会社の不正を見つけたときに、あなたは見て見ぬふりをしますか?
それとも内部告発をして不正を正そうとしますか?
内部告発をして解雇などの不当な扱いを受けることは、公益通報者保護法という法律で禁じられています。
しかし内部告発による不当な扱いを受けてしまうという、とんでもないケースがいまだにあります。
体力のある会社と個人とでは、解雇の是非を問う裁判が起きたときの労力や金銭面の負担は異なり、裁判を続けられなくなって泣き寝入りするという場合もあるでしょう。
そこで今回は、会社の不正を発見して内部告発を考える前に知っておきたいことと、転職活動の準備を進める理由についてお話していきます。
目次
解雇するには相応の理由が必要だが認められることも
会社は相応の理由がなければ職員を解雇することはできません。労働契約法では解雇が有効とされるためには、客観的合理的理由と社会的相当性が必要であると定められています。(労働契約法第16条)
そのため会社が内部告発を理由に職員を解雇するには、正当な内部告発である必要があります。
正当な内部告発というのは、告発内容の真偽や告発の目的、告発方法などによって総合的に判断されます。
例えば告発内容は真実だとしても、告発が私利目的だったりその方法が正当と判断されない場合は解雇が認められることがあります。
他にも過去には公的機関などへの告発ではなくいきなりマスコミを利用したり、近隣住民に不正内容を書いたビラを配るなどした過激なものだった場合に解雇が認められた裁判例があります。
内部告発をするにはこれらを踏まえた上で慎重に行う必要があるということをしっかりと覚えておきましょう。
内部告発をするときに気を付けたいこと
では、内部告発をする際に気を付けておきたいことについてお話していきます。内部告発をする場合以外においても、会社からご自身の身を守るために是非知っておきたいことです。
内部機関を信頼しすぎるべきではない
内部告発をする際に、企業内のコンプライアンス部門や相談窓口を利用して告発するという方法があります。方法としては間違ってはいないのですが、告発内容によってはこれらの機関の裏切りに合うこともあります。
例えば企業経営に関することや社長への告発などの場合、コンプライアンス部門や相談窓口も結局は社長の指導下に置かれていることが多く逆らえないなど、保身のために相談者を裏切るということもないことではありません。
相談内容を録音しておく、メールは取っておくなど万が一の場合に備えて内部機関とのやり取りも証拠に残しておくことが必要です。
告発内容が真実かどうかについてしっかりと調査すること
見切り発車で告発してしまい、告発内容が真実でないとしたら自分にとって何一つ良いことはありません。
職場の人から白い目で見られる程度ならまだ良い方で、会社の名誉を傷つけたとして逆に訴えられてしまったり、正当な解雇をされることもあるでしょう。
告発内容の真偽はしっかりと調査し、証拠となるものを集めておくことは絶対に必要です。
匿名での書面による投稿にとどめて様子を見る
正義感が強いのは素晴らしいことですが、自分の身を守れるのは自分しかいないということも忘れてはなりません。
内部機関に相談する場合や、上司などの不正を社長やコンプライアンス部門に調査してほしいことがある場合には、一旦匿名の書面などを投稿するにとどめて様子を見るなどの方法も必要です。
うまくいけば社内の調査機関が動き出し不正が発覚するケースもあります。
行政機関への訴え
前述したように、いきなりマスコミへの公表を行うなどすると、自分自身へのリスクが非常に高まります。
会社の隠ぺい体質がひどく最終的な手段としては使うこともあるかもしれませんが、まずは外部の行政機関へ訴えることをしましょう。
このとき匿名だと軽くあしらわれたり信憑性が疑われるということもあるようですから、証拠資料をしっかり揃えた上できちんと訴えを起こすようにしましょう。
行政には通報者が特定されないよう十分に配慮する義務がありますが、行政のミスで名前が会社に漏れてしまったケースもありますから、名前を明かすことを覚悟しておく必要もあるかもしれません。
最終的にはメディアを利用した告発
大企業で隠ぺい体質がひどい場合など、正当な告発が通用しなかったときには、最終的にメディアを利用した告発が考えれます。
しかしこれは自身の職業人生や家族への影響を考えると相当の覚悟が必要で、不当な扱いを受けることも予想されます。
名前を明かした告発の場合、メディアで有名になってしまい転職の受け皿がなくなるという可能性も否定できません。
しかし、正義を貫き戦うのは会社のためにも、そこで働く人のためにもなることですから胸をはって良いことです。
自身が一番大切にしたいことは何かをしっかりと見極めた上で判断されると良いでしょう。
転職を覚悟の上で行うことが必要である理由
メディアを利用するまでにはいかなくても、内部告発をした事実によって会社に居づらくなったり法律ぎりぎりの配置転換をさせられるなどして解雇同然の立場になることがあるでしょう。
正当な告発であれば訴えることで勝利は得られるかもしれませんが、裁判にかかる費用や労力、自分の職業人生を考えるとそのような会社にはさっさと見切りをつけて、転職をするというのも建設的な方法ではないでしょうか。
内部不正を見つけ出したその嗅覚と情報収集力、行動力があればどんな会社に行っても活躍できるはずです。新しい職場でその能力をいかんなく発揮するというのも前向きな方法です。
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最後に
いかがでしたでしょうか?
会社の不正を内部告発する前に知っておきたいことと、転職を覚悟の上で行った方が良い理由についてお話してきました。
正義を持って会社の不正を正そうとすることは、誰にでもできることではありません。転職を考える場合でも、その誇りを胸に堂々と転職活動を行ってほしいと思います。