仕事は楽しいことばかりではありませんから、世の中の多くの人が一度は仕事を辞めたいと考えた経験があるはずです。

そんなときに退職を思いとどまらせるのは自分の中での「基準」。

給与が高いとか社会貢献性が高いとか、人によって様々な、現職に残るべき理由とも言えるものです。

パーフェクトな仕事というものはそう出会えるものではありませんから、今の仕事を続けるための基準を持つことは大切です。

しかしその基準は常に変わっていくものでもあり、もしかすると正しいと信じていたことがいつか崩れる可能性もあるのです。

何事にも表と裏がありますから、基準を定める一方で、そこにはリスクも存在しているということを覚えておきましょう。

その基準に固執しすぎると、後戻りできない状態になってしまうかもしれません。

「家族を養うために仕方がないから続けるべき」という基準

仕事を辞めたいと思っても辞められないのは、家族を養うために仕方がないことと思っている人は多いです。

責任を持つという点においては大切な気持ちなのですが、諸刃の剣とも言える危険性をはらんでいます。

辞めて収入が途絶えてしまうことになれば生活できないからと、大黒柱としての責任感から我慢に我慢を重ねていく…。

そうして精神的に追い込まれ、うつ病になってしまうというケースはよくあるのです。

そうなると、休職で収入がダウンし、復帰しても再発の可能性が高くなり、不安定な状態では転職も厳しくなります。

結果的に家族に迷惑をかけることになってしまい、家族を養うどころの問題ではない状態になってしまうのです。

「残業が多くても稼げるから続けるべき」という基準

毎日遅くまで残業があり、ときには休日出勤も余儀なくされる、でもしっかりと手当がでるから文句はないと、当たり前のように働き続ける人がいます。

世の中は残業時間の削減が叫ばれていますが、まだまだ残業をすることが当たり前だと思っている企業戦士たちは大勢います。

その人たちは、残業時間が長いことに疑問すら持たず、むしろ気持ちが高揚して深夜残業もいとわない、体力的にもまだまだ頑張れると思っている人も多いです。

しかし、長時間労働に疑問を持たない考え方は危険です。

長時間労働の慢性かは、ボディーブローのように疲れが蓄積されていき、自分でも気が付かないうちにある日突然倒れてしまうということもあります。

平日の仕事がある日は元気だけど、休日にだけ頭痛がしたり体が重く感じることはありませんか?

疲労の蓄積がかなり進んでいる状態かもしれません。

「収入が低くても夢ややりがいがあるから頑張ろう」という基準

例え収入が低くても、夢があったり、やりがいを感じることのできる仕事だからという理由で、生活が苦しくても退職を思いとどまる人がいます。

そこまでしてやりたい仕事があるのは素晴らしいことですし、好きなことを仕事にするのは決して間違っていません。

しかし、夢を追っている自分、やりがいを感じている自分に夢中になって、将来のことが見えていなくなると危険です。

今はまだ若いから何とかやっていけても、将来的には体もきつくなったり、結婚して子供ができたりして支出が増えていくことも考えられます。

そうなったときにやっと転職について考えても、転職市場での価値は下がっていて条件の良い転職先が見つからない可能性は大いにあります。

夢ややりがいだけを仕事の基準にすると、将来的に生活できなくなるリスクがあるということも覚えておきましょう。

「安定が一番だから辞めるべきではない」という基準

仕事がつまらないし人間関係も良くない、でも業界の安定性が高く社会的な地位もあるという理由で辞めたいけど辞めないという人がいます。

仕事の安定性は大切ですが、その考えで現職に思いとどまるということは危険です。

今は何が起きるかわからない世の中。

どんな大企業でも倒産する時代ですし、どんな優秀な人でも解雇されることもあるのです。

安定性を辞めない基準にしていると、時代に合わせて変化していく柔軟性を持てなくなっていきます。

何かあったときに対応できないことになり、気づいたときには時代から取り残されて何のスキルもない使えない人材になっているかもしれません。

「仕事は忙しいけど成長できそうな環境だから良い会社」という基準

資格取得のためのサポート制度もあって、休日に開催されるセミナーの案内も回ってくる、上司からはビジネス本を読む義務まで課されるという会社は少なくありません。

自分を高めるための環境が整っていて、成長につながりそうだからということを理由に仕事が忙しくて大変だけど何とか踏ん張ろうと思うことがあります。

近年「意識高い系」と呼ばれる人種が注目されるようになりましたが、その会社バージョンで意識高い系の会社といったところでしょうか?

そのような環境が整っていること自体は良いことなのですが、それにこだわり過ぎて辞めない理由にまでなると、常に頑張り続けることに価値を見出してしまうことがあります。

頑張らない自分は価値がないと思い込んで理不尽な要求にも応え、長時間労働にも文句を言わず、ひたすら頑張り続けてしまうのです。

しかし、その頑張りが必ずしも評価されるわけではありません。

場合によっては、仕事で成果を出しても評価されないことすらあるのが社会です。

頑張って成長することに価値を見出してしまうと、評価を受けることができなかったときに糸がぷつんと切れたかのように呆然としてしまうことがあります。

「こんなに頑張ったのに…?」とどこかで思ってしまうのです。

資格もセミナーもビジネス本も、仕事をする上でのちょっとしたヒントやコツ、サポート的な役割に過ぎません。

基準は大切。でもリスクも考えよう

ここまでご紹介したように、現職にとどまる基準は誰にもあるはずです。

しかし、そこには必ずリスクもはらんでいます。

そのリスクを許容し、いざとなったら対処する心積もりがあれば良いのですが、正しいと思い込むのは危険です。

本当にこれでいいのか?という気持ちは常に考えていくことが大切です。

表と裏を比べてみた結果、よくよく考えてみたら、もう現職にとどまる理由がないと考えたのであれば転職に踏み出しましょう。

転職は勇気が必要ですし、失敗したくないという思いもあるはずです。

その気持ちが強いなら転職エージェントを利用するのがおすすめです。

掲載にあたって企業審査がしっかりと行われているため優良な求人が集まりやすく、様々な転職ノウハウを提供してくれます。

最後に

いかがでしたか?今回は、現職に思いとどまる基準が抱えているリスクについてご紹介しました。

どんな理由にも表と裏がありますから、必ずしも現職にとどまることが正しいとは限りません。

ときには自分の基準を見つめなおし、軌道修正していくことも必要なのかもしれません。