夢ある調理師という仕事ですが、労働環境はかなり過酷で、夢半ばで挫折してしまうという調理師も少なくありません。

特に飲食業界では、人手不足と言いながら働き手への理解が少ない経営者も多く、修行という名のサービス残業やパワハラなどを飲食経営の美学としているような経営者もいます。

多くの調理師たちの頭の中には「転職」の二文字が常にちらついていることでしょう。

確かにこの道を極めるには相当な努力や忍耐が必要ではありますが、時代背景的に昔からのやり方では若手が育たなくなっていることも事実です。

しかし最近はこのことを危惧した経営者たちも出てきていて、働きやすい環境を提供しようと心掛ける優良企業もあります。

調理師として転職を考えている方は、いかに良い企業を選択するかが長く働き続けるために必要なことになります。

そこで今回は、調理師が長く働ける企業に転職するためノウハウとして、応募時の注意点と求人選びのために知っておきたいことをご紹介していきます。

求人内容と現実に違いが大きいから事前確認は必須

調理師の転職でよくあるのが、求人内容と実際の給与や待遇、労働時間などに大きな違いがあるという失敗です。

「求人内容では給与25万円と書かれていたのに働き始めたら最初の数年は手取り15万円と知らされる」「勤務時間が8時間とあったのに実際はサービス残業が基本で毎日深夜帰りになる」などは本当によくあることです。

これは、飲食店の経営者は食のプロではあっても労務管理の知識が皆無であったり、昔からの業界慣習で「調理師はそういうもの」と思っている人も多いからです。

また、人手不足を補うため分かっていながら虚偽の求人を出すというひどいケースもあります。

これらは募集側の問題ですが、一方で応募者側もあまり下調べをせず気軽に転職を決めてしまう、求人内容を一方的に良い方に解釈してしまうなど、応募者の行動に原因がある場合もあります。

まずは自分の身は自分で守るという強い意志を持ち、入念な下調べとある程度の法知識も身につけて、事前確認をしてから転職に踏み出すようにしましょう。

雇用契約は必ず書面でもらうべき

常に人手が足りない飲食業界では、面接してその場で採用になるというケースも少なくありません。

それ自体が悪いというわけではないのですが、応募者が逃げないためにこの方法を採用している企業もありますから少し慎重になりましょう。

面接内容を思い返してみて、質問に明確に答えてくれないなど不審な点はなかったでしょうか?

また、面接で言われたことはあくまでも口約束なので、後で「そんなわけないじゃないか。」とあり得ないことを言われるということがあってもどうすることもできません。

給与や勤務時間などの労働条件が書かれた雇用契約は、必ず書面でもらうようにしましょう。

まっとうな企業であればそれを拒む理由はありませんし、頑なに拒否するようであれば怪しいと察知して転職を思いとどまることもできます。

調理現場の様子は客として見ることも可能

衛生面で安心を与えるためや、調理のダイナミックさを見せて活気ある店内の雰囲気を作るために、調理場の様子が客からも見えやすいという飲食店は多くあります。

調理師として転職を考えているのであれば、必ず一度は客としてその店に訪れてみることが企業研究の基本になります。

特に食事時間帯にどれぐらいの客足があるのか、調理現場にどれぐらいの人が働いていてどんな声かけが行われているのかなど、客として行ってみると見えることが多くあります。

普段無意識に飲食店を利用する際は気づかないことも、働いたらどうなのかをイメージしながら見てみると、自身の適性に合った店かどうかは判断しやすくなります。

飲食店以外でも調理師資格を活かせる仕事がある

調理師資格を活かせる仕事は、何も飲食業界だけではありません。

一見調理とは関係のないように思える教育現場や医療・福祉業界などでも、食は切り離せない分野です。

学校や保育園などの給食から病院や介護・老人施設などでの食事提供、高齢者向けの弁当宅配サービスを展開している企業でも調理師募集の求人は多く見られます。

これらの分野では飲食店に比べると給与相場が比較的高めで安定している、サービス残業が少ない、学校などの教育現場であれば子供たちのスケジュールに合わせて土日休みや長期連休がもらえることもあります。

夢があって調理師を目指したのに給食係なんて…と思いますか?

確かに自分のお店を持って大繁盛させるという夢を持っている人にとっては退屈な仕事のように感じるかもしれません。

しかしこれらの仕事は食事を通じて子供の成長や病状改善や体力の回復、人の生きる喜びに関わることができる社会貢献性の高い仕事です。

過酷な飲食店勤務で調理師の仕事にうんざりしてしまい、全く別の仕事に就くのは勿体ない気がします。

せっかく手に職を持っているのですから、まずはそれを活かせる仕事を探してみることも大切です。

大企業で働けるチャンスもある

雇われの身なら、誰もが一度は有名な大企業で働いてみたいと思うのではないでしょうか?

年収や待遇がよく企業の倒産可能性も低いなど、安定的に働ける点に魅力を感じる人は大勢います。

ただ、実際に大企業で働くには高学歴、語学堪能、ずば抜けたアイデアと行動力など、人並み外れた特徴がなければ難しいというものです。

さらに新卒採用が多いので、よほど優秀な人でない限り中途で転職するには倍率も高くなります。

しかし、調理師資格をお持ちの方であれば学歴や語学力がなくても大企業で働くチャンスがあります。

大企業では近年特に従業員の健康管理の重要性を認識しており、企業内食堂のメニュー充実や質向上などに積極的に取り組んでいます。

実は企業内食堂は飲食店で働くよりも長く働くことができるとして、調理師免許を持つ人に人気が高いのです。

その理由としては給与や待遇が比較的良いという点と、残業が少なく勤怠管理がしっかり整っているという点です。

管理元が大企業なので、飲食店にありがちな労働基準法への知識不足がなく、定時できちんと帰れるというケースも多いのです。

ただし、夜食提供がある企業もあるので、その場合は夜勤の可能性も考慮に入れておかなければなりません。

募集内容を詳細まで確認してから応募に踏み切ることが大切になります。

転職エージェント経由ならブラック企業を避けることが可能

調理師求人はハローワークや求人誌などでも多く見つけることができますが、ブラック企業を避けたいなら転職エージェントの利用がおすすめです。

理由は二つあって、一つ目は転職エージェントに求人を掲載するには企業審査が必要で怪しい求人はそこで除外されるという点。

二つ目は、求人掲載をするには料金がかかるため、それなりに資金力があり人材募集への意識が高い企業が転職エージェントを利用する傾向にあるという点です。

特に評判の高い転職エージェントを利用することで安心して求人を探すことができますから、転職エージェントの利用を検討してみてください。

最後に

いかがでしたか?今回は、調理師求人に応募する際の注意点と求人選びのために知っておきたいことをご紹介しました。

過酷な労働環境で我慢し続ける調理師は多くいますが、応募時の慎重さと広い視野を持つことで働きやすい企業に転職することは可能です。

ぜひ参考にしてみてください。