中途採用者にとって学歴は全く関係ないと言われることもありますが、本当にそうでしょうか?
確かに職歴のない新卒に比べると学歴以外で応募者を見極めるポイントが多く、学歴を重視しないことに納得はできますが…。
企業ごとに異なる学歴の壁ですが、各業界には、学歴が評価される業界と学歴はほとんど評価の対象にならないという、一定の傾向が見られます。
そこで今回は、どんな業界で学歴が評価されるのか、どんな業界では評価されないのか、それぞれの業界に学歴以外を評価されて入った人が苦労しやすいポイントをご紹介していきます。
学歴が評価される業界
学歴が評価されるかどうかは企業によって異なりますが、一般的には金融、教育、外資系コンサル、総合商社などでは中途採用者であっても学歴を重視される傾向にあります。
金融、教育で学歴が評価されるのは対外的な事情もあります。
大事な資産や自分の子供を預ける教育者がどんな人なのかを知る際に、やはり学歴が高いことで「頭がよく、しっかりしていて信頼できる人」というイメージを抱く人は多いです。
扱う仕事の内容的にも、一定レベルの学力がないと難しいという点で学歴は必須と言えるのかもしれません。
コンサル業界も同じく顧客からの信頼性という点で学歴が評価されるということと、コンサル業は自分の頭で考えてそのアイデアを売るのが仕事なので、地頭が良く考える力がある人でないと難しいということがあります。
地頭のよさと学歴は必ずしも一致しませんが、確率的には高学歴の人ほど地頭がいい人も多くなります。
総合商社は中途採用の枠自体が少ないですが、学歴そのものというよりは筆記試験等のレベルが高いため学力がないと筆記試験で落とされる可能性は高くなります。
学歴が評価されない業界
一方学歴が評価されない業界というものもあります。
これは学歴が邪魔になるということではなく、業務の性質上もっとも必要とされる資質が全く別のところにあるからです。
学歴が評価されない業界には販売・サービス業全般、IT関係、建設業界などがありますが、ほとんど学歴関係なしに応募者を見ることが多いです。
例えばサービス業界では学歴云々よりも接遇スキル、ホスピタリティがある人が求められています。
接客という業務の性質上、見た目の印象や人柄などで消費者から好まれやすい人の方が有利です。
また、IT関連や建設も技術があってこその実力社会なので、学歴が評価されるということは少ないです。
これらの業界では学歴要件が定められていることがないため、多くの転職活動中の人にチャンスがある業界とも言えるでしょう。
ただし、経験者が優遇されることはいうまでもありませんし、未経験の場合は向上心の高い人でなければ難しいです。
学歴要件がないから誰でも転職できるというわけではありません。
学歴が評価される業界に入るリスク
学歴が評価される業界に転職することには一定のリスクがあります。
いくら学歴が評価される業界と言っても、高学歴でなくても経験を認められたなど転職できるというケースがあるわけですが、この「学歴はないが他の点が評価されて内定をもらった人」が、転職後に苦労するということも少なくありません。
例えば、他の社員たちの多くが一流大学出身のため、社員同士の会話でも学生時代の話題や高学歴者に多い会話のチョイスなど傾向があります。
そういった話についていけず、自然と他の社員たちとは仕事以外の話をしなくなり、どことなく居心地が悪いような気がしてしまうのです。
もちろんこれによって辞めたいとまで感じるかは人によりますが、高学歴者の中にはそうでない人を見下ろす態度を取る人が一定数はいて(少数派ではありますが)、人間関係における悩みや辛さを感じる機会がおのずと増えてきます。
また、こうした保守的な考え方を持つ人間は社員だけに限らず役員の中にもいるため、高学歴でないことを理由に正当に評価されない、出世できないなど仕事内容に関わる不満も発生することがあります。
他には、実際には高学歴で親切な人も多いにも関わらず、本人が勝手にコンプレックスを感じてしまい距離を置きたがるという傾向もあります。
学歴以外を評価されて高学歴が多い職場に転職した場合は、その評価された点に自信を持ち、必要以上に卑屈にならないという意識も必要なのかもしれません。
学歴が評価されない業界に入るリスク
一方、高学歴であっても学歴が評価されない業界に入った場合に考えられるリスクは、例えば自分が優秀だと思っていた場合にそうでなかったと気付くときの精神的なダメージがあります。
勉強ができるという人はこれまで高い確率で周囲から「頭がいい」「すごい」などと言われてきた経験があるわけですが、学歴が評価されない業界においては実力がなければ褒められることも出世することもありません。
特にサービス業は人と接することが基本なので、集中して黙々と勉強することが得意だったような人は対人スキルが低いということもあります。
また、学歴が評価されない業界には学歴コンプレックスの人もいて、高学歴者に対して必要以上に攻撃性を露わにしたりひがみを言ってくる人もいます。
そこまでいかなくても、高学歴ということで一歩引かれてうまくやれないということはよくあります。
この場合は自ら積極的に話しかける、謙虚な姿勢で周囲と接するなどすると「高学歴だけどすごくいい人」という逆転評価を得ることは可能です。
結局は本人がどう意識するのかで転職成功が決まる
転職が成功したと言えるかどうかは転職先で満足して働き続けることができるかにかかっているわけですが、学歴が評価される業界でも評価されない業界でも、結局は本人がどう意識して周囲と接するのかによります。
高学歴者が横柄だと思うのも、低学歴者がひがみっぽいと思うのも、事実ではなく本人の思い込みによるところが大きいということがあるからです。
その思い込みを捨てて、どんな学歴だろうとどんな業界で働く場合だろうと「学歴よりもしっかり仕事に取り組むことが大切。」そう思ってやっていけば学歴がネックになって苦労するということは少ないはずです。
学歴評価の有無を応募前に確かめたいなら
転職活動中の方は、希望の企業で学歴評価が存在しているかどうかを知っておきたいという人もいるでしょう。
募集要項には学歴要件はないけれど、実は選考基準に学歴が入っているということはあるからです。
募集要項に書いていない以上、事前に調べることは難しくなりますが、同業界への内定者データを持っている転職エージェントであれば傾向を把握することは可能です。
これまでその業界で内定をもらった人たちがどんなタイプの人なのかを教えてもらうことで、ある程度選考に学歴が関わってくるのか推測することができるでしょう。
学歴だけでなく、自分が選考を突破するために何が必要なのかを知る上でも、内定者の傾向を確認してみることは有益なことです。
ご自身の業界適性を見極めるための一つのヒントとされると良いでしょう。