求人広告の給与欄を見るときには基本給の確認は必須です。
手当などを除いた基本給ベースで生活が成り立つのかを確かめるのが、基本的には大切になるからです。
賞与や手当に期待した結果、業績不振で賞与がないと愕然とする、自分は手当の対象外だったとして想定より少ない手取りになるということもあります。
ただ、もし「給与が少なくて前職を辞めたいから、年収をアップさせるのが絶対条件」の転職であれば、基本給以外にも着目すべき点が多くあります。
基本給だけを見て比べても、単純に手取り年収がアップするわけではないからです。
今回は、給与確認の際に基本給以外で注目したい点についてお話していきます。
目次
基本給だけ見たら大幅アップと思いきや…
基本給ベースで考えると前職を上回っている、これなら年収アップが叶いそうだと判断するのは早計です。
業界や業種によっては基本給に大きな差がつかないものの、福利厚生や手当で差をつけるべく努力している企業というものがあるからです。
例えば大きいところだと住宅手当や扶養手当があります。
住宅手当の支給額は企業によってまちまちですが、少ないところでも5,000円~10,000円、多い場合には30,000円近くの手当がでることがあります。
扶養手当も配偶者や子供を扶養しているという人にとってはありがたい制度です。
扶養対象者一人につき数千円~という手当が多いので、配偶者と子供2人で手当が数万円にのぼることも珍しくありません。
これら手当があるのとないのとでは生活の安定が大きく変わってきます。
基本給だけで見ると前職を上回っているけれど、手当がなくなったことで実質的な年収が下がってしまうということがありますから、要注意です。
福利厚生は使用頻度が高そうなものに注目
大手を中心に福利厚生の充実が企業のアピールポイントの一つですが、福利厚生を見るべきポイントは使用頻度が高いかどうかという点です。
保養所やレジャー関連など大手に多い華やかな優待が受けられるなどの福利厚生は、頻繁に使う人にとってはメリットがありますが、数年に1回使うかどうかという家庭にとってはそれほど大きな意味をなしません。
先ほどご紹介した手当以外には、あって良かったと評判が高いのは社員食堂や昼食補助などです。
毎日食べる昼食だからこそ、充実していたり費用補助が受けられることが大きなメリットになります。
他には、資格を継続して取得していきたい、スキルを磨いていくための費用は惜しみたくないという人にとってありがたいのは資格支援制度。
資格取得にはテキスト代や講習代、受験費用と様々な費用がかかりますから向上心のある人にとっては役立ちます。
また、応募業種が限られてきますが絶対に見逃せないのは医療費の補助です。
医療系の事務職などは給与相場自体は低めですが、医療補助が手厚く医療費はほとんど不要ということもあります。
健康体の人であっても、風邪などのちょっとした受診の積み重ねで医療費は想像以上にかかっていますし、大きな手術などがあれば数十万円単位で吹き飛ぶことになります。
場合によっては扶養対象者の医療費補助も受けられることがあり、家計の大きな助けになるでしょう。
このように、使用頻度が高い福利厚生であれば、収入が例えダウンしても支出が抑えられ、トータルで手元に残る金額が多くなるということもあります。
交通費は必ずチェックして
前職が交通費実費支給だったという場合、「交通費ってそもそも支給が義務ではないの?」と思われるかもしれません。
しかし交通費については企業側に支給の義務はなく、あくまでも給与規則等で企業側が自由に決められるものとされています。
全額支給という企業ばかりではなく、上限が定められている、一律いくらと決められているなど支給要件は企業によって大きく異なります。
交通費の支給がない場合にはその分自己負担が増え、基本給が上がっても支出が増えることにもなりますからトータルでの年収アップが叶わないということもあります。
事前に確認しておくことは必須だと心得ましょう。
また、交通費に法律的な規定がないとは言え、労災保険が通勤上の災害を保険対象と認めている以上、交通費を一切出さない企業が応募先として適しているのかは考えてみてもよいかもしれません。
転勤が多い業種なら引越し費用や帰省費も見逃せない
全国に支店や支社があり全国転勤が前提とされている業種であれば、その都度かかる引越し費用や、単身赴任の場合の帰省費も見逃せないポイントです。
引越しは単身であってもある程度まとまったお金がかかりますし、月に1度の帰省であっても場所によっては往復交通費だけでで数万円かかるケースも珍しくありません。
これらがすべて自己負担になるのか、会社が全額負担してくれるのかは生涯年収を考えてみても大きな差になると覚えておきましょう。
営業なら社用車や携帯電話、タブレットの支給も大きい
外回りの営業職であれば、社用車があるのか自家用車で代用するのかは大きな違いです。
例えガソリン代や車手当が出たとしても、自家用車であれば車本体の維持費や事故時の保険代など、それを上回る自己負担が発生します。
自家用車を営業に使わせる会社も存在していますから、気を付けるようにしましょう。
また、連絡手段として必須の携帯電話も、私物を使わせるのか会社支給があるのかは大きな違いがあります。
最近の携帯電話は長持ちを前提に作られていませんので、仕事で使えば使うほど買い替えのスパンが短くなって結果的に自己負担が大きくなります。
その他販促や商品説明に必要なタブレットなどの支給もあれば、仕事の効率化が図れて仕事がやりやすくなるという点で大きなメリットになります。
基本給が良いのはやっぱり重要
ここまで給与を見る上で基本給以外に着目すべきポイントをご紹介しましたが、やはり基本給が良いというのはもっとも重要なポイントです。
給与規則に基づいた基本給は簡単に下がることはありませんが、手当や費用補助などは要件未達になれば簡単に打ち切られることがあります。
また、賞与の算定基礎には手当や費用補助は含まれないことが多いです。
基本給が少なく手当が豊富な場合より、手当が少なく基本給が高い方が賞与額が高いというケースはよくあります。
年収で考えると後者の方が高いということもありますから、手当や費用補助の豊富さだけに目を奪われないようにしましょう。
手当や補助をあてにし過ぎるのはリスクが高いという点も忘れてはならないポイントです。
求人内容で気になることがあれば転職エージェントに聞いてみよう
応募先企業の求人内容で気になる点がある、求人探しが行き詰っているなど、転職活動中には様々な悩みが発生します。
孤独な転職活動中の悩みは一人で抱えてしまうより、転職エージェントに相談した方が具体的な解決策を提示してくれます。
実践的な転職ノウハウを提供してくれる心強い味方ですので積極的に活用していきましょう。
最後に
いかがでしたか?前職より年収アップを目指す場合に、基本給以外で気にしたいポイントについてご紹介しました。
応募先の給与をチェックする際は、基本給だけ、福利厚生だけという狭い視野ではリスクが伴います。
収支も含めてどうなのかという点を意識してトータルで判断するようにしましょう。
ぜひ参考にしてみてください。