な勤務形態などで注意が必要な点が多いのが観光業界の求人の特徴になります。

求人広告の内容だけで転職先を判断するのではなく、実態も確認するという作業が大切になります。