転職に少しでも有利になるように、転職活動中に資格取得を目指すという人がいますが、少し注意が必要です。

資格取得に取り組むべき人と取り組むべきではない人がいますので、自分がどんな状況なのかを客観的に判断した上で資格取得を目指すようにしましょう。

では、どんな人が資格取得に取り組むべきで、そうでない場合はどんなケースなのでしょうか?

転職活動中に資格取得に取り組むべき人

まずは転職活動中に資格取得に取り組むべき人についてお話していきます。

退職日が決まっているが大分先

在籍中の転職活動が基本ではありますが、会社を辞めたい理由によっては先に退職を選択するということがあります。

この場合、退職日がすでに2~3ヶ月以内に迫っているのであればすぐにでも転職活動を本格化させる必要がありますが、中には1年近く先に退職日を設定している場合もあります。

引継ぎに時間がかかりそうな業務を担当している、少しでも今の会社に迷惑をかけないようにしたなどの理由で、かなり先に退職日を決めるということはあることです。

この場合は応募先が希望する入社日との兼ね合いで、いきなりエンジン全開で応募を始めてもどうしようもできないということがあります。

1年程度の猶予があるのであれば、最初の半年ぐらいは企業研究や自己分析、キャリアの棚卸などにじっくり時間をかけて、具体的な応募は退職日の4ヶ月~半年前ぐらいから始めていくのが良いでしょう。

その中で、気になる業界で評価されやすい資格があれば取り組んでみるというのは有益なことです。

その資格がないとできない仕事をしたい

転職してどうしてもやりたい仕事があり、その仕事をするには資格が必須である、その場合には資格取得に取り組む必要があります。

中には無資格でも転職してから資格取得を支援してくれる会社もありますが、転職直後は覚えることも多く、新しい環境下でのストレスもあって資格の勉強をするのはなかなか大変なことです。

それであれば現時点で資格だけは先に取得しておき、実務経験を転職してから積ませてもらう方が良いでしょう。

転職後の肉体的・精神的な負担も軽減されますし、未経験でも資格取得をしたという意欲は、応募先によってはきちんと評価してくれます。

応募要件に資格が指定されてあるがどうしてもその企業を受けたい

特定の業界や企業に狙いを定めているけれど、多くの求人で応募時の資格要件が記載されている、その場合は転職活動と並行して資格取得を目指しましょう。

資格が取得できれば一番良いのですが、企業が定める資格要件は必ずしも絶対条件ではないということも多いです。

「資格がないと絶対に採用できない」というものだけなく「単に知識やスキルレベルを知りたいだけで資格そのものはなくても本当は構わない」というものまであるということです。

応募時に資格取得が間に合わなくても「受験中です。」「資格取得に向けて勉強中です。」とアピールすることで、ある程度の知識レベルや意欲があると判断されることもあります。

資格要件を定めている企業に対して、資格もない、勉強もしていないという場合は資格相当の実務経験が必要です。

実務経験がないのであれば、少なくとも資格の勉強を始めることは大前提となるでしょう。

転職活動中に資格取得に取り組むべきではない人

続いては、転職活動中に資格取得に取り組むべきではない人についてお話していきます。

資格は取れば取るほど転職に有利だと思っている人

転職活動は資格の数を競う場ではないと分かっているはずですが、資格というものは妙な期待感、幻想を抱きやすい側面があります。

資格という名の誘惑に負けて時間とお金を浪費していくことがよくあるのです。

資格は取れば取るほど転職に有利だと思っている人は、自分が内定をもらえないのは資格のせいだという風に、他責的な考えに偏る傾向にあります。

不採用が続く理由は資格ではなく他のところにあるということに早く気付くべきです。

資格=転職に有利という漠然としたイメージを持っている人は資格取得に走りがちです。

「多くの企業では資格だけを選考の決め手にしない」ということを知るところから始めましょう。

難関資格を取得することで努力を認めてもらいたいと考えている人

たまにいるのが、難関資格さえあれば転職に有利、努力することができる人という点でアピールできる、と考える人です。

しかしこの考えは危険なので慎重になるべきです。

合格率が1桁台のいわゆる難関資格の取得には多大な時間と労力がかかります。

仕事以外のすべての時間を勉強に費やし、家族や恋人と過ごすことはおろか、ゆっくりと食事の時間を取ることすら削っていくこともときには必要です。

独学で取得するのは難しく、学校や通信教育、テキスト代などで年間何十万というお金もかかります。

そこまで努力して取得した資格でも、応募先に活かせる資格でなければ「へー、すごね君。」で終わりです。

努力家であることだけを理由に採用されることはほぼありません。

難関取得に手を出すときは特に気を付けましょう。

資格取得そのものが目的になってしまって、大事な数年を棒に振るということになりかねません。

絶対にその資格を活かした仕事をするんだという気持ちがないのであれば、下手に手を出さずに企業研究や自己分析を念入りに行う方がよほど役に立ちます。

すでに退職しており希望の業界も特にない人

在籍中の転職活動であれば生活面への不安はありませんが、すでに退職している人は生活がかかってきますので資格取得など悠長なことは言ってられません。

特に希望の業界も決めていない、転職先の方向性が見えない場合にむやみやたらに資格取得に走るのにはリスクがあります。

資格が不要な仕事など山ほどありますので、とにかく転職活動に集中して転職先の方向性を定めていくことを優先させましょう。

資格を取得すべきかどうか迷ったら

転職活動中に資格を取得すべきかどうかを迷ったら、希望の業界事情に詳しい人の話を聞いてみるのがおすすめです。

特に実際にその業界で働いている人であれば、「世間的には資格が必要って言われてるけど実際使うことがない」など、役に立つ情報をくれます。

友人や知り合いに希望の業界で働いている人がいないか聞いてみると、以外と身近なところから情報を得ることもできます。

最近はSNSなどで業界事情を発信している人も多いので、身近にいなくてもいくらでも情報は手に入ります。

また、転職エージェントに相談してみるのも良いでしょう。

これまで同業界や同企業に転職できた人のデータを持っていますから、選考にあたって資格の重要度が高いかどうかをアドバイスしてくれます。

最後に

いかがでしたか?今回は、転職活動中に資格取得に取り組むべき人・取り組むべきではない人についてお話しました。

資格はあって不利になるものではありませんが、応募先の業界や企業、自身が置かれている環境等によって取得すべきかどうかは異なります。

もっとも大切な目的である「希望の企業に転職を成功させること」ということを見失わないよう、冷静に判断してください。