大企業の組織化した仕事のやり方が肌に合わず、自由に仕事ができるイメージがある中小企業に転職をする人は意外と多くいます。
しかしその中には「大企業に就職できたのだから、それより規模が小さい中小企業であれば転職しやすいだろう。」「大企業で働いていたというブランド力をアピールできるはず。」という風に安易に考えてしまう人もいます。
はっきり言って中小企業の人事担当者は、大企業出身者のこういう上から目線を嫌います。
さらに言うと大企業出身ということもあって期待して採用したものの、ほとんど成果を挙げることができなかったという人もいるため、大企業出身ということはアピールどころか不安材料になることがあるのです。
こういったシビアな面を踏まえて、大企業出身者は中小企業の面接ではどんな対応をしていくべきなのでしょうか?
目次
「なぜ大企業を辞めようと思ったのですか?」という質問に対して
大企業から中小企業に転職する人に対して面接官は、退職理由をかなり突っ込んで聞いてきます。
一般的には、知名度があって給与や福利厚生でも恵まれている大企業に人気が集中しがちです。
その中で敢えて大企業を辞めてまで中小企業を選んだのかは、企業としても気になる点でだからです。
また、「もしかしたら大企業で嫌なことがあったのではないか?」「大企業でやっていけなかったからランクを落として中小企業に転職しようとしているのではないか?」という疑問もありこの質問をしてきています。
大企業で人間関係が嫌だとか、仕事についていけなかったとかネガティブな退職理由があったとしても、ここはストレートには伝えず、大企業ではできないことを転職して成し遂げたかったという言い方にします。
例えば「前職では担当が細分化されており仕事の全体像が見えなかったため、幅広い仕事に携わりたいと感じていた」などです。
志望動機の答え方
転職面接で必ず聞かれる志望動機は、退職理由とともに面接官が重要視するポイントです。
応募書類でも書いてあるでしょうが、より深く詳細に答えられるよう準備しておきたいところです。
企業研究から得た応募先の強みや魅力、経営理念や仕事内容にも触れ、「この会社でないとできないことがあったから」という観点から答えるようにしましょう。
「なぜ他社ではだめなのですか?」「大企業ではできなかったのですか?」という疑問を投げかけられないように、同業他社や前職と応募先の強みを比較しておきましょう。
実績や経験のアピールは個人的な努力が見えるものを
面接は自分をアピールする場所とも言われますから、これまでの実績や経験を積極的に伝えていくことは良いことです。
一般的によくいわれるように実績や経験は数字を使うなどして具体的に話すようにすることも大切です。
大企業出身者が注意したいのは、その実績や経験が大企業のブランド力あってのものか?ということを見られているという点です。
大企業出身者の中には、大企業のブランド力があってやれてきたことを、自分個人の実力のように勘違いしている人がいて、こういう人に対して中小企業の面接官は敏感に反応します。
単に前職での実績や経験を数字を使ってアピールしたところで、大企業のブランド力があれば達成できると思われてしまっては何にもなりません。
個人的に苦労した点や、失敗から学びを得て成果につながったなど、ブランド力に頼らず達成できたというエピソードを付け加えるようにしてください。
大企業と違う点を理解しているかを見られている
大企業と中小企業とでは、給与や待遇など条件面での違いの他にも様々あります。
部署を超えた仕事を担当することがある、意志決定のスピードが速いためフットワーク軽くスピーディーに動く必要があるなど、仕事に関しても大きな違いがあります。
これらをメリットとして捉えてくれているのであれば良いのですが、理解が足りないと中小企業の仕事の進め方についていけずギャップを感じやすくなります。
面接でも「大企業のように担当制ではなく色々な仕事をすることになりますが大丈夫ですか?」「意外とバタバタしていて忙しいですがついてこれそうですか?」など聞かれることがあります。
このときに考えこんでしまったり上手く答えられないと、「中小企業で働く大変さを分かっておらず大企業出身だからどこにでも入れると思っている」とマイナス点を指摘されてしまうことがあります。
大企業と中小企業のどんな点が違うのか、またその違いは自分にとって働きやすい環境なのかということを、掘り下げて考えておくようにしてください。
謙虚で素直な姿勢が求められる
一緒に働く以上は応募者の人柄についても気になるポイントです。
特に面接官が大企業出身者に対して不安に思うのは、「色々なタイプの社員がいる中小企業の中でうまくやっていけるか」「大企業はこうだったなどと偉そうな態度を取らないか」などです。
つまり、謙虚で素直な姿勢で周囲と接することができる人物かということです。
大企業出身者だからと言って特別扱いされることはありませんし、転職先に適応するために他の社員に色々なことを教えてもらわなくてはなりません。
その中で大企業出身というプライドが見え隠れしたり、上から目線で接するような人だと職場内で孤立してうまくいきません。
中小企業は規模が小さい分、人柄の評判などはあっという間に社内に伝わってしまいますから人間関係がうまくいかないと早い段階で仕事がやりにくくなっていきます。
面接官はこのことを懸念していますので、面接での受け答え方、表情や態度などもしっかりと見ています。
面接官の些細な言い間違えに揚げ足を取ったり、厳しい指摘に対して反抗的な言い方をするようだと、好印象を与えることは難しいので気を付けるようにしましょう。
能力が認められれば年収アップも可能だが給与交渉は慎重に
面接の終盤では給与についての希望などを聞かれることがあります。
大企業から中小企業へ転職する場合は給与交渉には注意が必要で、中小企業は大企業とは資金力に差があるため、高い希望額はなかなか受け入れられることができません。
あらかじめ同規模・同職種の給与相場を調べておくなどして、適正な希望額を述べることが大切です。
実力に自信がある人であっても、冒頭でもお伝えしたとおり、中小企業の面接官は大企業出身者の本当の実力を疑問視しています。
まずは働いてもらわないと分からないと思っているので、一旦年収が下がることはある程度許容すべき点でもあります。
その代わり、実力を発揮して企業に貢献できれば、大企業のように給与形態が細かく定められていない分、大幅に年収アップできる可能性もあります。
給与交渉はなかなか難しい面もあるので、できれば転職エージェントに給与交渉を依頼して自分は面接に集中する方が良いでしょう。
最後に
いかがでしたか?今回は、大企業から中小企業へ転職する人が面接でどのように対応すべきかをお話しました。
大企業出身の方は能力が際立って高い人も多いのですが、中小企業の面接官はそれをしっかり見極めようと厳しい目を持っています。
そのことを忘れず慎重な姿勢で面接に臨んでいきましょう。