企業が中途採用者を募集する背景は様々ありますが、募集の背景を知っておくことでどんな企業か、その企業がどんな局面にあるのかを、ある程度予測することができます。
また、その求人に応募することで転職後に感じるメリットやデメリットというものもあります。
転職先の候補として気になっている企業はどんな理由で人員募集をするに至っているのでしょうか?
転職して苦労するということがないように、募集の背景について考えていきましょう。
目次
業務拡大や新事業展開による募集
業務拡大や新事業展開の場合は業績が好調で新しく店舗を増やす、柱を増やしていくために新しいことに挑戦するなど、企業の局面としてはどちらかと言えばプラスの側面が予想されます。
この場合は成長株の中小企業とか将来性が高い中小企業である可能性もあるでしょう。
企業側も勢いのある企業であることをアピールするため求人広告に「業務拡大につき人員募集」などと書いてあったりします。
これらの求人に応募することのメリットは、転職者であっても同スタートが切れるため、すでに仕事のやり方が固定化される中で周りに合わせていくという苦労が少ない点です。
ある程度のマニュアルはあっても、常に遅れを取っている状態からスタートするのに比べると精神的なプレッシャーが少ないとも言えるでしょう。
この求人で考えられるデメリットは、業務拡大や新事業展開が失敗に終わったときに異動になる、もしくは会社に居づらくなってしまうということです。
拡大の見通しに甘さはないか、展開予定の事業内容に将来性は期待できるのかなど、視野を広くもって見つめることが大切になります。
また、業務拡大や新規事業展開の場合は転職直後は特に激務になりがちという点についても覚悟が必要です。
欠員補充のための募集
欠員補充の場合は、誰かが辞めた代替要員です。
欠員のため募集と書いてある求人広告もありますが、誰かが退職したということはあまり大々的にしたくないことなので、募集の背景を書いていないこともあります。
下手に勘繰られたくないと考える企業であれば「定年退職する職員が複数名いますので、それに伴って人員を募集します」とまで書いてあることもあります。
もちろん会社は退職者が出るのが普通ですし、退職理由も様々なので「欠員が出るということ=離職率が高いブラック企業」と決めつけることはできません。
ただし、同じ職種で求人が継続的にでている場合などは、その職種での定着率が低いということが考えられますので少し注意が必要です。
欠員補充の枠で転職した場合のメリットとしては、クライアントとの関係性が構築されていて仕事が進めやすい、社内の仕事のやり方が整っていて落ち着いて仕事ができるなどが考えられます。
一方で前任者と比べられたり、自分のやり方が通用しにくいということはよくありますので、転職してしばらくは苦労するということが多いかもしれません。
年度替わりに求人を出す企業は安定企業の可能性あり
年度替わりに定期的に中途採用を募集するというのは、比較的安定した経営を行っている企業の証でもあります。
特に同時に新卒募集も行っている場合は、資金力もある新人を育てる余力がある、将来のことを見据えた企業である優良中小企業である可能性があります。
この時期に出る求人に応募するその他のメリットとしては、中途採用でありながら新人研修などを受けられる可能性があるという点です。
即戦力を期待される中途採用者といえども新しい企業に転職するわけですから、本音を言えばきちんと教育を受けたいというものです。
デメリットとしては、人によっては新入社員と一緒の研修はストレスに感じることがあるということがあります。
また、新卒と一緒に配属された部署では、「何もできなくて当たり前の新入社員VS何でもできて当たり前の中途採用」という視点で比較されることがあり、中途採用者ならではのプレッシャーを感じることもあります。
新しい風を入れるこで企業に変革をもたらしたい
経営者によっては、「現状を変えたい」「新しい風を企業内に入れたい」という理由で欠員や業務拡大がなくても人員募集をかけることがあります。
この求人に応募するメリットとしては、経営者が変化を受け入れられる柔軟な考えであるという点が考えられます。
ただし、今現在経営が行き詰っていて変革が必要であるとか、今いる従業員に満足できず育てるということもしないという可能性もありますので、一概に良い経営者だとは断定できることではありません。
面接で経営者から話を聞いたとき「新しい風を入れたいから募集をかけています」と言われると、単純に素晴らしいと思ってしまうことがあるかもしれません。
しかし、必ずしもそうではないということを覚えておき、その言葉だけでなく他の視点からも転職先を見極めていく必要があります。
地域貢献のための人員募集
経営者なんて自分の会社の利益のことだけ考えている、そんな風に思う人もいるかもしれませんが、もっと大きな枠で経営に取り組んでいる経営者もいます。
例えば高齢者や障害者雇用をすることによって地域に貢献したいという理念を持った経営者もいるものです。
こういう貢献意識が高い経営者の元であれば、ぜひついていきたいと考える人もいるでしょう。
メリットは経営者の理念の素晴らしさの他、結果的に地域から評価されて業績が安定するということもあります。
デメリットとしては、地域貢献が建前で助成金や補助金が目的の可能性もあるということです。
地域貢献の気持ちが嘘か本当かを調べることは難しいですが、高齢者雇用や障害者雇用が定期的に行われているのか、助成金をもらえるラインぎりぎりの募集人数なのかが一つの判断材料になります。
募集の背景を知る方法は?
企業が人員を募集する背景は、求人広告に書いてある場合もあれば、丁寧な企業であれば面接の最初に説明してくれることもあります。
求人広告では判断できない、面接でも説明がない場合は面接の質問タイムで聞いてみるという方法があります。
「今回の募集の背景を教えていただけますか?」と聞くことは、失礼にあたるとまでは言えません。
中には「なんでそんなことを聞くんだ?」と怪訝な顔をする人事担当者もいますが、逆に言えば募集の背景すら教えてくれない企業を怪しいと判断することもできます。
一般的には、やましいことがなければ募集の背景は普通に教えてくれる企業の方が多いです。
ただ、面接で聞くのは勇気がいるから事前に調べておきたいという人もいるでしょう。
その場合は、転職エージェントを利用した転職活動をしましょう。
転職エージェントから聞いてもらうということが可能ですし、企業の人事担当者を話をする中で募集の背景について知っていることもあります。
最後に
いかがでしたか?今回は、募集の背景から見る企業の局面、転職した後に考えられるメリット・デメリットについてお話しました。
企業探しのヒントとしてぜひ参考にしてみてください。