弁護士事務所などで、弁護士の補助業務に携わるパラリーガル。
弁護士と依頼主の相談に同席して記録を取ったり、弁護士の監督の元、法律や判例などの調査や書類作成を行うなど、その仕事は多岐に渡ります。
仕事の内容に関しては、弁護士の考え方や事務所の方針によるところが大きいのですが、弁護士ではないため弁護士の仕事を代行することはできません。
弁護士がいない場所で法律の相談に乗ったり、書類を作成することは禁じられています。
今回は、そんなパラリーガルの仕事の大変さや転職するときの注意事項、転職に成功して年収アップを目指す方法についてご紹介していきます。
目次
パラリーガルの仕事の大変さとは?
パラリーガルの仕事はどんなところが大変なのでしょうか?
考えられるデメリットについてご紹介していきます。
給料や待遇は決して恵まれていない
パラリーガルの給料や待遇については、弁護士事務所の規模や経営者である弁護士などの考え方によるところが大きいので、一概には言えません。
しかし、一般的には、一般事務などと同レベルの給料の場合が多く、その給料や待遇は恵まれていると言えないようです。
弁護士事務所は個人経営のところが多く、給与だけでなく賞与や福利厚生などの充実は難しいようです。
法律の専門知識を覚えることも多く、大変な仕事の割に給料や待遇が恵まれていないのはデメリットです。
弁護士の考え方や仕事の方針に合わせる必要がある
パラリーガルの仕事は基本的に弁護士の考え方や仕事の方針の元、弁護士の補佐をする仕事です。
そのため、自分で仕事のやり方を定めたり、ペース配分を自由に行うことが難しい場合が多いです。
特に弁護士との相性が重要なので、どんな弁護士にも合わせられる柔軟な対応力を持っている人でないと、合わずに辞めてしまうということも少なくないです。
また、イメージにあるかもしれませんが、弁護士は司法試験を勝ち抜いた根性と頭の良さがある人なので、普段接する人たちとは少々違う個性がある場合も多いです。
中には非常にクセが強かったり、パラリーガルに対して上から目線で接してくる人もいます。
弁護士との相性が合わない場合には、仕事のモチベーションに大きく影響してしまうことになります。
弁護士秘書がいない場合には秘書業務も任せられる
パラリーガルと弁護士秘書では、弁護士の近くで働く事務系の仕事に携わる人という意味ではよく似た職業です。
弁護士秘書は弁護士の身の回りの世話や宿泊や交通手段の手配、スケジュール管理などを行います。
一方、パラリーガルは法律に関する専門的知識を身につけているため、専門的知識を使いながら、弁護士業務の補助をすることができます。
司法試験を目指しながら働いていたり、司法書士や行政書士など他の士業を兼ねながら、パラリーガルを行っている人もいます。
しかし、弁護士の考え方によっては、弁護士ではない以上、パラリーガルも弁護士秘書も任せる仕事は同じという場合があります。
これは、専門的知識を持つパラリーガルにとっては少々屈辱的なことす。
本当はもっと専門的な仕事に携わりたいのに、お茶出しばかりやらされる…と感じる人もいます。
ただし、弁護士秘書は弁護士秘書で知識や経験がいることなので、どちらがすごいとか難しい仕事だとかは一概に言えることではありません。
重たい悩みを抱えるクライアントに対応するストレス
弁護士事務所に法律の相談をしてくる人たちは、多くが深い悩みを抱えていたり、非常に困っている状況で助けを求めにきています。
そのため、精神状態が不安定だったり、中には急に怒鳴ったり泣き出したりする人もいます。
パラリーガルが一人でその対応をするわけではありませんが、電話での対応や簡単な書類の受け渡しなどで接する機会もあります。
その人たちの状況を目の当たりにするということはよくあることです。
法律を扱う場所で働く以上は仕方のないことなのですが、依頼主の悲しみや怒りを自分自身も感じとってしまい、精神的に負担に思う人もいます。
パラリーガルの転職で注意したい点や転職先について
パラリーガルの転職にはどんなことに気を付ければ良いのでしょうか?
また、その転職先として考えられる場所についてもご紹介していきます。
弁護士事務所を代えて、パラリーガルとして転職するときの注意事項
仕事自体にはやりがいを感じているけれど、弁護士と相性が合わないという場合には、弁護士事務所を変えるという方法で、働きやすくなる可能性があります。
パラリーガルとしての経験があれば採用に結びつきやすいですし、事務所によっては年収がアップすることもあります。
ただ、特に地方などの場合には、弁護士事務所が集まっている地帯があったり、弁護士同士のつながりが深かったりすることもあります。
そのため、辞めた弁護士事務所の弁護士と顔を合わせる機会がないとも言えません。
世間は狭いという認識を忘れずに、その程度のことは覚悟しておく必要があるかもしれません。
できれば、退職理由として事務所の地理的問題や、家庭の事情で一旦辞める必要があるなど、円満退職をしておくのが良いでしょう。
本当の理由が弁護士への不満だったとしても、それを思い切り伝えて退職するなど、お互いに溝ができるような別れ方はしない方が無難です。
法律に関わらず働きやすさを重視するという選択も
法律に関わらず、残業がないことや仕事の負担を減らしたいという場合にも、パラリーガルは事務系の転職は比較的しやすいと言えます。
残業が少ないなどの条件の良い、一般事務などへの転職も良いのではないでしょうか?
弁護士事務所で働いていたため、一般常識がない人であるということも考えにくいですし、パソコンや書類作成にも携わることが多いパラリーガルですから、一般事務の仕事を覚えることも難しくはないでしょう。
前職がパラリーガルであるということは、企業側からも「しっかりしそうな人」という印象を持たれやすいです。
それに、身につけた法律の知識はどんな仕事でも役に立つことがあります。
特に事務系の職員が法知識が豊富であれば企業としても助かりますし、他の一般事務に比べて仕事の幅も広がるのではないでしょうか?
年収アップを目指すなら大企業の法務へ転職
パラリーガルとして法律に関する専門知識をせっかく身につけたのに、年収が上がらないのがやはり不満という場合には、大企業などの法務やコンプライアンス部門で活躍するという手もあります。
扱う法律や内容は全く違いますが、パラリーガルとして弁護士補佐をしてきたということは評価の対象になります。
企業側としても、法律の専門知識が豊富である人を採用したいということは大いに考えられます。
大企業であれば給料や待遇などに期待ができますし、働きやすい環境の場合も多いです。
また、弁護士と密接に関わる仕事にストレスを抱えていたという場合にも、様々な人と一緒に仕事ができるということで気持ち的な余裕も生まれます。