これまでの仕事がつまらなかった、やりがいを感じられなかったという人は、転職して好きなことを仕事にしたいと考えることがあるかもしれません。
転職先を選ぶ際にその仕事が好きかどうかは大事なことなのですが、好きなことを仕事にすることにはリスクもあります。
転職を考えている今好きなことを仕事にしたいという考えがよぎったら、ぜひそのリスクについても知った上で転職に踏み切ることをおすすめします。
目次
「好きなことを仕事にすると稼げない」わけではない
好きなことを仕事にすることのリスクと言うと「もっと現実を見なさい」という話なのだと思うかもしれません。
実際に堅実な親や先輩たちに相談したら「世の中そう甘くはないよ」と言われます。
確かにそれは真実であり、好きなことを仕事にしようとした結果全く稼げず生活ができないということはよくあります。
テレビなどで芸能人が下積み時代の苦労をよく話していますから、その影響もあって「好きなことを仕事にすることは大変なことだ」という認識が浸透しているのかもしれません。
ただ、世の中甘くはないと言っている親や先輩たちは全員が「好きなことにトライした結果甘くなかったと知った」という人ばかりではありません。
単にテレビや他人からの話でそう言っているだけという人は本当に多いのです。
ですが、今は幸いにも好きなことを仕事にして稼ぐことができる時代になっています。
様々な分野での技術が進んだ結果、稼ぐことの選択肢が増えていて実際にも好きなことを仕事にして稼いでいる人はいるのです。
というわけでまずは「転職して好きなことを仕事にしたい」という考えを否定するものではないという点をお伝えしておきます。
「好き」以外が耐えられるかがポイント
ただし、好きなことを仕事にすることには当然リスクが伴います。
このリスクを知らずして、単に好きなことを仕事にしたいと転職活動に踏み切るのはあまりにも無謀なことです。
特に転職先を決めるために大事なことは、好きなこと「以外」が自分にとって耐えられるものなのかということです。
誰もが憧れるような仕事でも、見るからに楽しそうな仕事でも、どんな仕事でも必ず大変なこと、嫌なことはあります。
自分が希望する仕事だけをやっていられるような環境は、雇われの身でまずありません。
仕事が大変、嫌だと感じたとき、その瞬間を乗り越える術を自分は持ち合わせているのかどうかはとても大切なポイントです。
好きなことを仕事にしたいと飛び込んだ結果、その仕事を手放すことになるケースで多いのは、この好きなこと「以外」に目を向けていなかったというリサーチ不足、イメージ不足によるものです。
好きなことは放っておいてもできるのですから、好きなこと「以外」にどんな仕事があるのか下調べをし、それが自分にとっての耐え難いものではないのかということを、かなり慎重に考えておくべきです。
嫌いになるリスクもあると知っておこう
好きなことを仕事にするということは、毎日その仕事と多くの時間向き合うことになるわけです。
自分にとっての好きな仕事は、果たして何時間でも何十年でも飽きずに永遠にやり続けることができるぐらいのレベルなのでしょうか?
大抵の場合はそれは難しいので、段々その仕事から距離を置きたくなったり、あるいは嫌いになってしまうという可能性もあります。
前述したように好きなこと「以外」の業務が自分にとって苦痛なものであれば、それはときに好きを打ち消すぐらいの破壊力を持ちます。
もし好きな仕事を嫌いになってしまったら?
あなたは大事な好きなことを一つ失うことになります。
「好きなことを仕事にする」という文句は魅力的でどこかカッコイイイメージがあるかもしれません。
しかしそこには、自分の大切な物をなくす可能性すらあるということも覚悟しておくべきです。
志望動機は「好き」だけでは弱い
転職活動中に必ず応募書類に書いたり面接で聞かれたりするのが志望動機です。
好きなことを仕事にしたいという理由で転職を希望する人の志望動機は、何といっても「その仕事が好きだから」ということでしょう。
しかし転職活動中に答えるべき志望動機は「好き」という気持ちだけでは非常に弱く、大抵の場合が人事担当者の心に届くことがありません。
企業は別にその仕事を好きな人を募集しているのではなく、自分の経験やスキルを活かして貢献してくれる人を募集しているからです。
元々嫌いな仕事を敢えて選ぶという人は少ないでしょうから、応募者の大概がその仕事に好意を持っています。
その中で「その仕事が好きなんです。」と言ったところで他の応募者たちと差別化を図ることはできません。
転職活動における志望動機は「なぜ数ある企業の中からその企業を選んだのか?」「その企業でどんな貢献ができるのか」という点を含める必要があります。
好きという強い気持ちさえあれば熱意が伝わるという考え方は、こと転職市場においては認められないことが多いと思っておきましょう。
好きなことは仕事でないと続けられないのか
「好きなことを仕事にする」は、その言葉だけが一人歩きしているような印象が拭えず、なぜ好きなことを仕事にする必要があるのかという点において明確な答えはありません。
「仕事は1日の多くの時間を過ごすものだから好きなことがいいに決まっている」と言うのでしょうが、別に仕事は仕事で割り切って、好きではないことでしっかり稼ぐということが悪いのかというと決してそうではないでしょう。
自分にとって好きなことを仕事にするということがどんな意味を持つのかは、「好きなことを仕事にする」という言葉の表面的な魅力だけに囚われてはいけません。
自分自身がその好きなこととどう向き合っていきたいのかによって変わってくるものなのですから、「仕事は好きなことであるべき」という幻想を抱かないことも必要なことです。
極端なことを言えば好きなことは趣味か副業で思う存分楽しんでもいいのですから。
転職の方向性に迷ったら転職エージェントを使おう
転職活動をしていると、最初から明確に方向性が定まっている人ばかりではありません。
転職の方向性に迷ってしまい自分一人で悩みを抱えてしまうということが多くなります。
その場合は一人で悩んでいても解決しませんから、転職支援のプロである転職エージェントに相談しましょう。
転職活動の方向性を一緒に考えてくれて適切なアドバイスをくれるのは、家族でも友人でもなく、転職市場や業界動向をよく把握しているプロなのです。
最後に
いかがでしたか?今回は、転職して好きなことを仕事にすることのリスクをご紹介しました。
自分のやりたい仕事、好きな仕事を探すのは決して間違っていませんが、リスクから目を背けたままでは転職が成功することは難しくなります。
理解した上で転職活動を行いましょう。