転職活動が実を結び内定をもらった、そうなるといよいよ今の会社へ退職することを伝えるということになります。
実はこの退職が転職活動の最期の砦で、場合によっては激しい引き留めに合うなどトラブルに合ってしまうことがあります。
基本的には自分の意志表示さえしっかりできれば退職はできるのが一般的ですが、場合によってはなかなか退職させてもらえず困ってしまうこともあるのです。
そこで今回は、今の会社から激しい引き留めに合って困ったときの対処法についてご紹介していきます。
目次
まずは退職の伝え方から気を付けよう
会社から引き留めに合わないようにするには、退職の意志の伝え方から気を付ける必要があります。
会社が困って引き留めるなどしないよう、繁忙期は避けるなど一定の配慮を見せることも大切です。
また、「退職しようと考えているのですが…。」など相手が引き留めやすい言い方をしてもいけません。
「退職を希望します。」と、もう決めたことの報告をするという姿勢を示しましょう。
引き留めれば残ってくれる可能性があると、思わせぶりな態度を取るのは今の会社にとっても失礼です。
これは交渉ではなく、決定事項なのだと思うようにしましょう。
「君が必要」は絶対にないと心得て
退職の引き留め文句として、「うちには君が必要なんだ。」と言ってくることはよくあります。
大人になると誰かにストレートに君が必要と言われることはほとんどありませんし、会社がやっと自分の価値を認めてくれたような気がして嬉しく感じてしまうかもしれません。
しかし、会社において「君が必要」なことはありません。
どんなに多く見積もっても「君がいれば助かる」大抵は「君がいると楽できる」です。
冷たい言い方のように感じるかもしれませんが、会社組織はその人がいなければ成り立たないということはまずありません。
引継いだ人が苦労したり戸惑うことはあっても、残った人たちで力を合わせてなんとかしていくものなのです。
例え退職するのがどんなに優秀な人であっても、です。
そもそも、一人がいなければなんともならないような会社であれば、いずれ倒産するのは目に見えています。
どちらにしても転職するしかないということなのです。
給与アップはその場しのぎに過ぎません
引き留めるために、会社側が給与や待遇改善を提案してくることがあります。
給与や待遇の悪さがきっかけとなり転職を考えていたのであれば、それは非常に魅力的な提案かもしれません。
しかし、そもそも辞めると言い出したから改善を提案するというのはおかしいと思いませんか?
給与や待遇は働きに見合ったものを、従業員から要求されなくても提示するのが普通です。
言われたから改善しますなんて、裏があるような気もします。
よくてその場しのぎの一時アップ、ほとぼりが冷めた頃に理由をつけて昇給幅を減らすなど工作される可能性もあります。
気づいたときには転職市場での価値が下がり、今と同じような待遇のところへ転職できるチャンスを失っているかもしれません。
情に訴えかけてくることもある
日本人は情に訴えかけられると弱いところがあると言われますから、その特性を利用して引き留めをしてくるケースもあります。
ある税理士事務所に所属していた女性は、大手企業の経理へ転職が決まりましたが、退職の意志を伝えたところ強烈な引き留めに合いました。
それは、所長母である御年80歳のお婆さんを使った引き留め方法でした。
息子のためにもどうか残って欲しいと涙ながらに訴え、事務所の庭で2時間握った手を離してくれなかったそうです。
ご老人相手に手を振りほどくこともできず心が痛む気もしましたが、自分が辞めたところでこの事務所が潰れるわけでもなく、目の前のお婆さんが亡くなるわけでもない、そう思ったらしっかりと退職の意志を貫くことができました。
実際今もその事務所は新しい職員を迎えて今まで通り運営しているそうです。
情に訴えかけてくることがあったら、早めに引導を渡してあげることこそが、最も相手のためを思う行為なのだと思ってみてはいかがでしょうか?
心の揺れを見せないこと。強い退職の意志を示そう
会社も引き留め役にお世話になった人やかなり立場が上の人を利用するなど、あの手この手で退職を思いとどまるように仕向けてきます。
そんなときでも心の揺れを決して見せないことが大切です。
少しでも迷いが見えてしまうと、待遇改善など様々な餌をつかって畳みかけてきます。
お世話になった人や立場が上の人に対して断るのは心苦しいかもしれませんが、感謝の気持ちをしっかりと伝えた上でキッパリと断りましょう。
相手も大人ですから、断固たる意志が見えればそれ以上は引き留めないのが普通です。
詳細の退職理由については言う必要なし
引き留める人は退職理由について詳しく聞いてくるでしょう。
しかし、退職理由は「キャリアアップのため」など一つを簡潔に伝えれば十分です。
本当は「一身上の都合」であっても問題ないのです。
相手がしつこく退職理由を聞いてくるのは、それを改善すれば残ってくれる道を探すためです。
「給与が低くて生活できない。」など言おうものなら給与アップを提案してくるでしょうし、「職場の人間関係が…。」と言えば嫌な相手の異動すらいとわない場合もあります。
本当の退職理由は一つではなく、いくつもの要素があって決定するケースもあるでしょう。
しかしそれを事細かく伝える必要は全くない、むしろ言うべきではないと覚えておきましょう。
脅しには毅然とした対応を
退職の意志表示をしたら急に怒鳴りだし、損害賠償を要求してきたり脅すような言葉を投げかけてくることがあります。
民法では期間の定めのない雇用契約について、当事者はいつでも解約の申し入れが可能であることを定めています。(民法627条)
損害賠償や脅しは基本的にすべて無効であることをしっかりと理解し、毅然とした対応をするようにしましょう。
間違っても脅しなどという卑劣な行為をする事業主に屈してはいけません。
とは言え相手は常識が欠けていることは明らかですから、何を言っても無駄ということもあります。
ひどい場合は労働基準監督署に相談するなどしかるべき対応をしましょう。
退職トラブルで困ったら転職エージェントに相談を
なかなか退職できないとなると、せっかく決まった転職先との最終的な入社日の調整などの交渉がうまくいかなくなってしまいます。
退職できず困っているという場合は転職エージェントに相談して解決方法を一緒に考えてもらいましょう。
退職トラブルは意外とよくあることですから、様々な方法を提案してくれるはずです。
最後に
いかがでしたか?今回は、会社で激しい引き留めに合った場合の対処法についてご紹介しました。
お世話になった会社ですから、できる限り穏便に済ませたいものです。
優柔不断な対応こそがもっとも失礼だと心得て、しっかりと意思表示をするようにしましょう。