近年は様々なタイプの葬儀が増えていて競争も激しくなっている葬儀業界ですが、葬儀自体の需要がなくなるということは考えにくいことです。
そのため転職先の候補として葬儀業界に興味を持たれる人もいることでしょう。
葬儀業界は人手が不足していることもあり比較的転職しやすい業界だと言われますが、「内定をもらう=転職が成功」というわけではないのですから、転職後に働き続けることができるのかどうかを見極めなければなりません。
そのためには自身の資質を知り、葬儀業界への適性があるのかという点を見極めることが重要です。
適性がなければ、例え内定をもらうことができても働き続けることができない、不満を常に抱えてしまうことになる、といった不幸も待っています。
そこで今回は、葬儀業界に転職を考えるなら知っておきたい求められる資質や適性についてお話していきます。
目次
性別はどちらが主流?
葬儀業界の仕事はどの職種でも男女問わずいます。
あまり男性だけ、女性だけという風に偏りがないのが特徴です。
サービス業の中では比較的男女比に偏りがでやすいものもあるので、その中では性別を問わず応募しやすい業界と言えます。
ただ、実際に携わる仕事に関して言うと、葬祭会場の設置等で重たい機材や供物を運ぶ場面もあり、力仕事は男性が任されることも多くなります。
もちろん女性だから必ず免除されるわけではなく、男女関係なく業務を任される会社もあるので職場次第にはなります。
社員同士が協力し合っている職場であれば、男性が積極的に力仕事を申し出て女性は男性が苦手なことを担うといった風な状況が自然と作られてきます。
面接の質問タイムなどを利用して社員同士がどんな工夫をして協力体制を築いているのかを聞いてみても良いでしょう。
体力と精神力は必須の仕事
葬儀業界の仕事は激務であると言われますが、その理由は葬儀というものの特殊性にあります。
人が亡くなるというのはいつなんどき起きるか分かりませんし、立て続けに葬儀が重なって準備や対応に追われるということもよくあります。
24時間体制で待機する必要もあるので夜勤もあります。
休みも取りにくく、休日であっても急に出勤要請が入ることもあります。
また、葬儀会場の準備では重たいものを運ぶといった肉体仕事から立ちっぱなしで受付や対応を行うなど、とにかく1日中体力を消耗する仕事です。
さらに遺族対応などで精神的にも気を遣う必要があるため、心身共に疲れ果てるということが多いのです。
体力が元々なければできませんし、精神力がなければ疲れた体を動かしてサービスの質を維持することもできません。
現時点で体力に自信がないという人は、今からでも体力作りのために何かできることをやりましょう。
その努力をする精神力がない場合は、恐らく葬儀業界に転職しても色々と不満を感じやすくなってしまうでしょう。
聞く力と説明する力のどちらも必要
葬儀に関して遺族と打ち合わせを行うのも葬儀業界での仕事の一つですが、遺族の状況にも色々なケースがあって中にはほとんど話もできないような精神状態の人もいます。
そういった場合でも、どのタイプの葬儀にするのか、お供え物はどうするのか、食事は何人分用意するのかなど詳細を決めていく必要があります。
相手が話してくれるのを待つというよりは、こちらから適切な提案をしていき余計な神経を遣わせないような聞き方になります。
また、知り合いの葬儀に参列したことはあっても自分の家族の葬儀を取り仕切るのは初めてであるという人も多く、経験があったとしも葬儀知識に長けているわけではない素人です。
何が必要で、こういうケースはどうすべきかなど、何も知らない相手に対してもわかりやすく説明する力も必要になります。
おもてなしの心が大切
おもてなしの心というと観光ホテルや旅館など宿泊業を思い浮かべるかもしれません。
そういった「旅を満喫しにきた客」相手であれば楽しそうで笑顔もあって、おもてなしの心も自然と沸いてくるものなのかもしれません。
葬儀業界でもこのおもてなしの心が大切で、繊細な心配りをする必要があります。
葬儀屋として何をするべきか、心のこもった接遇ができるかどうかは、残念ながら元々この心がない人にとっては難しいものです。
ご自身がそういった気持ちを持ち合わせているかどうかを、これまでの人生経験の中から分析してみてください。
「割り切り」はなぜ必要なのか
よくこの業界の仕事は「割り切りが大切」と言われます。
人が悲しむ姿を見て自分のことのように感じて同じように泣いてしまう人は「割り切れていない人」と言われます。
しかし割り切って働いているから冷たい、感情がないということでは決してありません。
なぜ割り切るのかというと、それによって本当に辛い想いをしている親族の方に代わって葬儀を取り仕切り、故人を送りだすことができるからです。
つまり、割り切るにも「気持ち」が必要だということなので、結局は気持ちがある人が続けていける仕事になります。
この仕事に必要な「割り切り」をするためには、何の感情も持たずにいることではなく、自分に湧き出てくる様々な感情を受け止める度量の広さと、遺族のためを思える気持ちが必要です。
葬祭ディレクター試験は受けるべき?
葬儀業界には葬祭ディレクターと呼ばれる認定資格があります。
葬祭業界に働く人が必要な知識や技能のレベルを審査するまさに仕事に関連した資格です。
1級と2級があり、どちらも葬祭実務経験年数か認定校でのカリキュラムを修了していることが受験要件になっていますから、未経験で認定校にも通っていない場合は受験することはできません。
ただし、合格率は1級・2級ともに高めの試験なので、転職して働きながら取得することが十分可能です。
目標を持って仕事に取り組むためにも転職後にチャレンジしてみても良いでしょう。
同業他社からの転職の場合は、葬祭ディレクター資格を持っているという人もいるでしょう。
これが選考に有利に働くかどうかは企業によりますから一概には言えませんが、少なくとも一定以上の知識やスキルがあることの証明にはなります。
ただし、資格よりも前職でどんなことをやっていたのか、それが応募先でどう役立てることができるのかという点の方がずっと重要です。
葬儀業界への転職は転職エージェントで探すべき
葬儀業界は仕事の特殊性もあってハードになりやすいですが、その中でも労働環境改善に取り組んでいる優良企業もあります。
転職するのであれば、そのような優良企業を探すことが転職成功の近道になるでしょう。
転職エージェントであれば、求人件数が多く求人内容を比較検討しながら企業選びができるため、たまたま出ていた求人に応募してブラック企業だったなどの失敗を防ぐことができます。
転職活動全体を通じてサポートしてくれますので利用されるとよいでしょう。
最後に
いかがでしたか?今回は、葬儀業界で求められる資質や適性についてお話しました。
大変な仕事ですが社会への貢献度が非常に高くやりがいを感じる仕事でもあります。
自身の資質と業界への適性を見極めた上で転職成功を目指してください。