仕事を辞めたいのに辞められない…。

こんなふうに悩んでいないでしょうか。

仕事を辞める勇気がもてず、決断に至らない人は大勢います。

どうすることもできず、ただ不満や辛さだけが募り、毎日我慢しながら仕事を続けている人もいるでしょう。

しかし我慢して仕事を続けるということは、大切な時間を無駄に費やしていることになります。

なぜ仕事を辞められないのか、その理由を考えることで気持ちに整理がつき、自ずと答えが出てくるでしょう。

そこで今回は、仕事を辞める勇気をもてない人に向けて、勇気をもてない理由と勇気をもって決断する方法を紹介します。

仕事を辞める勇気をもてない理由


仕事を辞める勇気はなかなかもてないものです。

しかし、「なぜ決断できないのか」を考えることは有益です。

そこに転職・退職するべきかどうかのヒントが隠されているからです。

自身が決断できない理由を掘り下げて考えてみましょう。

ここでは、仕事を辞める勇気がもてないときに考えられる理由を紹介します。

どんな仕事も同じように辛いと思うから

「今の仕事は辛いけど他の仕事も同じように辛いに決まっている」と考え、現状維持を選ぶ人は多くいます。

今の仕事が失敗だったと認識している人ほど、次も失敗したらどうしようという不安をもちやすくなります。

確かに、仕事は辛いことの連続です。

しかし、程度の差は職場によって大きいものです。

全く同じように辛いことなどありません。

外の世界を知らずに今の世界だけで我慢し続けるか、自分の目で外の世界を確認してから納得して仕事をするのか、という違いです。

「他の仕事が自分にあっていて幸せな職業人生を送る」という可能性があるのに、それを捨ててもよいのであれば、今の仕事で我慢し続けることもひとつの方法です。

現実を知ることへのおそれがあるから

転職活動を始めてしまうと、厳しい現実を目の当たりにすることが予想されます。

  • 内定をもらえない自分
  • 面接官から罵倒される自分
  • 各社の応募条件を満たしていない自分
  • 転職市場での価値が低いと知ること

こうした現実を知ることは怖いことです。

だからこそ一歩踏み出す勇気がもてないのです。

しかし、これらは転職活動を始めたからというより、もともとそうだっただけです。

自分で認識しているか、そうでないかの違いです。

では、この現実から目を背け、転職や退職に向けて動き出さないとどうなるでしょうか。

年齢が上がるごとに、目を背けることすらできなくなり、社内で肩身の狭い思いをしたり、肩たたきの対象になったりするかもしれません。

今現実を認めて変える努力をするか、後で痛い思いをするまで現実を見ずに粘るのかは自分次第です。

現実を直視し、現状を変えようと努力していくことでしか未来は変わりません。

資格や自慢できるスキルがないから

「転職したいけど資格もないし、特別なスキルもないし…」と考える人は多いです。

まずは資格ですが、転職市場においては資格よりも職歴重視ですから、それほど気にする必要はありません。

資格がなければできない仕事は別にして、単に履歴書を華やかにする目的の資格は評価対象にはなりません。

資格がなければできない仕事に就きたいのなら、今すぐ資料を取り寄せて、働きながら資格の勉強をするだけです。

スキルについては、ご自身がこれまでやってきた仕事の中で得たことこそが「特別なスキル」です。

びっくり人間大会で人が驚くような技を披露する必要はなく、応募先の職場で使える、一見地味なスキルでよいのです。

自分ではたいしたことのないスキルだと思っていても、応募先では「まさに求めていたスキル」と評価されることは往々にしてあります。

辞める、辞めないにかかわらず、まずは「職務経歴書」を作ってみることをおすすめします。

職務経歴書を作成するためには、これまでの職歴を洗い出し、自身のスキルを整理する必要があるからです。

整理してみると、自分には意外とやれることが多いと気づくことがありますよ。

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今の職場の人と離れることが寂しいから

仕事に不満はあるけれど人間関係には恵まれている場合、今の職場の人と離れることが寂しくて辞める決意ができないことがあります。

人間関係がよい職場にはそう巡りあえるものではありませんので、それは素晴らしいことです。

特に仕事の不満がなく、「なんとなくこのままでいいのだろうか」という程度の思いなら、人間関係のよい職場にい続ける価値はあります。

一方、本当にやりたい仕事があるのに職場の人間関係を優先させることは、もったいないことだともいえます。

職場で優しくしてくれる社員たちは、あなたの人生の責任まではとってくれないと認識してください。

もしとても仲の良い人たちがいるなら、転職したところで関係性は続くでしょう。

自分にとって何が一番大切なのか、掘り下げて考えてみてください。

職場の人間関係が何よりも大切なら、今の仕事を続ければよいのです。

今の生活を失いたくないから

仕事へ多少の不満があっても今の生活に満足しているのであれば、転職を決意できないのは、今の生活を失いたくないからかもしれません。

つまり、今の生活が何よりも大切だということです。

そう思えるだけの生活を手にしているのは、とても幸せで素晴らしいことです。

他の面で不満があることは普通のことですが、今の幸せを認識することで不満を不満と感じなくなります。

転職云々の前に、すでに今幸せだと認めてみましょう。

仕事の不満を受け入れ、今の場所で頑張る覚悟が持てるようになれば、現職での明るい未来に期待できます。

今幸せだと認めたうえでまだ転職したいと思うなら、それだけやりたい仕事があるということです。

立派な転職理由になりますので、転職が成功する確率は高いでしょう。

辞めた後の生活が苦しくなるから


仕事を辞めると収入が途絶えますので、当然生活は苦しくなることが予想されます。

生活に困ることを避けたいため退職を決断できないことは、よくあることです。

この不安を払拭するもっとも簡単な方法は、在籍しながら転職活動をおこない、次が決まってから辞めることです。

まずは退職の申し出はしないでおき、転職活動が実ってから申し出ればよいのです。

内定がでれば、具体的な給与や待遇が明らかになりますので、今後の生活の目途が立つはずです。

起業やフリーランス化を考えている人は、在籍中に軌道に乗せるように副業から始めておきましょう。

いきなり起業やフリーランスになってもうまくいくか分かりませんのでリスクがあります。

週末起業で収入を得られるようになってからでも遅くありません。

住宅ローンがあるから

次が決まってからといっても、持ち家の住宅ローンが高額な人など、同程度の年収を維持しなければ支払いが苦しくなる人もいます。

しかし、そもそもそんな高額ローンを組めるほどの年収がある人は、相応の実力者であるはずです。

その実力をいかんなく発揮すれば、同程度どころか年収アップも夢ではありません。

万が一年収が下がって困るなら、配偶者にも働いてもらい、一緒にローンを返せばよいでしょう。

配偶者も、本当は辞めたくてたまらないのに住宅ローンがあって転職できず苦しんでいると知れば、一緒に協力しようと言ってくれるかもしれません。

子どもが小さいから配偶者が働きにでられないのであれば、今はパソコンひとつあれば在宅で仕事ができる時代だという点も押さえておきましょう。

子どもが小さくても探せば稼ぐ方法はいくらでもあるのです。

世間体やプライドが邪魔をするから

転職すること自体を「世間体が悪い」と考える人もいるでしょう。

転職そのものにネガティブな印象を抱いていると、それが自分を縛り付け、転職する決断ができません。

こうした人たちは、言い換えると、転職を挫折や逃げだと捉えており、自身のプライドが許さないわけです。

特に大手や知名度の高い企業に入った人ほど、世間体を気にして辞める勇気がもてないことがあります。

確かに一昔前であれば転職する人は少数派でしたから、人と違うことをしている部類に入ったかもしれません。

しかし、今は転職がごく当たり前の時代です。

むしろ、転職によってキャリアアップしていくことが主流になりつつあります。

転職は挫折でも逃げでもなく、職業人生をよりよいものにするための前向きな手段です。

上司に言い出す勇気がもてないから

上司へ必要以上の恐怖心を抱いているケースや、反対にとても世話になった上司がいるケースでは、「上司への報告」が憂鬱で辞める決意が揺らぐことがあります。

パワハラ上司やワンマン経営者へ退職を切り出すと、怒鳴られるのではないか、裏切り者だといわれるのではないかと不安に感じるかもしれません。

しかし法的に、上司には退職を拒否する権利はありません。

パワハラがひどい場合などは、退職届を内容証明郵便で送ることで、退職とすることも可能です。

どんな上司相手でも退職する方法はあると知ってください。

こうした上司へは、引き継ぎの準備を入念にしておくこと、次の転職先を決めてから就業規則上ギリギリのタイミングで報告することが方法です。

引き継ぎがスムーズにできれば文句は言われにくくなりますし、報告時期をできるだけギリギリにすることで退職日までの攻撃を減らすことができます。

とても世話になった上司への恩義を感じることもあるでしょうが、そもそもそのような上司はあなたの決断を応援してくれることが多いでしょう。

残念な思いをさせてしまうことはあるでしょうが、裏切りではありません。

世話になった上司へ恩返しするためには、退職してやりたい仕事があるという、前向きで確固たる退職理由をもち、立派になった姿をいつか報告することです。

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仕事への責任感が強すぎるから

責任感が強い人も仕事を辞める決断ができません。

  • 自分が辞めてしまったら後輩が困るに違いない
  • 辞めたら職場の人に迷惑をかけるから申し訳ない
  • ここまでやってきた仕事を途中で投げ出すなんて無責任だ

しかし、こうした気持ちは半分正しいですが、半分は間違っています。

誰かが辞めることで一時的に大変になる人はいるでしょうが、それは永遠に続くわけではありません。

後輩は次第に引き継いだ仕事にも慣れ、バリバリ働くようになりますので、むしろ誰かが辞めることで成長機会を得ています。

職場の人もいつまでも「あいつが辞めたから…」と言い続けるわけではありません。

今いる人材でやっていくしかありませんから。

それが会社組織というものです。

「仕事を途中で投げ出すことが嫌だから今やっている仕事が終わってから辞めよう」と思っても、普通はまた次の仕事が発生しますので、きりよく辞めることは難しいです。

どこかで少し頑張って引き継ぎをするなど、多少の「ドタバタ」は必要です。

そんなにきれいに辞められる仕事なんて、そうはありません。

責任感が強いことはよいのですが、その責任は、定年までずっと背負えるものでしょうか。

どんなときも誰にも迷惑をかけずに仕事を完遂する自信はあるのでしょうか。

そうでないなら、中途半端な責任感に縛られるのではなく、「そういうもの」とドライに考えてみた方が、自分も残された職場の人も成長でき、結局はよい結果につながるはずです。

確実かつ安全な転職しか許容できないから

転職した後にどうなるのかは、転職して働き始め、何年か経ってみないと分からないことです。

にもかかわらず、確実に答えのでている転職が目の前になければ動かない人がいます。

超能力者や占い師でもないかぎり、未来が明確に見える人などいません。

それでも、少しでも成功確率を上げるために、企業のことをよく調べ、面接で気になる点を質問し、自身の職歴やスキルと照らし合わせて合いそうな企業へ転職するのです。

あとは、その場所で自分がどう頑張るかにかかっています。

転職も含め、確実に分かる未来はないと知ってください。

勇気をだすには強い決意が必要


ここまで紹介したように、仕事を辞める勇気がもてないのには理由があります。

どのような理由なのかは人によって異なりますので、自分はなぜ決断できないのかを考えてみましょう。

誰でも変化する前には不安があります。

しかし、変化を求めるのであれば勇気を振り絞って決断するほかありません。

勇気をだすには強い決意が必要です。

そうでなければ、今の環境に不満を感じながらも受け入れてやっていくことになります。

辞めないのなら、現状の不満を打破するために今の場所で努力しましょう。

毎日毎日不満が募るのに解消できないのは、現状を変える努力をしていないか、環境を変える勇気をもてないかのどちらかです。

どちらもできないなら、不満を受け入れて誠心誠意働くことが選択肢です。

「仕事への不満」と「変化への不安」、天秤にかけた結果、どちらを受け入れるでしょうか。

仕事を辞める勇気をもつ方法

仕事を辞める決断をしたいけれどなかなか勇気がもてない…。

その気持ち、とてもよく分かります。

勇気をもてと言われても、そう簡単にはもてないのが人間というものです。

ここは、精神論ではなく、具体的な行動と事実を整理することで、勇気をもつきっかけにしましょう。

仕事を辞める勇気をもつ方法を紹介します。

いつまでに辞めると決める

まずは、いつまでに辞めると決めてください。

半年以内なのか、1年以内なのか、退職というゴールを設定します。

すると、それまでに何をしなければならないのかが見えてきます。

期間によっては、今すぐ転職活動を始めなければ間に合わない人もいるでしょう。

後輩を育てることが先決なら、マニュアル作りや積極的な指導を始めます。

「いつか」「いずれ」ではなく、きちんと「〇年○月まで」と期限を定めることで具体的な行動につながりやすくなります。

身近な人へ退職の意志表示をする

家族や友人など、身近な人へ仕事を辞めようと思っていると伝えることも方法です。

これまでは自分の中でだけ思っていた「転職」「退職」が、人の前で口にすることで現実味を帯びてくるのです。

たとえば、片思い中の相手がいるとき、自分の中でだけ密やかに思っているのと、友達に打ち明けるのとでは全く違います。

後者は「あ、わたしは本当に好きなのだ」と事実として認識するようになり、余計に相手への思いが募るようになるものです。

これと似ていて、身近な人へ転職・退職への意思表示をすることで、実際に動き出すきっかけとなります。

言葉に出した以上は行動に移さなければただの口だけ人間になってしまうことも、行動へ誘導することになるでしょう。

決断できるうちに辞めることの大切さを知る

ギリギリまで頑張ってしまう人は、結局どうしようもないところまできてしまい、「辞めざるを得ない状況」になってから辞めます。

分かりやすいのは心身の健康を害してから辞めるパターンです。

しかし、その状態では転職先について決断する余裕がありません。

しばらく休むなどして正常な判断能力を取り戻してからでなければ動き出すことはできないでしょう。

今、仕事に不満を抱えながらも何とか普通に仕事ができているのであれば、決断力が十分にある状態です。

その状態で転職先を見極めた方が、本当に自分のやりたい仕事や進むべき道が見えやすいといえます。

「もう少し頑張ってから」では、遅いこともあると理解してください。

自分の未来を両方からイメージする

仕事を辞める決断ができない人の多くは、「仕事を辞めた後にどうなるのか」をイメージしますが、「仕事を辞めなかった場合にどうなるのか」はイメージしていません。

だから、仕事を辞めた後の不安を並べ続け、仕事を辞める勇気がもてないのです。

辞めた場合、辞めなかった場合、両方のイメージをしてみてください。

今の仕事を続けていたとして、5年後、10年後にはどうなっているのか具体的にイメージしてみましょう。

もし「5年経てばスキルが身について、10年後にはすごく楽しく仕事ができている」とイメージできるのであれば、辞める必要などありません。

今はただ経験が足りないだけであって、このまま頑張って続けていればよい方向に向かうからです。

しかし、「未来が全くイメージできない」「あのできない上司と同じ運命をたどりそう」などと、明るい未来がイメージできないのであれば、そこに答えはでています。

それよりも新しい環境にチャレンジした方が、未来が変わる可能性が高いのではないでしょうか。

「辞めてはいけない」と誰も決めていないと知る

「仕事は辞めてはいけないもの」と強く思ってしまっている人がいます。

親や周囲の人から「辛くても辞めるな」「少なくとも3年は続けなさい」と言われたからでしょうか。

日本国憲法で、「職業選択の自由」が保障されていることはご存じでしょう。

人には、自分の従事したい仕事を任意に選択する自由があります。

また、民法には期間の定めのない雇用契約について「当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる」と規定されています。

法律で「辞めてもいい」とされていいのに、なぜ「仕事は辞めてはいけない」と感じるのでしょうか。

それはまさに自分の思い込み、固定観念にすぎません。

仕事は辞めてもよいのです。

凝り固まった考え方を変えることは簡単ではありませんが、「仕事は辞めてもよいもの」だと知っておくと、仕事を辞める勇気がもてるようになります。

とにかく転職活動を始めてみる

「転職」の二文字が頭に浮かび始めてから、その瞬間に転職を決める人は少ないです。

それほどの決断力があるなら、そもそも「辞めた方がよいのか」「辞めない方がよいのか」と悩むことはないでしょう。

多くの方は、とりあえず転職活動を始めてみて、その後に最終決断をくだします。

転職活動を始めた結果、今の会社のよさに気づくこともあるでしょう。

内定を獲得しても、今の仕事への未練が捨てきれず、内定を蹴って現職を続ける人もいます。

それはそれでよいのです。

今の仕事が自分に合っていると気づくことができれば大きな収穫です。

転職活動を始める前に辞めるべきか悩んでいても、自身の市場価値や仕事への考え方はなかなか見えてきません。

とりあえず動き出してから決める。

それなら後戻りができますので、取り組みやすいのではないでしょうか。

転職市場価値を知る

求人検索などの具体的な転職活動を始める前に、ご自身の転職市場価値を調べてみることもよいでしょう。

職歴、スキルなどと照らし合わせてどの程度の年収なのか、求人数がどのくらいあるのかなどを知っておくと、動き出すきっかけになります。

市場価値が低かったのなら、現職にとどまりながらスキルを磨くなどして次のステップに進めます。

市場価値が高ければ、すぐにでも動き出す勇気が湧いてくることもあります。

市場価値を知るためには、転職エージェントを利用するとよいでしょう。

キャリア面談を通じてプロの視点からアドバイスをくれますので、おおよその年収相場や求人事情を知ることができます。

希望の条件を伝えた結果、転職エージェントからの紹介がほとんど受けられないのであれば、希望と価値とのバランスがあっていないということです。

自分であれこれ考え込むよりも現実的な情報を教えてくれますし、利用は無料なので使ってみるとよいでしょう。

とりあえず登録してみることで、「仕事を辞める」ことに一歩近づくことができるでしょう。

最後に

いかがでしたか?今回は、仕事を辞める勇気がもてない理由と、辞める勇気をもつ方法を紹介しました。

仕事を辞める決断ができないことは、誰にでもあるごく当たり前のことですから、自分を情けないと思う必要はありません。

退職に際して不安はつきものですが、辞める前から準備をしておくことである程度回避できます。

決断するのは最後でよいのです。

まずは「とりあえず動いてみる」から始めてみてはいかがでしょうか。