残業が少なく仕事が軽微であるなどの理由から、事務職の人気は高まる一方です。
大手企業の一般事務では新卒の倍率が100倍にもなる企業もあるそうですから、その人気の高さがうかがえます。
転職市場でも同じく事務職の人気は非常に高く、募集がでればすぐに締切られてしまうこともあります。
倍率が高いと、「やっぱり事務職が一番かも…。」と余計にその仕事に魅力を感じてしまうこともありますが、必ずしも事務職が良いというわけではありません。
得意分野があるのであれば、むしろその道を極める方が将来的には安定につながる可能性もあるのです。
今回は、倍率の高い事務職への転職を絶対にすべきかどうか、じっくりと考える必要があるということをお伝えしていきます。
目次
事務職は人気だからステップアップのための転職が難しい場合も
一般事務の仕事は入力作業に電話応対、書類作成など多岐に渡りますから、幅広い仕事を覚えることができます。
しかし、専門性はさほどなく「そつなくできる」タイプの人であれば広く浅く仕事を覚えていくことは可能であるという側面も持ち合わせています。
要領が悪くなければ、一つの企業にとどまるべき期間の目安と言われる3年もすれば、大抵のことはできるようになってしまいます。
そうなると、もう今の会社でやれることはないと、次なるステップのために転職を考える人も多いのですが、一般事務での経験はやはり他の企業での一般事務にしか活かすことはできません。
一般事務の経験があるから次のステップとして専門職に、というわけにはいかないのです。
であれば、企業の規模や待遇などが今より良いところを目指すことが一つのステップアップとも言えるわけですが、前述したように一般事務は人気の職種です。
やりたい人は山ほどいますから、3年程度一般事務としての経験があっても、大きなアピールポイントにはならないのです。
その仕事を一生やっていくぐらいの覚悟がなければ、倍率の高い一般事務に転職したところで簡単にステップアップできるわけではないと覚えておくべきです。
育休明け復帰はできても仕事がないことがある
近年は女性の社会進出が進み、それに伴って産休・育休を始めとする制度充実が、優秀な人材を確保したい企業にとっても必須になっています。
今どき女性のための制度がないような会社は見向きもされない時代というわけです。
とりわけ一般事務を目指す女性はワークライフバランスという仕事とプライベートを両立させたい傾向にありますから、それなりに制度が取得しやすい会社を選んでいくことでしょう。
ただし、制度が利用できても、復帰後に自分のポジションが確保されているわけではありません。
休職中の穴を埋めるために新しい人を雇っていればその人が休職前の仕事を担当することになりますし、別の人が担当して回っていれば敢えて仕事を戻す必要もないと考える上司もいます。
そうなると居心地が悪くなり自ら退職の道を選ぶという人も少なくありません。
専門性が高く、代替がきかない仕事であれば別ですが、一般事務という専門性の低い仕事を選んだ以上は、誰かにポジションを奪われるリスクはあるという覚悟は必要なのです。
続けられても仕事がなくなる可能性がある
一般事務の仕事は座りながらできる仕事がほとんどですし、比較的残業が少ない会社も多く、長く続けることができるというメリットがあります。
それゆえ女性を中心に人気が高い仕事でもあるのですが、長い目で見ると本当に長く続けることができるのか?という疑問が残ります。
それは近年飛躍的に進化しているIT技術の発展により、簡単な仕事はどんどん淘汰されていく可能性があるからです。
例えば入力作業は、機械が読み取って一瞬のうちにデータベース化する技術などはすでに存在しています。
電話応対も、特別な応対が必要なケースを除いては音声ガイダンスで十分なこともあります。
そうなってくると、一般事務にできる仕事は限られてきますから、今までは避けていた仕事にもチャレンジせざるを得ないかもしれません。
今倍率の高い一般事務に転職しても、そのまま定年まで仕事自体があるかどうかはわからないのです。
ワークライフバランスが叶うのは事務職だけではない
一般事務の仕事はワークライフバランスがとりやすいとして人気が高いことをお伝えしましたが、仕事も家庭も大事にしたい人にとっては大切なポイントであることは間違いありません。
しかし、何も一般事務だけがバランスのとりやすい仕事というわけではありません。
例えばIT関連の技術職などはパソコンがあれば自宅でも作業が可能なため、週何日か在宅ワークが認められている会社もあります。
また、サービス残業が多いといわれる接客業でも、営業時間が決まっているというメリットを活かし、毎日同じぐらいの時間に帰ることができる効率の良い経営をしている企業もあります。
特に近年はサービス残業が問題視される風潮もあり、一般事務以外でも定時で帰ることができてプライベートを充実させられる仕事はあるのです。
事務職にこだわらず視野を広く持った転職活動を
一般事務を目指す人の中には、事務職のスペシャリストになりたいという高い志を持って、色々な資格取得をしたり勉強を続けてスキル向上に努めている人も大勢います。
そのような人であれば、将来的に一般事務の仕事がなくなってきたとしても、新しいスキルを手に入れて仕事をスライドさせていくことも十分可能でしょう。
しかし、単に早く帰れるからなどの理由だけで一般事務の仕事への転職を考えているのであれば、将来的に仕事がなくなったときのリスクについても覚えておくべきです。
自分にできる仕事は一体何なのか常に考えておかないと、残るのは年齢だけを重ねて役立つスキルがない「使えない人」というレッテルだけかもしれません。
一般事務への転職を考えている人は、事務職にこだわりすぎず、視野を広くもった転職活動を行うことも大切です。
得意分野があるのであれば、一般事務よりもその分野を極める仕事のやり方を目指す方が、将来的に長く続けることができるということもあるということは覚えておきましょう。
自分の適性がわからないならプロへの相談や適性診断が役に立つ
自分にはこれと言ってスキルもなければ得意分野もないから転職の方向性が定まらない、という方は大勢います。
しかし、どんな人であっても適性はありますから第三者に相談するなどして客観的な意見を求めるのが良いでしょう。
おすすめなのは、転職支援のプロである転職エージェントに相談することです。
カウンセリングを通して、転職の方向性や自身の適性など、転職活動に役立つアドバイスをもらうことができます。
また、転職エージェントや転職サイトなどで受けられる適性診断も一つの目安として利用するのも良いでしょう。
転職エージェントや転職サイトは無料で利用できますから、悩んだときは一人で抱え込まず活用するようにしましょう。
最後に
いかがでしたか?倍率の高い事務職への転職を本当にすべきかどうかについてご紹介してきました。
どんな仕事にもメリット・デメリットはあります。
大切なのは、自分が将来的にどうなりたいのかの方向性を考えることと、固定概念にとらわれない柔軟な姿勢を持つことかもしれません。
ぜひ今後の転職活動の参考にしてみてください。